声を聞きたい……お母さんの声を…… コードギアス第9話感想 〜リフレイン〜



 「世界を変える」という「願い」の為に、「正義の味方」になる事を決意して、「過去」ではなく、「現在」、そして「未来」へと目を向け始めたカレンさんと、「現在」から目を反らして「過去」に耽らせる「リフレイン」に溺れていく日本人達が対照的でした。

 元々カレンさんはレジスタンスであり、ブリタニアからの日本の解放」が目的・・・というか目標に、ブリタニアを倒す事」に参加していたのであって、生徒会メンバーを助けた結果自体は否定はしないものの、直接的な解放、ブリタニアの打倒に結びつかない「正義の味方」をしているのにカレンさんは違和感を感じていたようでした。
 先回(8話)のラストで、カレンさんが「正義の味方・・・」と呟いたのは、ゼロの「正義」に疑問を持っているというより、自分たちの行動指針としての「正義の味方」というものに対しての懐疑だったということですね。
 二週間ずっともやもやしていたのがすっきりしましたよ。



 
カレン
「そっか、私、みんなを助けたんだ・・・」「無理強いすれば、彼はいなくなってしまう気がする。もう、彼がいないと駄目なのかもしれない。私達は。」「私達さ、これでいいんだよね・・・。」

 今回の事で、カレンさんは「日本の解放」ブリタニアを壊す」のではなく、母と普通に暮らす為の世界、日本人がイレブンと差別されず、誰もが平和な日常を過ごせる世界を作る為に、「世界を変える」事を決意し、「過去」から「未来」へと目を向けて、「黒の騎士団」の一員としての覚悟を持って次回に繋げる為の位置づけだと思われます。

カレン
「消えてよ、もう・・・」
「どうして!要らないのに・・・要らないのに!」「うん、頑張る・・・ 私、頑張るから!」

 薬の後遺症で会話が出来なくなっても、娘の成長を感じて送り出そうとするカレンさんの母親は、弱くても強かったのだなぁと思いました。最後の台詞は小さな子供に対してのものじゃないもの。


「こら、ナオト、ちゃんとカレンのことを見ていてあげないと駄目でしょ。」
「がんばれカレン。私の娘・・・。」


 また、自分の能力以外の要素で道が閉ざされる苦しみは規模の違いはあれ、誰しもが経験している事ですが、通常、それは表だって現れる事はありません。
 しかし、それが社会の表面に顕在化して、閉塞感が蔓延している状況では、社会全体が麻薬に走るのも理解できる気がしました。

カリフォルニアドッグ屋の男性
「あ・・・、ブリタニアの学生さん・・・。い、いらっしゃいませ。カリフォルニアドッグはいかがですか。あ、恋人さんですか。良かったらお二人でどうぞ。アイスクリームも、ありますよ。」
「決まったんだよ、留学!やるぞぉ、俺は!」

 また、カレンさんの兄ナオトさんに関してはまだ殆ど分かってはいませんが、今週のカレンさんのセリフから、「もういない」ということらしいですが、この先、触れられる日が来るのでしょうか。
 今回の話で、カレンさんの覚悟の描写は一旦終わったと思われますので、もしナオトさんに関する話が出てくるとすれば、カレンさんがゼロに疑念を持った時か、そうでなければ後日談やDVDの映像特典とかで触れられるのかな?
 後者だとするとナオトさんの存在って・・・・・・。

・スザクの持論、今回は敗北

 スザクは「犯罪者を取り締まる」のなら警察に入ればいいと言いますが、今回の冒頭の腐敗の現場や、警察、ナイトポリスが犯罪者を守り、政府内の協力者が麻薬の流通に協力しているなど、腐敗した組織の変革には、多大な時間と労力、多数の人間の協力が必要であり、入ったばかりのヒヨッコがどうこうできる問題ではなく、ましてや、ブリタニアは極端なまでの苛烈な競争社会、普通は尋常ではない学歴と後援があってこそ、組織を変革できる地位に就けるのだと思われます。
 そして、スザクの主張する方法では、個々人は現在進行形の問題に関しては全くの無力であるというのが、非情ですが現実です。
 また、ある意味、スザクの持論も、「信念」を貫ける強者の論理であり、弱者である大衆はどうしても、「正義の味方」に期待してしまうのです。

