餅に黴が生えていた場合の選択



 正月に実家から餅が送られてきてたんですが、それをすっかり忘れていました――そんな話。

 いやー、びっくりしたよー。

 餅の白が、緑、赤、黒、黄・・・・・・と、インドの色彩センスで彩られていました。
 私も、画用紙の真っ白の上を自分色で染め上げるのには心躍ったものですが、いつから日本の自然は南アジア色になったのでしょうか。
 これも温暖化の影響かー、光合成出来るように修行してみようかなー。


 そもそも、何で今までお餅を食べなかったかというと、家には醤油も黄粉も、餡も、鶏ガラスープも置いてないし、そもそも使い切る自信が全然無かったので、買う気も起きなかったからで。
 あ、でも、料理はするんですよ?
 ただ、作れる料理のレパートリーに日本料理が殆ど入ってないだけで、クミンとコリアンダー鬱金は缶で大人買い(?)してますし、料理道具にはちょっとしたこだわりがあるんですよ?
 ただ、醤油って、割と早く賞味期限が来るんですよ。
 だから買わないというか。

 しかし、このまま黴の好きにしておいては、いずれ我が家が腐海に飲み込まれるかも知れません。
 だからと言って食べ物を粗末にしては罰が当たるかも知れません。

 私は王蟲とは仲良くなれそうにはないので、そうなる前に黴は抹殺しようと思います。それは決定事項。
 蟲と人とは同じ世界には住めないのだよ。


 それでは、それらを止揚しながらの、お餅救出作戦の開始です。

 まずは、水に漬けて充分に水分を吸収させた上で、黴をブラシで磨きます。

 これによって、黴の表面を刮ぎ落とします。

 次に、原色色に染まった部分を果物ナイフで削り取ります。

 白い部分を多分に犠牲にするにせよ、ここは感傷を挿むべき場ではありません。
 非情になりきれ。
 
 私は餅を削り取るだけの戦闘マシーンだ。

 そんなこんなで餅からインド色は除去されましたが、これ、食べても大丈夫ですよね?

 まあ、食べる為に頑張ったわけだから、食べないのは、削り取って塵になってしまった部分に申し訳がないです。

 しかし、醤油も何も無いのに、どうやって食べろと言うんでしょうか。

 困りました。