アニメAIR 感想 



 
 AIRを見終わって数日が経ちました。

 そろそろ落ち着いてきたので、感想を書きますよ。

 美凪・みちる編も好きなのですが、AIRの本質はやっぱりAIR編だと思うので、AIR編の感想を書きます。

 以降ネタバレと私の主観が思いっきり入ってるので、そこんとこよろしく。

 原作ゲームは未プレイなので、既にプレイされた方は、私が何か見当違いなことを言ってても暖かい目で見守ってください。

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 観鈴
「今日までずっと一人。結局私が頑張っても、人に迷惑掛けるだけでいい事なんて一つも無いのに。今までの私がずっとそうだったみたいに、諦めていたら良かったんだ。誰も好きにならずに。」

往人
「だから俺は、お前から逃げる事にした。」

晴子
「やっぱりやめた。今更本物の家族になんてなられへんわ。」


 初見で分からなかった事、「どうやって呪いが解けたのか?」が何となく頭の中で整理出来てきたので、私の主観を言うと、傷つく事を恐れずに「想い」を伝えてくれた(=「愛してくれた」)人がいたからだと思います。

 その一つが往人であり、もう一つが晴子だったのではないかと思います。

 SUMMER編で明らかにされたのが、観鈴を苦しめていたモノの正体、つまり神奈が母、八百比丘尼の言う「穢れ」(=死者の怨念)を背負ってしまった 事、僧侶によって掛けられた「翼人を思いを寄せる人間もろとも祟り殺す呪詛」、そして、この「負」「星の記憶」を背負った翼人の魂は大きすぎて、人の器 では支えきれない。この三つの「呪い」

 だから、観鈴を救う為には、その三つ全てを破らないといけなかったのだと思います。

 だから、往人が最後に観鈴に自分の命をあげた(と、私は思ってます)事は、柳也、裏葉に始まる「命の繋がり」が紡いだ「願い」であり、神奈が最後に二人に託した「幸せに暮らすのだぞ」という「願い」を再び観鈴(=神奈)に繋いだということだと思うんです。

往人
「ずっと一緒だから。頑張ろうな、観鈴、ゴールに辿りつくまで、頑張ろうな、観鈴。」


 これによって、「負」「穢れ」(=死者の怨念)は、人形に込められた柳也と裏葉に始まる「命の繋がり」という「正」「願い」によって破られ、「翼人を想いを寄せる人間もろとも祟り殺す呪詛」は、それを打ち破るだけの往人の観鈴に対する「想い」が打ち砕きました。(多分)
 しかし最後の呪い、「莫大な翼人の魂」観鈴の体が堪えきれずに観鈴の魂は消えようとしますが、それも往人が自分の命を観鈴に与えること(=「命の繋がり」)で、観鈴の命を救います。

 けれども、往人の命も所詮は人間の器、「膨大な翼人の魂」の為に、観鈴の体と心は再び衰弱して行きます。

 観鈴の命が尽きる前に、神奈と観鈴、二人の願いを叶えて、「星の記憶」を幸せなものにして二人の魂を解放する必要がありました。

 神奈の願いとは、「柳也と神奈」、そして「母・八百比丘尼と一緒に「海」に行くこと、観鈴の願いとは、「大事な人」と一緒に「海」で遊ぶことでした。

 二人の願いの為には「柳也と神奈」「願い」を継いだ「往人」「そら」へ転生して、何らかの形で観鈴と共にある事と、晴子が八百比丘尼と同じ「母親」になる必要がありました。

 「膨大な翼人の魂」の為に、観鈴は記憶をなくし、幼児退行をしてしまいますが、これは晴子がもう一度母親になる為の通過儀礼であり、幼児退行をして二人の関係がゼロに戻った観鈴に、晴子が観鈴に歩み寄って「親子」にならなくてはいけなかった。
 だから、二人が本当の「親子」になれた時、その結びつきによって観鈴は記憶を取り戻したのだと思います。

晴子
「あんたと一日一緒におれたらそれでええ。うちの希望はそれだけや。」

 そして、命の最後に、「幸せな記憶」「星の記憶」に刻んで浄化する為、「晴子」(八百比丘尼と同じ「母親」)と「そら」(柳也と裏葉の願いを継ぐ者)と一緒に「海」へ行き、自分の足で「ゴール」へ辿り着きます。
 それは、千年間、「呪い」を抱えて傷だらけになっても歩き続けた観鈴、千年の間受け継がれてきた「願い」観鈴への「想い」で、観鈴に掛けられた「穢れ」「呪い」を打ち破った往人、千年目の「ゴール」観鈴と一緒に築いた晴子、三人が揃わないと辿り付けなかったのだと思います。

観鈴
「ごめんねお母さん。でも私は全部やり終えることができたから。だから、ゴールするね。もう一度だけ頑張ろうって決めたこの夏休み、往人さんと出会ったあの日から始まった夏休み。色んな事があったけど、辛かったり、苦しかったりしたけど、私、頑張って良かった。」


 私は、AIRの本質は、「受け継がれる想い」「傷ついても愛する事」だと思います。

 最初の「呪い」は柳也と裏葉に始まる「願い」が、二番目の「呪い」は柳也と裏葉、二人の意志を継いだ往人、最後の「呪い」は往人の言葉を承けて「母」になった晴子が解いています。

 そして、往人は母親の声に導かれて、晴子は「往人」の言葉と「そら」に導かれて、観鈴は神奈の記憶に導かれてゴールに辿り着きました。それこそが「命の繋がり」であり、それらは全て、往人、観鈴、晴子、三人が全員、「傷ついても愛する事」を貫いたから勝ち取れたのだと思いますし、そして消えてしまった往人と観鈴「想い」も、ラストシーンの少年と少女が継いでくれました。

 だから、たとえ消えても、決してゼロじゃない。「傷ついても愛する」事を通して、「想い」も、「魂」も、全てが繋がってくれている。

 以上、私のアニメ版AIRに対する感想でした。読んでくださったみなさんありがとうございました。

 最後に、この物語を見せてくれたKeyさんと京都アニメーションさんに、私は心から感謝します。

 ありがとうございました。