マクロスF(フロンティア)第24話感想&備忘録「ラスト・フロンティア」

 今回は、アルトが待っている人に対して初めて「ここ」へ帰ってくると言語化し、欠けている「共存」の属性も、ブレラ・スターンに指摘されたり、パイロットのアルトに息づいている「役者の血」を父親が見止めた事で徐々に着地点に近づいてきた話でした。

シェリル、俺は帰ってくる。この戦いを生き抜いて、必ず帰ってくる。それだけ言いにきた。」(早乙女アルト
 
「人は、一人じゃ飛べない。飛んじゃいけない。それが分かったから。」(早乙女アルト

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本編感想

 色々と結論を先延ばしにしてきたアルトですが、ランカと一緒に帰ってくるとシェリルに約束して「三角関係の決着」は成り、ずっと「俺は、ここにいたくないんだ…」と言ってきたアルトの旅はほぼ終着。

「先生、アルトさんが。」(早乙女矢三郎)
 
「それがお前の『舞い』か。」(早乙女嵐蔵)

 また、父親に「パイロットとして『飛びたい』と思うアルト」と「歌舞伎役者の血を引くアルト」は決して相反せずに「共存」しており、アルト自身となっていると認められたのは結構重要。因みに、それについては第12話の感想の段階で書いてます。

 先回、アルトが「ランカ」と「家」から、「本物の空」へ逃げたので、「ランカ」と「家」に対して向き合う何らかのきっかけがあるとは思ってたけど、「ランカ」の要素は「時空を超える=世界を変える」という形だったけどそれ程驚かなかったのに対して、「家」の問題でアルトの「役者の血」と「ゼントラーディーの血」をリンクさせてくるとは思わなかったのですごく驚きました。まさかそう来るとは。

 今話では、ゼントラーディーは確かに戦闘を好む傾向があるけど、「歌」に感動して魅入ったり熱狂して鼻血噴いたりと、マイクローンよりも文化に対して鋭敏ですらある部分もあるので、「『血』を否定せずに上手く付き合っていく」というのが本編を通して描かれていましたから、「ゼントラーディーの血」と関連づけられたアルトの「役者の血」も同様に「『血』を否定せずに上手く付き合っていく」という方向に流れるという事ですね。

「俺達はそう造られた者だ!
そう生きていかずにはいられないんだよ!」(テムジン)

「呆れるよな。
どうしてあんなに――いや、なんで人は歌ったり、飛ぼうとしたり、果ては宇宙にまで出てこようとしてるのかってね。」(早乙女アルト
 
「そうせずにはいられなかったからに決まってるじゃない!」(シェリル・ノーム
 
「そうか、『飛ばずにはいられない』、か。」(早乙女アルト

 また逆に、アルトが「役者の血」を肯定しながらも上手く付き合って解決する事で、「ゼントラーディの血」が抱える問題を解決に導く事にもなります。「役者の血」と「ゼントラーディーの血」を関連づける事でアルトの行動が象徴する意味の幅がぐぐっと広がりましたよ。先週の感想ではフロンティアの「ニセモノの空」と歌舞伎の舞台という「ニセモノの地上」が関連づけられている可能性について書きましたが、世界観の中で、設定を作り込んでいるのが伝わってきます。いいですね、マクロスF

http://d.hatena.ne.jp/AlfLaylawaLayla/20080627/1214578222

 それでも、「共存」の属性があっても、「共存」が頭に無いワケなので、今回ブレラ兄さんに撃墜されたので、「共存」を掲げないとブレラ兄さんには勝てないという事ですね。とりあえず死んだふりはいいからとっとと帰ってきなさい、シェリルが泣いているでしょうが!

「それが俺達兄妹の使命だ!
バジュラの暮らす星を、侵略者から守る事が!」(ブレラ・スターン)

 それにしても、「ランカを殺す」としたアルトの道を「ランカを連れ帰る」というあるべき道に戻したり、「自分のルーツ」であるイヤリングを渡し、「今の自分」である歌を捧げ、即ち自分の全存在を懸けてアルト「達」を生かそうとするシェリルが美しすぎてしょうがない。今回はシェリルが全てです。

「覚えておきなさい、こんないい女、滅多にいないんだからね!」(シェリル・ノーム

 全くその通りですね!チクショウ!

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次回予告

 マクロスF(フロンティア)第25話「アナタノオト」

 今回の実写を使った予告、来週の展開を知らせない為と見ます。
 つまり、来週の予告を見せると、都合が悪いという事、即ちアルトは生きている―――という理解でOK?

おまけ

 ビルラー氏は、ただ誰かに会いたいだけで、やってることがほぼ同じなレオン・三島やグレイスほど悪人には見えないので、ちょっと要注意ですね。

「もうすぐだ、もうすぐ貴方に会える。フォールドの波は銀河律と時を超える。」(リチャード・ビルラー)