機動戦士ガンダムOO第21話感想&備忘録「滅びの道」
ガンダムの存在意義が薄れて「闘う理由」を失いかけていた刹那君が、ヴェーダからのリンクが切れてその「戦う理由」たる「ガンダム信仰」を完全に叩き折られるんですが、「生きてやらねばならない事がある!」と咆哮して再び「戦う理由」を取り戻すシーンが熱かった。そして刹那君の意志に応えるように再び灯るエクシアのGNドライヴという、刹那君とエクシアのシンクロは正に神演出。
今回も最高でした!
またリボンズさん以外の誰もが「真実」が見えなくなっている状態で、父と絹江さんから継承した「真実を追求する精神」を持つ沙慈君の役割が見えてきた感じです。
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刹那・F・セイエイ
「戦いが広がっていく…。ガンダム…。」(刹那・F・セイエイ)
「やめたいのか?
やめたがっているのか、俺は…」(刹那・F・セイエイ)
三大国が「ガンダム(と同性能の機体)」を手にした事で、プトレマイオス組のガンダムでなくては出来ない事というのは無くなりました。自分自身も相手も「同じ力」を持っている今、刹那君が持っている「力」というのは、「夢に出た銃」と同じように、最早、ほんのささやかなモノでしかありません。
「太陽光発電で、土地も民も戻ってくる。
きっと、もっとよくなるわ。」(マリナ・イスマイール)「マリナ…」(刹那・F・セイエイ)
「だからね、もう、戦わなくてもいいのよ。いいのよ、ソラン。」(マリナ・イスマイール)
そしてマリナさんの「誘惑」。この「誘惑」は、「(アレハンドロさんによる)世界の変革」をこのまま受け入れようという暗喩。世界が変わっていくという意味では「目的」はもう達成されていて、刹那君達の「ガンダム」でなくてはできない事はもうどこにも無い。
マリナさんが刹那君を「ソラン」と呼んでいるのは、「夢だから」ではなく、「刹那・F・セイエイ」を辞めて、「ソラン・イブラヒム」に戻れという事の暗喩で、第19話「絆」で提示された刹那君の決意を揺さぶるモノ。(刹那君がマリナさんを「マリナ」と呼ぶのは初めてなのもポイント。)
「だが、生きているなら俺は戦う。
ソラン・イブラヒムとしてではなく、ソレスタルビーイングのガンダムマイスター、刹那・F・セイエイとして。」(刹那・F・セイエイ)
「ガンダムに乗ってか。」(ロックオン・ストラトス)
「そうだ、俺が、ガンダムだ。」(刹那・F・セイエイ)
「少年兵時代に神に見放され」、代わりにガンダムという信仰の対象を見出したのに、今度また「ヴェーダ&ガンダムに見放され」た事で、自分自身の存在意義を見失ってしまう。そして、それは「アレハンドロさんによる世界の変革」を許してしまう事になる。
「ここまでなのか。俺の、命は…。」(刹那・F・セイエイ)
本当にこれでいいのだろうか…?
いや、これでいい筈が無い。断じて無い。
まだ「ソラン・イブラヒム」に戻るワケにはいかない。「ソラン・イブラヒム」と生きるなら、ささやかな幸せも得る事ができる。でも、それでも、自分自身の存在意義が消えた世界で、「(アレハンドロさんによる)世界の変革」を見守っていくワケには行かない。「自分が求めた世界」はこんな世界ではない。
「マリナ…。
違う、違う!俺はまだ生きている!生きているんだ!
動け、エクシア、動いてくれ!
動いてくれ、ガンダム!」(刹那・F・セイエイ)
それを胸に再び立ち上がる。そしてそれに呼応するように再び灯るGNドライヴ。今この瞬間、刹那・F・セイエイは「ガンダム・エクシア」になった。
「そうだ、俺が、ガンダムだ!!」(刹那・F・セイエイ)
ティエリア・アーデ
「完全」を求めていたティエリアさんですが、ヴェーダが当てにならなくなった事で「絶対的な指標」を失い、自分の脚で歩く必要が出てきました。
その「不完全さ」を許容し、ティエリアさんにとっての「世界の姿」を変える為に、「不完全な人間」であるスメラギさんの「過ち」についてのイベント発生。
「ミス・スメラギはその過去を払拭する為に戦う事を選んだ。
折れそうな心を酒で薄めながらな。
そういうことが出来るのも、また人間なんだよ。」(ロックオン・ストラトス)「人間…か…。ロックオン、あなたは僕の事を…」(ティエリア・アーデ)
「過ち」はやり直す事が出来る。(そして、ここで何気なくロックオンを「あなた」と読んでいるのは重要。前のティエリアさんなら「君」と言っているトコ。好感度アップしてます)それを伝えたロックオンは、ティエリアさんの代わりに負傷。
「そんな、僕を、庇って。ロックオン・ストラトス!」(ティエリア・アーデ)
これでティエリアさんは、スメラギさんの気持ちが分かってしまうので、次に来るのはティエリアさんとスメラギさん、「完全」と「不完全」の対話が始まる筈。
だから、今回ヴァーチェへのスタンドアロンシステムにエラーが起きたのは、ヴェーダを失った「ティエリアさんに『不完全さ』を許容する準備」が無かったからで、今回の「過ち」によって、「不完全さ」を許容出来るようになるという事でしょう。
「ティエリア、これだけは言わせてくれ。
状況が悪い方に流れている今だからこそ四機のガンダムの連繋が重要になる、頼むぜ。」(ロックオン・ストラトス)「その言葉は、刹那・F・セイエイに言った方がいい。」(ティエリア・アーデ)
つまりは、ティエリアさんに任せておけば大丈夫、という事。
ストラトス兄貴!ゆっくり静養して下さい!
