true tears 第5話感想&備忘録「おせっかいな男の子ってバカみたい」
石動さんがお弁当のウインナーを通して「比呂美さんに言いたかった事」を表現した脚本が素晴らしい。
真一郎君は三度「暖かい服」を掛けられているんですが、それがもたらした三者三様の結果が非常に効果的で素晴らしい。
真一郎君を起点に「何を考えていんだか分からない人達」の言動が連鎖的に人間関係に変化を与えていく様が素晴らしい。
完璧。素晴らしいです。
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本編感想
石動さんがお弁当のウインナーを通して「比呂美さんに言いたかった事」
まず、最初に石動さんが比呂美さんにあげたのは「卵焼き」。着色料無しの「鶏」に由来します。これは、比呂美さんを試す試金石なのだと思います。
そのリアクションとして、比呂美さんは着色料付きの「ウインナー」…ではなく、「天空の食事」と同じ赤い実の「トマト」。この時点で、石動さんは比呂美さんに、「自分はウインナーが嫌い」という事を認識したと確認しています。
その次の日に石動さんが沢山持ってきたのは着色料付きの「ウインナー」。
「ウィンナーは嘘つき。本当は赤くないくせに。」(石動乃絵)
「嘘の食材を口にしたらもっともっと嘘つきになっちゃう。
ウインナーはホントは赤くないの。」(石動乃絵)
違う台詞を二度別の人に言っている事からも、この台詞に「嘘」は無く、石動さんは「嘘」にまみれたウインナーが嫌いなわけです。つまり、石動さんが比呂美さんにとった行動は、「沢山沢山ウインナーを食べさせる事」はその反応としての「『石動さんが嫌なモノ』をどうして食べさせるのか?」という疑問の導く為にあります。つまり、「沢山沢山嘘を付いていていいの?」と言いたいのだと思います。
これは、比呂美さんが雷轟丸と違って嫌ってさえいた「地べた」にウインナーを食べさせていたように、石動さんには「比呂美さん」と「地べた」が同水準の「飛べない」存在として認識しているのだと思います。
因みに、同じ「赤い食べ物」でも、総天然色(死語)の「天空の食事(グミの実)」とトマトは、嘘が無いから石動さんは好きなんだという事。
真一郎君に三度掛けられた「暖かい服」がもたらした三者三様の結果
一度目は先回の石動さんに掛けられた祖母のコート。これによって真一郎君は比呂美さんを救う為の気持ちを新たにしました。(ポジティブな結果)
二度目は今回の比呂美さんに掛けられたマフラー。一度目の石動さんとのイベントが効いていますが、でもこれが逆に真一郎君のお母さんの不興を買ってしまい、比呂美さんの立場が悪くなり、真一郎君もそれを壁越しに聞いて知ってしまいます。(ネガティブな結果)
三度目は今回のラストのあいちゃんに掛けられた編み掛けのセーター。次回予告を見る限りではとんでもない事になりそうです。(ネガティブな結果)
「いいなぁ、三代吉幸せモンだよなぁ。」(仲上眞一郎)
この台詞があいちゃんのスイッチを入れちゃったんだよね。三代吉と付き合う事で真一郎君の事を忘れようとしていたのに、真一郎君が「いいなぁ」なんて言うから。
「開けないで。」(安藤 愛子)
あいちゃんかわいいよあいちゃん。
真一郎君を起点に「何を考えていんだか分からない人達」の言動が連鎖的に変化する人間関係
真一郎君が「何を考えていんだか分からない人達」の言動に振り回される為に、また真一郎君自身の「まごころの想像力」の足り無さの為に、いつの間にか、真一郎君と石動さんが接近し、真一郎君の「(全然足りていない)まごころの想像力」の所為で比呂美さんが傷付き、あいちゃんの「スイッチ」が入ってしまい、「あいちゃんと三代吉」が危機に、「比呂美さんと石動純君」が同じ「好きなモノを好きでいられなくなる思い」を抱えてる要素もあり、(演技かもしれませんが)接近したりと、素晴らしい展開です。
あいちゃん | (非常に不安定な交際) | 三代吉 | |
↓忘れようとした矢先に真一郎がスイッチを入れる | |||
真一郎 | (様々な要素が入り交じって交際っぽい事になってる) | 石動乃絵 | |
↑好きなモノを好きでいられなくなってる | ↑好きなモノを好きでいられなくなってる | ||
比呂美 | (交際?) | 石動純 |
「石動さんが大嫌いな嘘」(ウインナーで提示されている)をついた真一郎君に幻滅した石動さんですが、何だかよく分かりませんが、「飛べる」と再認識したようです。相変わらず石動さんの思考は完全には読めませんが、でもそれで真一郎君も「飛べる」と認識するくらいですから、きっと力のある言葉なんだと思います。
BEFORE
「稽古があるからって、言ったのに……。」(石動乃絵)
↓
LATER
「雷轟丸みたいだった!
凛々しくて、大きくて、光ってて。」
「ちょっとね、誤解しかけてたの、真一郎のこと。
でもやっぱり違ったわ。真一郎は飛べる。
気高い涙を流せる人だわ、真一郎は。」(石動乃絵)
でも、「飛べる」って具体的に何を示しているのかな?東京とかの「遠く」に行く事?「夢」を叶える事?それとも「天国」へ行く事なのかな?この辺はこれから描写されるとは思うので期待していこうと思います。
「そんな事言う為に、この部屋に入ったの。」(湯浅比呂美)
比呂美さんはいつも物腰の柔らかい娘で、少し陰は有ってもこんなに険がある娘だとは思ってなかった筈なんですよ。あぁ、楽しみです。
しかも、真一郎君の心情の吐露と比呂美さんの心情の吐露が交互に描かれ、しかもそれがお互いに同じような事を考えていたのにすれ違っていく様が非常に効果的に描かれているんですよ。
同じようなシーンでも、真一郎君を描写した時には見えなかったモノ、例えば比呂美さんを描写した時には、真一郎君の突然の来訪に驚く比呂美さんの表情が彼女の内面を如実に物語っているんですよね。
「あ、この写真、女の人の顔が切り取られてますね。」
そして降り出す雨。それは比呂美さんが流せない「涙」の象徴。
今回遂に比呂美さんの心情の吐露が挿まれてきました。今まで心情の吐露は真一郎君の専売特許だっただけに、比呂美さんの内面が描かれた事は、視聴者の「神の視点」に於いてこの物語の第一の壁が取り払われて真実の姿に一つ近づいた事を意味します。つまり、比呂美さんが「泣けない」理由が描かれる準備が整った事を意味するのだと思います。
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