stage24,25スザク、正直言うとだ・・・俺はなさっき お前をこの手に掛けたくなかったのだ。幼馴染で共に同じ家で育ったおまえを亡者にしても面白くもなんともないのでな。だからあの2人に処刑を任せてしまった・・・。だがな最後の詰めで俺は甘かった・・・生きている貴様を見て、それは帝王としてのこのゼロの精神的弱さと悟ったよ……。今!ためらいもなく貴様を惨殺処刑してくれよう!

 今回のテーマは「交錯」。コードギアスのテーマの一つに「相互理解」があると思います。ただそれは、まだ誰も到達出来ていないからであって、バトレーさんが「せめて会話が可能な状態なら良かったんだが。」と言っていましたけど、ジェレミアさん以外、ルルーシュやスザクもみんな「情念で動」いている上に、まともな会話をしないし、人の話も聞きません。
 次回以降はその「相互理解」が少しずつ進んでいくんだと思います。(次回が3ヶ月後というのは問題ですが。)

 さて、ルルーシュとスザクの銃撃の結末、神根島の遺跡で黄昏を見詰めるV.V.とナナリー、そして、いまだ終結していない「独立戦争」の行方。
一見すると、何一つ解決しないままに終わったように見えるコードギアス。確かに、張りまくった伏線は全く回収されず、「秘密の暴露」と「互いの齟齬」という二つの危機を乗り越えて「相互理解」に進むというテーマすら消化してないので、確かに些か不完全ですが、一つの答えを提示してみます。

 だって、まだ何も終わっていないんだから。

 3ヶ月も待ったのにという不満はあると思いますが、コードギアスは毎話、「何一つ解決しないまま」に終わり、そして「来週が気になる所」で終わっていたので、「一週間」か「3ヶ月」の違いに過ぎないと思います。これも「相互理解」という作品内の設定が作品外にまで顔を出したと思えば面白いかも知れません。(というかこれを狙ったの?悪いヤツだね監督。)

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 NintendoDS用のソフトだけど、Windows用のソフトがついているカオスっぷりが素敵です。

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 初回限定生産なので注意。これを逃したら二度と手に入らない。

他人の本心「本心」は分かりづらい

 コードギアスはいつも、「本心」が分からない為に、「秘密」を知ってしまう事が切欠となって起こる悲劇が描かれてきました。

悲劇の構図
人物 悲劇 秘密 起こった悲劇の裏側
シャーリー 父親の死 ゼロの正体 巻き込むつもりは無かった。
スザク ユーフェミア様の凶行 ギアスの存在 和解する寸前でギアスの暴走が起きた。
齟齬の構図
人物 思い 秘密 齟齬
スザク 復讐の邪魔をするロイドさん ロイドさんの過去「人間は壊れ易い」 「邪魔はさせない!俺がやるんだ!」
黒の騎士団 扇さんが重傷 ルルーシュにははナナリーが最優先 「代わりならすぐに手配する!」
カレン ゼロに付いていけば母親の居場所が作れる ルルーシュもナナリーの居場所を作りたい 自分と同じ目的「居場所を作りたい」に気付けない。「あなたは私達日本人を利用していたの?私の事も・・・!?」
玉城 「ゼロ、やっぱお前すげぇよ!」 ルルーシュはナナリーの居場所を作りたいだけ 「ゼロは何やってんだ!」
ディートハルト ゼロはカオスの権化 ルルーシュはナナリーの居場所を作りたいだけ 「なのに、ここまで来て、まさか!」
カグヤ ゼロは運命の相手 ルルーシュはナナリーの居場所を作りたいだけ 「ゼロ様、本当に私達を、日本を見捨てたのですか?」
ヴィレッタ ギアスの所為で扇さんに惹かれた それはギアスの所為じゃない 「その後遺症で私はイレブン等と――!」
ルルーシュ 母の敵を討つ マリアンヌ自身は襲撃を知っていた ????


 ですが、ラストでC.C.が「一縷の望みは、仄かなる願いは、絶望からこそ生まれ出づる。」と言っているように、「絶望」で彩られて断絶した物語にも、まだ「希望」はあります。

 世界も、人も、全てがルルーシュを裏切っていく中で、C.C.との関係性だけは絶対的に肯定されます。
 ルルーシュ側の人間では「全ての真相」に最も近い存在であるC.C.は、「ユーフェミア様の死の真実」をスザクに伝える事になるんじゃないかと思います。
 そのC.C.の記憶は、銃殺、火炙り、アイアンメイデン、ギロチン、槍衾、裏切られた記憶だけ。
 C.C.も世界からも、人からも、死からも裏切られて生きて、本当の「願い」を諦めて偽物の「願い」にすり替えて諦めていたのに、たった一人本当の「願い」に近い関係性を与えてくれたのが多分ルルーシュ

ルルーシュ
「独りじゃないだろ?」
ルルーシュ
「俺達は共犯者。お前が魔女ならば、俺が魔王になればいいだけだ。」

 それは、単なる「共犯者」という名で括られていたのに、いつの間にC.C.にとってルルーシュに惹かれていて、最後のキスに託しているのが切ないです。

C.C.
「大丈夫だ!いや、少し不安だな。勝てよ、ルルーシュ、自らの過去に。そして、行動の結果に。」

 まだ、本当の「名前」も「願い」も叶えていないので、C.C.も必ず復活するのでしょうが、それを失う覚悟で、ただルルーシュの為に海中に沈んでいく姿が切ない。

ルルーシュ
「C.C.、死ぬなよ。」
C.C.
「誰に言っている。」


シャーリー
「大丈夫よ、黒の騎士団は、いえゼロは私達に絶対危害を加えないから。」
「嘘よ、嘘!だってそんな事したら!」
「ゼロはぜったいに私達を守るから!でなきゃ変だもの!今までの事だって!」