腐敗官僚
「コーネリア殿下は武人だ。こうした事には疎くていらっしゃる。」

麻薬密売組織構成員
「安全だよ。租界の中は。」

 スザクのような人間がいなければ、組織自体の変革、浄化は達成されないのも事実ですが、現実の問題に対してはゼロの意図する大衆受けする「正義の味方」の方が問題を的確に潰すことができるのです。

スザク
「犯罪者を取り締まりたいなら警察に入ればいいのに。彼らはどうしてそうしないんだろ・・・」
ルルーシュ
「警察じゃできないと思ったんだろ。警察なんて・・・」
スザク
「今はダメでも、警察の中に入って変えていけばいいじゃないか。」
ルルーシュ
「変える過程で、結局は色々な柵を抱える事になる。」
スザク
「それはギリギリまで変える努力をしてから初めて言えることだよ。それをしない限り、彼らの言い分は独善に過ぎない。」
ルルーシュ
「独善?」
スザク
「彼らが言う悪ってなんだい?何を基準にしているかも分からない。一方通行の自己満足だよ。」

 因みにスザク君、エンターテインメントとしての「正義の味方」「正義」の基準というのは、「大衆受けする」というのが基準ですよ。

・桃園というよりは伏魔殿、変態達の巣窟

ルルーシュ
「ばか、やめろスザク! やめろ!やめるんだ!」
スザク
「ごめん、ルルーシュ。会長命令だから!」

 スザクはこんな時でも縦社会の掟に縛られるヤツですねぇ。(違)

 普段は笑う事をしないルルーシュが笑っていたり、ブリタニア人が嫌いだと自分では思っていたはずのカレンさんが帰属感、安心感を感じていたり、戦場では敵同士のルルーシュ・カレンとスザクが一緒に笑ったり泣いたりしています。
 また、イレブンが苦手だったニーナが距離はまだ離れていますが、スザクと同じ空間にいて、スザク達の掛け合いに笑っていたり(これ結構重要)、生徒会という空間は、それぞれが目指す理想の社会の象徴らしくなってきました。
 あと、猫手袋をはめながらキーボードを叩くニーナ。やっぱりブリタニアの技術の方が世界一だと思いました。(笑)

・ジェレミアさん、ヴィレッタさん始動!キューエルさんはさようならですか?

 新しいOPで、ジェレミアさんとヴィレッタさんが大躍進を遂げたように、いよいよ二人がゼロの正体へ舵を取り始めましたよ。ひゃっほう!

ヴィレッタ
「例のオレンジ事件の・・・」
ジェレミア
(グサッ)
ヴィレッタ
「失礼しました。例の、枢木スザク強奪事件の時の、卿の記憶が無いというのは本当でしょうか?」
ジェレミア
「信じて貰おうとは思わん。」
オレンジ
「いえ、実は私もシンジュク事変の時に、記憶の喪失を経験しているのです。」

 第六話の感想に、「我が輩はオレンジ事件の時、密かにゼロに憧れた。あの強さに!美しさに!あの仮面に!我が輩もあの仮面が欲しいと思う! にゃーん。」というタイトルを付けたんですが、これ、有名なセリフをパロったんですが、その時に語呂がいいように、適当に「オレンジ事件」とでっち上げたんですが、まさか公式だったとは・・・。私、予知能力あるかも。(妄想)
 けど、オレンジ、遂に公式設定にまで浸透してるんですか。
 スタッフの当初の思惑を離れて、「全力で応募しろ!」とか、オレンジ旋風が吹き荒れていますよ!
 OPの変更も、オレンジ人気が影響したに違いないですよ!(決めつけ)
「全力事件」にしようかと迷ったのは内緒です。 


・あーもう、予想通りの反応だよ玉城ぃ、帰ってこーい。

玉城
「黒の騎士団、参上!」

 ノリノリですな。

 一番ゼロの愚痴を漏らしてるのに、一番楽しんでるのも玉城君なんですよねぇ。いい性格してますよ。(妙に目立つサブキャラは早死にする法則適用例)