その他のプトレマイオスクルー
「スタンドアロン」なシステムが暗喩しているように、プトレマイオスクルーはヴェーダから独立して道を模索しなくてはならないのですが、刹那君がティエリアさんと分かり合い、フェルトさんも変わったように、プトレマイオスクルーにはその準備は出来ているという描写で、今回の「独立」を補強する描写がいいですね。
「最近、柔らかくなってきたわね、フェルト。」(スメラギ・李・ノリエガ)
「そ、そうですか…」(フェルト・グレイス)
「そうよ。」(スメラギ・李・ノリエガ)
「いい傾向、いい傾向。」(クリスティナ・シエラ)
あと、ラッセさんが駆るGNアームズが格好良かった。GNドライヴは積んでないみたいですけど、放つ粒子は天使たる「プトレマイオス組のガンダム」と同じ緑のGN粒子。つまりは天使です。
トリニティ組
ちょっと前までは、プトレマイオス組が知らない「真実」を知っているポジションになっていたトリニティ組ですが、アレハンドロさんに用済みとされて人革連の攻撃を受けて、「真実」への近さではプトレマイオス組と同じ水準に転落。
「我々を裏切った、いや、最初から葬り去るつもりだったのか、ラグナ・ハーヴェイ!」(ヨハン・トリニティ)
ラグナさんも最初からトリニティを切り捨てるつもりではあったんですが、ラグナさんも切り捨てられているワケで、蜥蜴の尻尾同然になってしまったという事。
これでトリニティ組は王留美さんを頼らざるを得なくなり、王留美さんはプトレマイオス組とトリニティの動きに干渉出来るようになり、三大国に干渉出来るアレハンドロさんに次ぐポジションを得る事になります。いい感じで王留美さんがアレハンドロさんに次ぐラスボス候補としてメキメキと頭角を現してきましたよ。
沙慈君
「事実を求め、つなぎ合わせれば 真実が見えてくる。」(沙慈・クロスロード)
先回のミスリード。絹江さんがサーシェスさんに「刹那君についての情報」という、あまり役に立たない情報を聞いたのは、絹江さんが生き残って沙慈君に伝える為ではなく、絹江さんが最後まで「真実」に辿り着けなかった事(ラグナさん繋がりでアレハンドロさんという悪が垣間見える所までは来てたんですが)は、彼女の無念を表す為の「溜め」だったというワケですか。ゴメンよ、絹江さん…。
「教えて下さい!姉さんは何を調べていたんですか!」(沙慈・クロスロード)
これで沙慈君はソレスタルビーイングを憎む事になりますが、同時に父、姉に継承されてきた「真実」を見極める精神を沙慈君は継承した事になります。プトレマイオス組も、トリニティ組も、三大国も、誰もが「真実」を見失っていて、一番近いのはリボンズさんですが、それに迫っていくという事ですか。
負けるなよ、沙慈君。
アレハンドロさん&三大国
「国連軍の勝利は必須事項だ。」(アレハンドロ・コーナー)
「もうすぐだ、もうすぐ。」(アレハンドロ・コーナー)
全てを手にしたアレハンドロさんですが、プトレマイオス組はスタンドアロンシステムを構築してガンダムの破壊を回避し、トリニティ組もヨハンさんが異変に気付いて間一髪迎撃に成功…と、予想外の要素が起きていて、完璧な勝利ではありません。
それを象徴するように、コーラサワー君とダリルさんによって、「痛み分け」である事が言語化されていました。
「大佐のキッスが…」(パトリック・コーラサワー)
「くそ!これでは隊長に申し訳が立たん!」(ダリル・ダッチ)
機動戦士ガンダムOO 特典 ガンプラ FG「ガンダムエクシア ロールアウトカラー」付き
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