マクロスF(フロンティア)第7話感想&備忘録「ファースト・アタック」

 シェリルとランカの「『ここ』に帰ってきて!」という気持ちが「歌」に乗って「戦闘している(=飛んでいる)」アルトとルカの命を救い、全員無事に『ここ』に帰る事が出来たという話。

「歌!?」(早乙女アルト

 前も言及しましたが、マクロスF(フロンティア)という作品では「飛ぶ(戦う)」と「歌う」が比翼連理のように対となっており、少し乱暴な言い方をすれば、これまでのシリーズとは違って、「飛ぶ(戦う)」と「歌う」、お互いがお互いを補完し合う形が強調されています。

「それに、パイロットの仕事が戦うことなら、私の仕事は、歌う事よ!」(シェリル・ノーム

無印マクロス 「戦う」事に偏重
マクロス7 「歌う」事に偏重
マクロスF 「飛ぶ(=戦う)」と「歌う」が相互補完
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本編感想

早乙女アルト

「離されて、たまるかよ!」(早乙女アルト

 アルトは今はまだ一人前の戦力にはなれておらず、縦横無尽の活躍をするオズマ、次々に撃墜していくミハエル、バジュラの母艦のデータをマクロスに送ったルカ、派手に活躍するカナリアクラン・クラン達、「プロ」が戦う姿に驚くばかりですが、シェリルの為に「必ず生きて帰ってくる」、ランカの為に「全員で帰ってくる」、二人の為に「『ここ(=自分の居場所)』に帰ってこようとする意志」でルカを助ける事で、最後の最後に意地を見せた形です。
 何度も書いていますが、マクロスFという作品に於いては「『ここ』にいる」という根源から、「大切な人の傍にいる」、「仲間達と一緒にいる」という気持ちが派生し、また、その為に「誰かを守る」という行為が作中善として描かれ、「プロ意識」というモノが設定されています。
 今話では、アルトの「『ここ』に帰る!」という気持ちと、シェリルとランカの「『ここ』に帰ってきて!」という気持ちが、「シェリルのイヤリング」というモノを媒介にリンクして、同時に「飛ぶ」と「歌う」がリンクして、正に最強の作中善。これで勝てない方がおかしい。

 ところでアルト君、ちゃんとシェリルのイヤリングを忘れずに持って帰ってきたんでしょうね?

 「あ、機体と一緒にマクロスの重量子反応砲に吹き飛ばされました。」じゃすまないんだからね!(笑)


シェリル&ランカ

「広い銀河の中、また会えるか分からないけど―――」(シェリル・ノーム

 「ギャラクシーに帰り、アルトともお別れする」事を決めた筈だったのに、アルトにもう二度と会えないかもしれない―――という気持ちが、ファンも、そしてシェリル自身も思いも寄らない「シェリルが涙を流す」事に驚く程に、「コンサートに集中できないシェリル」。

「アルト君、どうして来ないの?
こんなに素敵なのに……。」(ランカ・リー

 そして、アルトの出撃を知らなかった為にアルトを見送る事もできずに、「『ここ』にいる筈」のアルトがいない席に「喪失感」を感じてしまい、やはり「コンサートに集中できないランカ」。

 シェリルの気持ちは、広いコンサート会場の中でランカしか知り得ず、ランカの気持ちもやはりシェリルにしか知り得ず。
 二人を繋ぐモノはシェリルにとってはイヤリングであり、ランカにとっては飛行機のリュック(アルトがいつも飛ばしている「紙飛行機」を想起させるモノ)それを手に、「同じ気持ち」を抱いて「アルトの事を想って歌う歌」だからこそ、二人に隠されていた「力」の片鱗を見せて、届くはずのないアルトの元へ届き、アルトを助ける事に繋がるのが凄く綺麗。

「知ってる、シェリルさん、知ってて、それでも――」(ランカ・リー
 
「そして―――、貴方にも一緒に歌って欲しいの。」(シェリル・ノーム

ブレラ・スターン

 何故バジュラの中に侵入したのかとか、まだ謎の多いブレラ・スターンですが、一番重要なのは、「何故アルトを逃がす気になったか」ですね。

 「シェリルのペンダント」による効果を見たのならシェリルが、ランカの出自に関わる「アイモ」を演奏した事からはランカが要因、または二人ともが要因なのでしょうが、まあそれはランカとシェリルの出自も合わせて追い追い分かっていく―――というトコでしょう。焦らない焦らない。

星間飛行

星間飛行

 あと、ブレラ・スターンの乗機はBDI(Brain Direct Image)システム、またはその発展形を搭載しているようですが、マクロスプラスの主人公・イサム・ダイソンが駆る操縦インターフェースは旧来の延長線上にあるYF-19と、ゼントラーディのハーフであるガルド・ゴア・ボーマンが駆るBDI(Brain Direct Image)システム搭載のYF-21が思い起こされてます。無印マクロスマクロス7に続いてマクロスプラスまで取り込み、さらには「ノーム」繋がりでマクロスゼロまで包含する事になると、正にマクロスシリーズの総括に相応しい作品になりそうで今から楽しみです。

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その他感想メモ

 ボビーはマクロスの変形とシンクロするように口調が変化するのは彼(彼女?)が、マクロスクォーターと同一化されているという事かなぁ?
 ボビーの「あーらおめでたー?」という発言を聞いて、ランカの腹部が光っていたことを思い出した。もしかしたらシャレになってないかもしれない。
 レオン・三島がバジュラを見てニヤニヤしてましたが、キャシーさんが「大統領のオーダーか?」と聞かれて「そうとっていただいて結構です!」と、誤魔化すようにはっきりしていなかったのは、レオン・三島との後ろ暗い企みに罪悪感を感じているという事かなぁ?
 ミハエルは何やらクラン・クランにコンプレックスがあるようですが、それはつまり、「お姉様狙い」のミハエルの本命は色々な意味で「お姉様」なクラン・クランという事ですね?ミハエル君、意外といい趣味してるじゃないですか。くれぐれもロリコンに目覚めないようにね!(バカ)

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次回予告

 マクロスF(フロンティア)第8話「ハイスクール・クイーン」

 シェリルが「マクロス・フロンティア」という「ここ」の、ランカが「美星学園」という「ここ」の存在となり、シェリルとランカが同時にアルトに接近するという事ですか。
 シェリルが「ここ」に来るのは意外に早かったなぁ。