魔法少女リリカルなのはStrikerS第18話感想「翼、ふたたび」

 今回は地上本部襲撃後のそれぞれの反応の確認回。
 精神的ダメージが大きかったのは、なのはさんとスバルお嬢さんの二人ですが、二人には一番残酷な形での再会が待ちかまえています。その他の重要人物であるノーヴェさん、ルーテシアさん、アギトさんの立ち位置も提示されました。

 纏めるとこんな感じ。

人物 後悔 反応 課題
なのはさん ヴィヴィオを守れなかった 踏みにじられたぬいぐるみを目にして慟哭 「本物の母親」としての自覚、聖王となったヴィヴィオとの対決
スバルお嬢さん ギンガさんを掠われた 意気消沈するもティアナさんのサポートで再起 ノーヴェさん、ギンガお姉さんとの対決
ノーヴェさん チンクさんに重傷を負わせられた スバルお嬢さんへの敵意を燃やす 「ナンバーズ」以前に「人間」としての在り方の確認
ルーテシアさん 無し 無し ゼストさん&アギトさんを「家族」として認識する事
アギトさん ゼストさんをサポート出来なかった。自分は「役立たず」であるという負い目 自分の為にフルドライブを使ったゼストさんに対する罪悪感 ゼストさんがアギトさんによって救済されているイベントの提示

なのはさんヴィヴィオ

 なのはさんヴィヴィオさんは、先回の感想で書いた、「魔法少女リリカルなのはStrikerS」のテーマを「『要らない子』とされた子供達が、『居場所』を獲得する事」と、「その居場所を作る『母親』になる事」の体現者の一人としての位置にある事はほぼ確定。

 「魔法少女リリカルなのはStrikerS」のテーマは、勿論「家族」なんだけど、もっと踏み込んで、「『要らない子』とされた子供達が、『居場所』を獲得する事」と、「その居場所を作る『母親』になる事」がテーマなんだよ。

http://d.hatena.ne.jp/AlfLaylawaLayla/20070723/1185366902

 なのはさんは、ヴィヴィオが連れ去られた事で、自分自身の不甲斐なさを感じていますが、まだ自分が「ヴィヴィオにとっての母親」として相応しいとは思っていなくて、まだ「母親の代わり」の段階という感じです。スカリエッティによって「聖王の器」として使われたヴィヴィオとの残酷な再会、そしてそれを承けて自分が「ヴィヴィオにとっての母親」になろうと決心するイベントが待っていると思います。頑張れなのはさん

スバルお嬢さん

 今回の話で、スバルお嬢さん自身も自分が戦闘機人だった事を知っていた事、ゲンヤさんとは勿論、お母様とも血縁関係が無かった事が提示されました。
 スバルお嬢さんとギンガお姉さんの戦闘機人としての特性と、お母様から継承した戦闘スタイル・シューティングアーツの親和性があまりに高いし、ギンガお姉さんとお母様がそっくりなので、お母様とは血縁関係があると思ってたんですが、これは偶然の一致、運命だったと考えよう。決して御都合主義ではないとありませんよ?
 ですが、この事実で、先にも挙げた作品のテーマ、「『要らない子』とされた子供達が、『居場所』を獲得する事」と、「その居場所を作る『母親』になる事」の体現者一人だったという事になり、フェイトさんと並んで、「要らない子」とされた子供達と、その「母親」となる存在の「到達点」として提示された事になります。

ナンバーズ

 スバルお嬢さんと、ノーヴェさん、ギンガさんの対決路線はほぼ確定ですが、まだ一つ解決していないのが、スバルお嬢さんとノーヴェさんの関係。ノーヴェさんは、リボルバーナックルに酷似したデバイスを使い、ウイングロードまで使っていたので、無関係には思えないんですが、お母様との血縁関係と同じで、「単なる偶然の一致」なのでしょうか?
 ノーヴェさんの初登場時にノーヴェさんの顔が隠されていたりと、思わせぶりな伏線は張られている割にはやけにあっさりしているのですが、よく分かりません。
 取り敢えず、ノーヴェさんについてはっきりしているのは、スバルお嬢さんと酷似した立ち位置にある事だけ。スバルお嬢さんはギンガさんを助ける為に戦うのに対して、ノーヴェさんはチンクさんの仇討ちの為に戦うように、同じ姉妹の間の愛情によって動いているんです。気になるのは、ナンバーズの「愛情」がナンバーズの中に限定されていて、ルーテシアさん以外の人間に対して気遣ったりしない事なんですが、ノーヴェさんが、スバルお嬢さんも同じ気持ちで戦っている事に気付くのがナンバーズ全体の変化に繋がるのかもしれません。
 けどナンバーズって、ウーノさん、クアットロさんの人でなしコンビと、妹思いのチンクさん、陽気な性格のセインさん、姉は慕っているノーヴェさん、ルーテシアさんの心情を察しているウェンディさんと、その他よく分からない人たちで、およそ3タイプに別れていて、人でなしコンビは他の姉妹を裏切っても平気そうですが、チンクさん達は、スカリエッティさんに「要らない子」とされて捨てられても、「姉妹の絆」で何らかの救済が与えられそうな気がします。
 あと、そんなに強くないのに、ノーヴェさんに睨まれているティアナさんが心配です。

スバルお嬢さんの時代が来た Massive wonders

 水樹さんの「閉塞感」を打破する歌詞を疾走感の旋律に乗せて歌い上げる「Massive wornders」は、「星」の名前を冠するスバルお嬢さんの為の歌詞。「まだ見えぬ夜の先に伝えたいよ幻を破り」の件りは、スバルお嬢さんに相応しい。
 圧倒的な映像とのシンクロは最高の出来です。やればできるじゃないですか。(ドクロ)