 シャーリーは、C.C.以外誰も気づけなかったルルーシュの「本心」、「ナナリーを守る為」という事に気付きつつあるのです。シャーリーの疑問点「捨てられた皇子」という事実さえ知る――ギアスの命令を破って思い出す事ができれば、「相互理解」によってルルーシュの「帰る場所」になれる筈なのです。

 因みに、先回(3ヶ月前)に、こんな事を書きました。

 ユーフェミア様にとって、とても大事な存在だったスザクを殺さない為に一度は屈したギアスを最後の最後にねじ伏せたユーフェミア様。
 これは、ギアスは絶対ではない事を意味し、自分の強い「願い」は、他人の「命令」には屈しないという事を意味しています。
 これが象徴的に意味するのは、個人の「願い」が、権力などの強大な力による「命令」を凌駕する、「反逆」を意味するという事です。
 しかし、その「反逆」の先頭にいる筈のルルーシュが「願い」という「反逆」に負ける運命の「命令」を意味するギアスを持っているという面が生まれたのは興味深いです。

 つまり、ルルーシュが真に「反逆」する為には、ルルーシュ自身が「命令」を象徴する「ギアス」に、V.V.の悪意に打ち克つ必要があるという事であり、それによってルルーシュは生徒会の風景にも帰れます。
 何ですか構成美は。
 この「ギアス」に打ち克つカタルシスを描く事まで考えて「ギアス」の設定を作ったなんて、コードギアスは凄過ぎます。

 勿論、ギアスが破れる事が分かった今、シャーリーの記憶が戻る事が現実味を帯びてきましたよ。

シャーリー
「ルル?私、そう呼んでたの?」

 「ルルーシュ」の名前を失ってしまったと考えている今のルルーシュに、シャーリーが「ルル」と呼ぶ事がきっとルルーシュ「日常」に帰らせるきっかけになる筈なのですよ。

http://d.hatena.ne.jp/AlfLaylawaLayla/20070330
  • 扇さんもゼロの心を信じている

 扇さんは、ゼロの「本心」を知らなくても、ゼロの「何か」を信じていて、それを見届ける役割をカレンさんに提示してくれました。


「ゼロを追え。彼の行動には意味がある筈・・・。助けるんだ、ゼロを・・・ナオトの夢を・・・継ぐ者・・・」

 おまけに、ヴィレッタさんの記憶が戻った事に安心すらしている所と、その扇さんを撃った後の悲しげなヴィレッタさんもまた、「相互理解」の到達点の一つの形を実現出来る筈です。

  • ロイドさん

「人間はとても壊れ易いって。その肉体も心も互いの関係も。」

 「秘密」やその暴露で簡単に壊れてしまう人間と人間関係の危うさを理解しているロイドさんは、「相互理解」の役割を担った人物です。



  • 仲間の為に「秘密」を暴露したカレンさん

 殆どの登場人物が「秘密」を暴露しようとしない中、自ら「秘密」を暴露したカレンさんの態度は肯定されます。
 同じく仲間を助ける為にランスロットから出たスザクも、作中の神ポジションっぽいアーサーが助けたように、「仲間を助ける」という点で肯定されると思いますが、ロイドさんの真意も知らずに殴ったり、今までの不殺を捨ててランスロットで殺しまくったり、「憎しみ」に捕らわれてルルーシュの「本心」を知らないままで撃とうとするスザクは否定される筈です。


  • ナナリーはゼロを否定した。

ナナリー
「スザクさんを助けて上げて下さい。ここで今、一番頼りになるのは―――」

 今までルルーシュはナナリーと為に戦ってきましたが、ナナリー自身はその行為を否定。
 また、V.V.にさらわれた事で、ルルーシュにとって一番最悪な形になる筈。恐らく、ナナリーは一度ルルーシュの前から消えるなり、ルルーシュ自身の否定をルルーシュ自身に突き付ける事でルルーシュを追いつめる事になりそうです。


相互不信

 16話、20話で達成された筈、二人の共闘が再び否定されました。

ルルーシュ
「俺とお前、二人がいれば出来ない事なんて。」
スザク
「甘えるな!」

 そしてお互いのトラウマを曝して対立が決定的に。

ルルーシュ
「お前も父親を殺しているだろう!懺悔など、後でいくらでもできる!」

スザク
「お前の存在が間違っていたんだ!お前は世界からはじき出されたんだ!」

 そして弾丸は撃たれた。

 この「3ヶ月」という時間的距離が、スクライド13話ロストグラウンドの「爆発オチ」に相当する演出の一貫だと思います。
 また3ヶ月またされるのかぁ。

 ナナリーが作った白と黒の折り鶴、黒が倒れていたのが心配要素ですが。


その他

シュナイゼル
「悲しいじゃないですか。人が殺し合うなんて。」

 ウソつけ。「優先順位」の下なら切り捨てるクセに。

リヴァル
「俺がみんなを守る!」

 「仲間を肯定する」リヴァルが格好良かった。ルルーシュやスザクもいずれそこに帰ってくる筈なので、リヴァルもやはりルルーシュ達の「帰る場所」なんだよ。