マクロスF(フロンティア)第6話感想&備忘録「バイバイ・シェリル」
今話は「俺はここにいたくないんだ…」と思っていたアルトが、「もう何も失いたくない」と、全てを失った状態を経験していたシェリルの思いを受け取って「俺は、ここに必ず帰ってくる!」と、明確な「ここにいる理由」が言語化されるシーンが良かった。
「借りとくぜ、お前の幸運。」(早乙女アルト)
「貸すだけだからね!必ず返しに来るのよ!いいわね、アルト!」(シェリル・ノーム)
「ああ!」(早乙女アルト)
「いいか、誰一人死なせはしない!
必ず生きて、フロンティアに帰ってくるぞ!」(オズマ・リー)
(ここでアルトがシェリルのイヤリングを見る=「帰ってくる」事を反芻する行為)
本編感想
シェリルもアルトと同じで「ここにいたくない」と思っていた事が提示され、シェリルとアルトに共通の感情を抱いていた事が提示された事で、二人の相違である、「全てを失ったシェリル」と「全てから逃げているアルト」が対照的に描写しています。
マクロスFで重要な意味を持つ「ここ」は、「恋人」、「家族」、「仲間」、「船団」の4つからできていますが、そのうちシェリルは「家族」を失った状態から始まり、「仲間」もいない状態から「努力」を重ねて歌手になったものの、「マクロス・ギャラクシー」という「船団」の安否が定かではなく、そして今、「恋人(候補)」のアルトまでが失われるかもしれず、もしそうなってしまえば、シェリルの「ここ」はどこにも無くなってしまう。
そして「もう失いたくない」、「帰ってきて欲しい」という願いを込めて「家族」に繋がる唯一の絆である「イヤリング」を渡す事で「母と娘の絆」から「シェリルとアルト二人の絆」に変わる。
逆に、アルトは「家族」からは逃げているだけで少なくとも父親は存命で、「美星学園」と「S.M.S」に「仲間」がいて、「船団」もきちんと「ここ」にあり、アルトはまだ何も失ってはいないんですよね。
シェリルの話を聞くことで、今まで「ここにいたくないんだ」と思うだけだった場所にもう一度向き合って「失いたくないモノ」を見直す「きっかけ」になるワケです。「失ってから初めて気付くモノ」って本当に大事なモノばかりですから。
勿論ランカも「家族」を失っていますし、オズマを失ってしまえば再び「家族」を失う事になるので、その点では同じくアルトにとっての「きっかけ」になります。でも、先回、シェリルの「イヤリング」とアルトの「お守り」は同等のモノとして描写されてましたから、同じようにアルトの「お守り」はアルトの母親の形見だと思うので、その点でもこの件に関してはシェリルの方がランカより強いと思います。
その傍証としてアルトに「帰ってくる事」を約束したのはシェリルだけでランカはもう一歩を踏み込めずといった所からも伺えまし、「全てを失った後悔」の歌であるEDの「ダイアモンド クレバス」がシェリルの歌(=シェリルの気持ちを代弁する機能を果たす)が流れてランカは未だ遠いコンサート会場へ走って向かっている最中(=歌手として遙か彼方のシェリルを追い掛けているという暗喩)という事からも、やはりシェリルの方が今は強い。しかし、今回は「ダイアモンド クレバス」が映えるなぁ。
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「家族」については、恐らくは時期は第二クール中盤辺りで、父親が倒れるとかそんなイベントがあって、シェリルとランカに怒られて泣かれて、父親と向き合う―――といった所でしょう。
アルトには是非とも女装して頂きたいので早めに仲直りして欲しいんですよね!(台無し)
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次回予告
マクロスF(フロンティア)第7話「ファースト・アタック」
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おまけ
冒頭のフォールドについての話は、先回の「マクロス・フロンティア」についての説明を「大地」と捉えれば「空」とも捉える事もできますが、フォールドの欠点は即ち、「『夢』の『限界』」を意味するで、「幻想は打ち砕かれる」という厳しい現実の暗喩になっているという事かなぁ。