MASSIVE WONDERS

MASSIVE WONDERS

ルーテシアさん

 ルーテシアさんもやはり「要らない子」を体現するキャラクターだと思いますが、覚えてもいない母親を追う先に、何かがあるとは思えないので、何かのイベントを経て、「家族」であるゼストさん&アギトさんの元に戻ってくるんじゃないかなと思います。
 注目すべき点は、ルーテシアさんが「心」が無いと思っていて、それが「母親」の存在で得られると考えている事。フェイトさんの例があるように、本当の母親だからと言って、愛情を注いでくれるわけではありませんし、愛情を注いでくれる「本当の母親」だったとしても、スカリエッティさんの極悪さを考えると、そのまま母子の再会とはいかない気がします。

ルーテシア
「目を覚ましてお母さんになってくれれば、私には心が生まれるんだって。」

アギトさんとゼストさん

 アギトさんを助ける為に危険なフルドライブを使ったゼストさんは吐血してしまい、恩に報いるどころか、ゼストさんに負担を掛けてしまった事に罪悪感を感じて、益々「要らない子」だと思ってしまいます。

アギト
「ごめん旦那、私が使えないから。」

 でも、そうじゃない。アギトさんがいるから、ゼストさんも何かの形で救われている筈であり、それが、実験対象として、生まれた時から誰にとっても「要らない子」だとされたアギトさんを絶対的に肯定する事になるのだと思います。
 ゼストさんはそれが分かっているから、「役に立ちたがっている」アギトさんに、薬湯をお願いすることで肯定しているんですよ。ゼストさんは優しい人。

ゼスト
「お前が淹れてくれた薬湯、もう一杯もらえるか。」

 しかし、ゼストさんは、アギトさんが薬湯を淹れている間に死にそうな勢いです。将来的に本当にそういうシーンが来そうで怖いんですが、その間にウーノさんからの連絡が掛かってきます。
 このシーンで、アギトさんが、ゼストさんとウーノさんの会話を聞いていないのは、ゼストさんにとって、アギトさんが「守るべき対象」、「大事な家族」であることの象徴なのだと思います。

 ゼストさんが狙っているレジアスさんですが、独善的でも高潔な方だと思ってたのに、自分の目的の為に「犯罪者」を利用するような人だったのかぁ。ゼストさんを目にした動揺を見ても、後ろ暗い事があるのはほぼ確定。すごく幻滅です。
 はやてさんの「罪の意識」に対し、「罰の意識」を持つキャラだと思って和解する位置にあると思ってたのに。

ヴィヴィオ

 なのはさんの心配通り、とんでもなく非道い扱いを受けているヴィヴィオさん。正直見ていて辛くて正視できません・・・。

 それを嬉々として施術しているスカリエッティさん、ウーノさん、クアットロさんは外道中の外道。こいつらは打破しないといけない。
 ゲンヤさんが、スカリエッティさんが25年前に戦闘機人システムで機械化を劇的に発展させたというような事を言ってましたが、普通の人間は、「人の為に機械がある」という前提に立ち、「『機械』を『人』に合わせる発想」しか出来なかったから進歩しなかったのに対し、スカリエッティさんの場合は、悪魔のような逆転の発想で、「なら、『人』を『機械』に合わせたらいい。」という事を考えるという、「人間の倫理」というリミッターを外している人間だからこそ出来た所行だったという意味だったと理解します。確かにスカリエッティさんにしか出来ないです。

アースラ

 廃棄される予定だったアースラを本拠地として利用する事になった機動六課ですが、アースラは機動六課全員の「気持ち」を汲んで、敵を巻き込んでの自爆や特攻でカタルシスを見せてくれそうな感じです。何か凄そうですよ、アースラ。

 それにしても、アースラに一度乗ったら、途中で逃げられないんですが。どうも、はやてさんが途中で逃げられないように戦力の囲い込みを行い、死にもの狂いで戦わせる背水の陣を仕掛けているとしか思えません。軌道六課のみなさん、逃げるなら今だ。
 ザフィーラとヴァイスさんはそういう意味ではラッキー。このまま寝たフリを決め込め。(ドクロ)

その他の人物

シャーリー

シャーリー
「ごめんなさい、ごめなさい。留守を預かってたのに。」

 シャーリー、あなたは何も悪くない。

シャマルさん

 大怪我したシャマルさんですが、何とかなるレベルの怪我みたいです。助けてくれたザフィーラは偉い。

シャマルさん
「ザフィーラが盾になってくれて。」

 ダメだ。シャマルさんがザフィーラさんを無理矢理盾にしたような妄想が浮かんで来る。「横島クン、お願いっ!」「『お願い』じゃない――っ!」みたいな。

オーリスさん

 何となく悪人ではない様子の方ですが、今回の話では、わざと穴のある非難を浴びせて、はやてさんの決意を試しているのでしょうか?
 一昔のキャラなら、「悪人に人権はないっ!」みたいなセリフで一刀両断できそうな感じだったので、オーリスさんがそんなセリフを言うようには思えないんですが。

次回予告

 魔法少女リリカルなのはStrikerS第19話感想「ゆりかご」

 決意を持って臨めば、決意を挫くものが待っているのがセオリー。
 恐らく出てくるのはヴィヴィオとギンガさん。
 なのはさんとスバルお嬢さんは頑張れ。

中々発売されないはやてさんのフィギュア。何だか次はヴィータさんのような気がしてきた。とことん報われない方だ。

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