CLANNAD第18話感想&備忘録「逆転の秘策」

 今回は第20話「新しい生活」の為に、岡崎君と他のヒロインとの関係を清算し、渚さん一人を選ぶ為のお話。それでも、幾つも可能性がある宇宙の中の「別の世界」では、智代さん、杏さん、そして椋さんがヒロインとして収束していたであろう事が椋さんの口から語られ、無自覚のままヒロインを振り回し続けた岡崎君には、「それぞれのヒロインの『気持ち』を死ぬほど食べさせられる事」で罰を受けてもらった―――という話でした。
 他のヒロインを幸せにしてあげたいなら、黙って原作ゲームを買って幸せになりましょう。大人ならここは堪えるトコですよ。最初から、こうなるんだって分かってはいたんでしょ?

智代アフター ~It's a Wonderful Life~  初回特典版

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CLANNAD FULL VOICE

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岡崎朋也坂上智代

 似たような名前の二人。似たような境遇の二人。だから、智代さんには岡崎君の「家族」になれる可能性がありました。それは結局叶わなかったけど、「仲間」にはなれた筈。

 智代さんは「遅刻しない為に起こしに来る」という大義名分から一線を越えて「世話女房」的な所まで踏み込んでいったものの、岡崎君とお父さんの関係まで立ち入る事はできず、その契機を与える為の言葉を残すに留めます。ここから先は、渚さんの役目ですから、ここが智代さんにできる精一杯。

「どんなに冷え切っているように見えても、大事な所は変わっていない。
家族にも、そういう『何か』があるんじゃないかと、私は思う。」(坂上智代

多世界解釈によるCLANNAD

「占いが当たってしまうと未来が一つしかないみたいじゃないですか。
でも外れれば他の未来もあったんだなって思えます。
ちょっとしたきっかけで未来はどう分かれるか分からない。
私、これから、自分達が進む道には沢山の可能性があると信じたいんです。」(藤林椋

 ことみさんの時も語られたように、「作品世界」は、「CLANNADという物語の構成」は「一人一人のヒロインが奏でるCLANNADという物語」だという解釈が可能ですし、ことみルートではそのことも言っていたと思うので、椋さんのこの台詞はその事も意味しているのだと思います。
 だから、「ちょっとしたきっかけ」で岡崎君も渚さんではなく他のヒロインのルートに入っていた可能性(つまり原作ゲームの事)があったのです。それを仄めかしたのが、「不在の空間」で岡崎君を起こしに来た智代さんや、体育倉庫でふたりっきりになった杏さんとのエピソードだったんですよ。

CLANNADで出された「公式」と「公式によって表現される世界」の関係
公式 公式によって表現される世界
超ひも理論(みたいなもの) 一つ一つのハープが奏でるCLANNAD世界の場
CLANNADという物語の構成 一人一人のヒロインが奏でるCLANNADという物語
一ノ瀬夫妻の論文の内容 「隠された世界」それぞれが奏でる多元宇宙
一ノ瀬夫妻の手紙 一人一人が奏でる「美しい世界」
両親が伝えてくれたことみ自身の人生 友達と一緒に奏でる人生
旋律 みんなで一緒に奏でる音楽 ヴァイオリン:ことみ、カスタネット:渚、トライアングル:椋、監督役:杏
http://d.hatena.ne.jp/AlfLaylawaLayla/20080205/1202220231

 岡崎君にとっては「父親」との関係があるから、誰かを幸せにはできないだろうから、「彼女なんて作らない」って言っていたのに、そんな気持ちよりずっと「渚さんを好き」という気持ちの方が強く、そしてそれを認識してしまったから、今回は渚さんルートに入っただけの事。だから、椋さんは、渚さんの登場以前に岡崎君に告白していたらこうはならなかったかも知れませんし、それは杏さんや智代さん、ことみさん、風子さんにとっても同じ事。岡崎君に「好きだ」と思わせた者の勝ち、それだけの話。

 というワケで、「ヒロインの気持ち」が籠もった幸せに囲まれて罰を受けるが良い、岡崎朋也

「私と涼が五時起きで作った料理よ。勿論食べてくれるわよね。」(藤林杏
「私は岡崎を停学にした責任者であり関係者だ。面倒を見る義務がある。」(坂上智代
「私も、自分の料理を食べてもらいたいです!」(藤林涼)
「私も、夕べから下拵えして頑張って作ってきたの。」(一ノ瀬ことみ
「風子も手料理を持ってきました!岡崎さん、ここは風子にお任せ下さい!」(伊吹風子

 最後の最後で積極的になった涼さんが痛々しい…、涼さん、もう遅いんですよ、もう全て手遅れなんですよ…。「椋さんルートが原作ゲームにはあると信じていた私」だから敢えて言いたい!

 椋さんルートを作って下さい!(バカ)