「黒猫は星の夢を見ない…」を楽しく見る為に

 まだ物語が何を目指しているのかははっきりとは分かりませんが、「突然壊れる現実」を突き付けられた蘇芳・パヴリチェンコという少女が、周囲から始まった崩壊が自分の身に及び、大人、あるいは契約者になっていく過程で、それでも自分の「夢」を見失わずに「答え」を見つけられるか、そこに注目していきたいとは思っています。
 とりあえず、「DARKER THAN BLACK -流星の双子-」を見て思った事を纏めてみた。

DARKER THAN BLACK-流星の双子- (1) [DVD]

DARKER THAN BLACK-流星の双子- (1) [DVD]

DARKER THAN BLACK-流星の双子- (1)(Blu-ray Disc)

DARKER THAN BLACK-流星の双子- (1)(Blu-ray Disc)

流れ星〜願望機として〜

 さて、第1期第12話「壁の中、なくしたものを取り戻すとき… 後編」のこの台詞を覚えているでしょうか。

「流れ星っていうのはね、神様が天の蓋を開けた時に漏れる光なんだ。
だから、その時に願い事をすれば、神様に聞き届けてもらえるんだよ。」

 幼少時と現在の黒<ヘイ>さんの世界が比較される、このセリフはきっと重要。

幼少時の黒<ヘイ>さんの世界 「流れ星−神様」
現在の黒<ヘイ>さんの世界 「流星の欠片−ゲート」

 この関係を、「願いを叶える」という文脈で、「流れ星=流星の欠片」の線を等号で繋げると、「神様=ゲート」と導かれるので、「黒の契約者」を深く読み解きたい人は、このアナロジーは覚えておくといいんじゃないかな。(えらそう)

http://d.hatena.ne.jp/AlfLaylawaLayla/20070623

 多分誰も覚えていないと思うので、第1期を見ていた時に書いた記事をまるまる引用してみました。恐らく、大枠ではこのアナロジーが第2期、「流星の双子」でもそのまま当てはまる筈ですね。

 今話で初めて出て来た「流星核(?)」というのが、何なのかは分かりませんが、その形状や名称から考えると、第1期で出て来た「流星の欠片」と、懸け離れたものでもないでしょう。念の為に繰り返しますが、上の引用でも書いているように、「流星の欠片」というのは、本物の空の「流れ星」と対応していて、同じ「願望機」としての性格を持っていました。で、今話イントロで出て来たように、パヴリチェンコ父子も「願望機」としての「流れ星」について言及していました。

「パパ、流れ星が消える前に願い事を三回唱えると、その願いが叶うって本当?」(蘇芳・パヴリチェンコ)

 というワケで、まあ「流星核(?)」とやらも、似たようなものでしょう。

払い終えた対価〜蘇芳の対価とは姉〜

 紫苑・パヴリチェンコが「払い終えた」といった「対価」ですが、基本的には、対価というのは、使った後に払う「後払い」であり、「前払い」で払う場合は、黒の妹である「白」や、猫やアミダブ・カプールがそうであったように、「自分の体」の喪失で対価を支払った場合しか確認出されていません。

「時間だよ、パパ。対価は払い終えたんだ。」(紫苑・パヴリチェンコ)

 しかし、紫苑・パヴリチェンコは「自分の体」を失ってはおらず、失ったのは右目だけです。それはちょっと足らない気がします。
 ところで、第1期の時にもしつこく書いてましたが、私は、契約者の「対価」というのは「人間性の喪失」の代償行為として捉えています。その為、「対価を支払い終える」という状況は、取り戻すべき「人間性」、またはそれに相当する「何か」が無くなった場合に限られます。(多分)
 そう考えれば、紫苑・パヴリチェンコが払った対価として最も有力なのは、「自分の肉体」に相当するモノ、つまりは双子の姉、「蘇芳・パヴリチェンコ」に他ならないのでしょう。どういう形で支払ったのかは知らないけどね。
 或いは、逆に、蘇芳・パヴリチェンコ自身が契約者で、蘇芳が支払った対価こそが「紫苑・パヴリチェンコ」という事もあり得ますけどね。たとえば、黒さんの場合は、妹が「自分の体」を支払った事で、黒さん自身は「対価」を払うことなく(実際はそういうワケでもないんだけど)、能力を使えまくるというのもありますし、「黒と白の兄妹」と「蘇芳と紫苑の姉弟」というのも、微妙に交差しているようで、これも結構ありえるかも。

夢〜幼年期の終わり

 「夢を見ること」と「夢から醒める」事、これが一つには「大人になること」を意味している事は間違い無い。そしてもう一つが「」「契約者になること」、これも多分間違っていない筈。でも、残酷にそれらを要求してくる「突然壊れる現実」に対して頭を垂れるのが正解か……というと、恐らくそれは必ずしも正しくはない。

 「流星の欠片」がニックさんやアンバーさんの願い・夢を叶えてくれたように、願望機としての「流星核(?)」とやらが、存在する以上は何らかの形で「夢」は叶う。それは間違いない。同時に、願った全ての「夢」は叶わない、これも間違い無い。何しろ現実は厳しいから。
 だって、「契約者になって変わってしまったターニャや紫苑」、「死んでしまった父親」、それらが全て丸く収まるワケ、ないじゃないですか。

まとめ〜蘇芳・パヴリチェンコ〜

 とりあえず、第1話の段階で私が考えられるのはこれぐらいかな。
 他にも、蘇芳の持ってるカメラが黒の天体望遠鏡に当たるだろうとか、いくつかネタはあるけれど、ま、そゆことで。

微妙に役に立つSunithaの第1期「DARKER THAN BLACK 黒の契約者」の感想はこちらで読めます。

次回予告

 何かよく分からないけど、DARKER THAN BLACKで色々酷い目に遭いそうな蘇芳・パヴリチェンコは可愛いと思います!(バカ)

DARKER THAN BLACK-黒の契約者- Blu-ray BOX

DARKER THAN BLACK-黒の契約者- Blu-ray BOX

DARKER THAN BLACK -黒の契約者- 9(最終巻) [DVD]

DARKER THAN BLACK -黒の契約者- 9(最終巻) [DVD]