玉城
「何考えてんだゼロのヤツ。ブリタニアを倒すとか言ってやってることは警察の手伝いじゃないか。」

「でも、人に感謝されるのって悪い気分じゃないよ。」
団員
「そうそう。ネットじゃ英雄だしな。」
カレン
「私達さ、これでいいんだよね・・・。」

 ゼロの目的は、知名度の向上による「黒の騎士団」の増強です。その為の「正義の味方」発言なのです。
 だから、目的として「正義の味方」を肯定したカレンさんと、手段として「正義の味方」を肯定したルルーシュは、逆のベクトルなんですよね。
 ですが、二週間でナイトメアを再び入手できたのですから、重畳と言って良いと思います。(ギアスで)他のレジスタンスに頼んだら譲ってくれたのかもしれませんが。
 また、協力者、構成員も増えているみたいで、来週はいよいよ「京都」が登場するようです。OPにも「京都」の女性や、「紅蓮弐式」らしい機体も登場してますしね。

 ところで、OPで黒の騎士団と一緒に咲世子さんが映ってるんですが・・・。もしかして咲世子さんがメイド姿でマシンガンを撃ったりする勇姿も見れたりするのですか?ナナリー主義者がまた一人・・・(違)
 
 また、今のところは日本人ばかりが構成員のようですが、独立部隊としてブリタニア人が入る事ができる余地はあるのでしょうか?そういう描写が出たら凄いな。

・何も変わらない世界に

コーネリア
「お前こそ、もう租界からは出るなよ。」「このエリアは私が綺麗にしてお前に渡す。だから危ない事は考えるな。な、ユフィ。」

ユーフェミア
「あの時、ゼロが話した意味は、『まだ続きがある』という事かしら・・・。スザク、あなたならどう思うの?ゼロの行いを・・・ そして、私は・・・」

 何も変わっていない。学生の時と。何かに守られて生きている。自分は何も成していない。
 そういう想いがあるのでしょうね。
 ゼロを否定し切れず、かと言って、スザクのように何かに向かって行動しているわけでもありません。ユーフェミアがこれから目指すのは、スザクを諭し、ゼロの行動を利用してブリタニアを変革していく・・・というカリスマ性を備えた腹黒キャラあたりかな?

・男の友情の行方

 ルルーシュとリヴァルの関係性に亀裂が。代わりにスザクとリヴァルが接近しているように感じますが、大丈夫でしょうか?
 
リヴァル
「最近、付き合い悪くない?」
ルルーシュ
「そうかな?」
リヴァル
「そうだよ。」

リヴァル
「何だよ、そこは笑うトコなの!」

スザク
「すひはへん。」
リヴァル
「お前、それネタだろ。」

 あと、ルルーシュネコミミのかわいさは異常。シャーリーやミレイさんより可愛いのは色々と問題があると思います。
 ルルーシュの女装を劇中で見てみたいと思ったのは私だけではありますまい。男女逆転祭り、是非とも開催お願いしますミレイさん。

・次回予告
 扇さんが何げに格好いいのと、ジェレミアさんがいい顔してました。
 いよいよ紅蓮弐式の登場ですか〜。
 構成員と物資の増強は今週解決しましたから、いよいよランスロットに対抗する戦略兵器の登場という事ですね。
 ところで、あのカレンさんに紅蓮弐式の操縦姿勢は反則だと思いました。

・その他のポイント

1)何を隠そう、俺は居眠りの達人だ!(中の人繋がりで)

 真の達人は「目を開けながら眠る」のだと思います。

 ルルーシュはカズキ君を見習うがいいと思いました。

2)カレンさんの部屋、白いグランドピアノと鉄アレイ

 カレンさんの「病弱という設定」は、ミレイさんにはバレてると思います。

 病弱な少女の部屋に鉄アレイは普通はありますまい。

ミレイ
「大丈夫、人の秘密って知りたくなる方だけど、話す趣味は無いから。」

 ミレイさんは絶対「話す趣味」があると思いますので、気をつけて下さい。

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