マクロスF(フロンティア)第11話感想&備忘録「ミッシング・バースデー」
今話はアルトが「ここ」から逃避する話であると同時に、「ここ」に戻って「向き合う」きっかけとなる位置づけになる話でした。
「実家に顔を出す」、「ランカと会う」、「本物の空を飛びに行く(ついでにシェリルのお守りをする)」のどれを選ぶか迷うアルトが出した答えは、家から逃げて、ランカに対して過剰に干渉せず…と、一見「本物の空」を選んだようでいて、その実何も選んではおらず、「本物の空」に逃げただけなんですよね。
ですが、アルト自身もこのまま逃げてばかりでいいとは思っていないように、恐らくガリア4で起こった事件で、「シェリル・ランカを守りたい(=「ここ」にいたい)」、「マクロスフロンティアに帰りたい(=「ここ」に帰りたい)」という思いを自覚すると同時に、家とも何らかの決着を付ける為のきっかけを得る事になるのだと思います。
今回のマクロスFの舞台設定が巧いと特に思ったんですが、マクロスフロンティアという「ここ」に対して「ガリア4」は異界として働きます。また、アルトの「実家」も、現在の「学園・S.M.S」という「ここ」に対して異界として働きます。
恐らくは、それら「フロンティア」、「学園・S.M.S」という「ここ」から離れる事で、それら「ここ」に対しての思いを新たにするという意図だと思うんですが、こういう精緻な脚本の組み立ては流石ですよね。
そういえば、「舞台」繋がりで、歌舞伎の舞台っていうのは、そこに付与されている意味合いを剥がすと「単なるニセモノの地上」という事になるんですが、それって、「ニセモノの空」を持っているマクロスフロンティアの「空」と同一のモノなんですよね。
その辺の繋がりもあって、アルトは「ニセモノの地上」も「ニセモノの空」も嫌っているんだとは思うんですが、マクロスフロンティアという物語は、マクロスフロンティアという「ここ」に対してアルトが「ここにいたい」という方向に向かっていく物語ですから、アルトがマクロスフロンティアに愛着を持って、例え「ニセモノの空」でも「ここにいたい」と変わる事で、「ニセモノの地上」である歌舞伎の舞台についても、そこから何かに気付いたり、気付かされたりするんでしょうね。
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おまけ
今週も短縮営業です。ごめんね。