アニメ版のだめカンタービレ感想 Lesson5



 シュトレーゼマンの面目躍如です。
 千秋もこれから進むべき道を指し示され、いよいよ指揮者を目指して本格始動です。
 先回の感想で、「『協調』と『相互影響』はお休み」と書いたけど、そうではありませんでした。
 先回を承けた今回こそ、正に「協調」「相互影響」のお話と言うべきお話でした。


 

・千秋とシュトレーゼマン

千秋
「どうかしてる。学習能力は無い、指示は無視する、おまけに馬鹿な嫌がらせまで・・・!!こんな不快なオケ、やってられっか!!」

「調子の悪いのリードも、体調の悪さも、本人の責任だ!下手は下手だ!でも、あの人が振るだけで、オケが成り立つ!」

 千秋のような高圧的な態度では、ミスを恐れて、演奏者個々人の積極性が削がれてしまって、音楽を楽しめなくなってしまうのですが、シュトレーゼマンは、ミスさえも受け入れて演奏者の積極性を上手く協調させてオケにしてしまうワケです。
 また、千秋は個々人の音を聞き分けてミスを指摘し、「馬鹿な嫌がらせ」も看破してしまうのですが、シュトレーゼマンは更に一歩進んで、演奏家の気持ち、楽器の調子、体調など、もっと深い所まで理解して、適切なアドバイスを与えてくれるワケです。

 今まで描かれてきたのは、演奏者同士の「協調」でしたが、シュトレーゼマンが更に次元を推し進め、全体を統率する指揮者による全体の「調和」まで進化したのが今回のお話。

 一方、千秋の振った不和だらけのオケは、千秋自身の姿の反射でも有ります。

演奏者全員
「何かヘタクソそうなヤツばっか集まってるし!」

 作中で「みんな自分だけはうまいと思っているらしい」とギャグ調に説明まで添えられていましたが、相手を「ヘタクソ」だと侮って、自分を「上手い」と奢っているのは、他ならない千秋自身なワケです。
 この状態では、指揮者を中心にして際限無く不和ばかりが生まれてしまうのです。

 一方シュトレーゼマンはと言うと、

千秋
「あの人はきっと、音楽を、人を尊敬してて、一つ一つの音、一人一人の演奏家を大切に慈しんで、愛おしんで、それが自分に返ってくる。遙か遠く、本物の巨匠なんだ・・・!」

 「慈しんで、愛おしんで、それが自分に返ってくる。」と、相手に対して敬意を持って接する事で、不和を上手く和らげて、全体の「調和」を生み出しているワケなんですね。

 つまり、Sオケの成長自体が、千秋の指揮者としての成長に等しく、正に「相互影響」です。

 そういう意味で、シュトレーゼマンは「協調」「相互影響」の一つ上の存在であり、千秋を、彼らを導く立場に有るキャラなんですね。
 だからシュトレーゼマンは、誰かと「協調」とか、「相互影響」はキャラ的にありえないキャラなんですよ、多分。

千秋
「失敗だったあの初リハーサルが、俺の運命を180度変える事になるとは、この時は、まだ想像もしていなかった。」

 蛇足ですが、何クール続けるかは分からないけど、有る程度キリのいいところまではやるのでしょうか?

 原作読んでないから良く分かりませんが、千秋の卒業くらいまでは描くみたいですね。
大体、1話で一ヶ月進むようなので、2クールぐらいで収めるつもりと見ましたね。

・のだめ大活躍
 何だかんだ言って、千秋が指揮者への一歩を歩み出せたのはのだめが色々と頑張った御陰なワケですね。
 千秋とのだめの関係は取り敢えず現状維持ですが、最後に千秋が「ほれ、帰るぞ。」という台詞には、のだめに対して保護者的というか、一種家族的な気持ちが感じられて良かったです。
 彼らの仲の進展はもう少し先みたいですね。