最近!俺はどうもおかしい!気持ちが荒れている!何故か?スザクの奴の所為だッ!このルルーシュの人生はあいつの御陰で狂い始めている! コードギアス第17.5話感想 〜仮面の真実〜



 今回は、ルルーシュの原点、「ナナリーの為に世界を壊す」為に一致していた筈の「目的」「手段」の矛盾、「目的」の側の人間、ルルーシュが守るべき存在だった筈のスザクと、「手段」側の障碍である白兜によって矛盾してしまった事までを、時系列に拘らずに再構成し、今までのスザクの背景を振り返る総集編でした。
 或る意味、一話まるごと使った次回予告でした。(ドクロ)




 
・目的と手段の矛盾

ルルーシュ
「俺はあの時誓ったんだ。俺から母を、ナナリーの脚と眼を、スザクとの生活を奪ったブリタニアを許しはしないと!そして、ナナリーが幸せに暮らせる世界を作る為に、世界を壊すと、全てを変えると!」
 何度も語られている事ですが、これがルルーシュブリタニアと敵対する理由です。

 この理由を象徴する、過去のルルーシュの決意の言葉、「スザク、僕は、ブリタニアを・・・ぶっ壊す!!」という言葉に被せて、現在のルルーシュがゼロの仮面を被る演出は文句無しに格好良かったです。

 さて、「日常」「ナナリーが幸せに暮らす為の世界を作る」からは、勿論ナナリーを守る事が前提ですが、そこから、ナナリーに笑顔を与えてくる「生徒会メンバーとの日常」と、「ナナリーを守ってくれるスザクの存在」が派生し、「非日常」ブリタニアの崩壊」から、現時点での目的である「父親殺し」、そして最大の障害である「白兜の打倒」という目的が派生して来て、ルルーシュにとっては、それらが揺るぎの無い「目的から手段への展開」だったのですが、

ルルーシュ
「スザク、お前はユフィを選ぶのか!?俺達ではなく!ユフィを・・・」

「日常」の世界の住人だったはずの、「ナナリーを守ってくれるスザクの存在」が、「非日常」の住人でもあった事で、「白兜の打倒」という目的と矛盾してしまいました。

 更に、

ルルーシュ
「だからこそ、俺がゼロだと知られてはならない。そんな事になれば、この日常が壊れてしまう・・・!!」

と、前提であった筈の「日常」の崩壊の伏線も敷設されています。

 主人公にとっての最悪の賽の目が出るのが主人公の宿命ですから、このナレーションが挿まれたという事は即ち、「ゼロの正体」が、少なくとも「日常」の世界で露見してしまう事を示唆しているんですよ。

ルルーシュ
「俺はいつまでもナナリーの傍にはいられない。」
 そして極めつけが、ルルーシュ自身が単なる手段であった筈の「非日常」ブリタニアの崩壊」の為に、目的であった筈の「日常」を手放す事を決めていたりと、救いの無い道に歩もうとしているルルーシュ
 しかし、その守るべき「日常」に、ルルーシュ自身が救われるんですよ。

ルルーシュ
「だからスザクは、俺にとって初めての友達だった。」

 幼い日のルルーシュにスザクが手を差し伸べている場面と、それとシンクロしている「奪われた仮面」の時に、屋根から落ちかけたルルーシュの手をスザクが掴む場面が象徴的でしたね。

 また、今回の総集編では出てきませんでしたが、

スザク
僕とルルーシュが組んで出来なかった事なんて無いだろ?」

の辺りで、ナナリーは勿論、スザクや生徒会メンバーのいる日常が物語の着地点らしい事も分かっているので、主人公・ルルーシュ「ゼロ」ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアという「別の一面」を知ってなお、残された「日常」、ナナリー、スザク、生徒会メンバーの「繋がり」が紡ぎ出すカタルシスに期待して行きたいと思います。

ルルーシュ
「奥の手はある。だが必要無い。俺は既に勝利を手にしているのだ。あの白兜のパイロットがスザクだと分かった以上。」

 来週は、ルルーシュが自分の正体を隠してスザクをどうにかしようとする話みたいですが、そろそろルルーシュの正体も、ギアスもスザクにバレる頃ですので、楽しみに待ちたいと思います。

・これからのスザク

 折角の総集編(のせいでネタ切れ)なので、この機会に、スザクの過去と現在についてちょっと書いてみたりする。

<追記 2/17 書き直しました>

藤堂
「なら、君はその道を行け!」

 藤堂さんの台詞で肯定され、ユーフェミアの騎士になって、精神的にも地位的にも一歩上に昇ったのが先回でしたが、スザクに残された課題は、過去の決着です。

スザクの思考を追ってみると、

「日本を救う為に父親を殺した(手段)」→「焦土と死屍累々(結果)」(1)

これを一般的命題にまで無理矢理押し上げて、

「間違った手段では、悪い結果を生む」(2)

とし、その裏返しとして、

「正しい手段を取り、良い結果を導かねばダメだ」(3)

 となるワケなのですが、

 1から2を導く際に、罪悪感によって無理矢理結論を出し、更に自分の犯した罪に恐怖するあまり、
父親を殺した理由、「日本を救いたい」という「気持ち」「動機」まで見ないようにしています。
 だから、スザクは、ゼロと黒の騎士団が、結果的に良い結果を出しても、それを頑なに認められないんですね。
 2から3を導く際に、法律を守り、道義的な行動をする事が、スザクにとっての「正しい手段」なのですが、そこに、「自己犠牲」や、それによる「自己満足」が入っている事で、他人に対して責任から逃れているんですよ。
 「ブリタニアを内部から変える」という目標は有るのですが、周囲に「守りたい人」ルルーシュならナナリー、スザク、生徒会メンバーというような、自分の生きる「日常」の世界の人間の為に勝ち、必ず結果を出さなければならないという切迫したものが無いんですよ。
 自分一人だけなので、時間の制約、労力、そして自分の命すら度外視して、その目標に「到達する」のではなく、「近づく」事だけを見詰めているんです。
 つまり、ブリタニアを内部から変える」なんてのは、自分の行動が、もしも最後まで達成できた時に生じる、単なる結果であって、その前に自分が死んだりしても、その後の事なんて知らないよ、と、いう事なんですよ。

 ところで、一つ前のオープニングのナレーション、
「この世界には善意から生まれる悪意が有る。悪意から生まれる善意がある。ルルーシュが起こした行動は、果たしてどのように受け止められるべきものなのか。」

 行動の果ての「結果」と、それについての「評価」は、起こるまで誰にも分からないので、ルルーシュもスザクもその時点での最善を尽くします。
 ですが、「善意」にしろ「悪意」にしろ、行動の動機となった「気持ち」、目指した「理想」、そういったものは、世界に歪められて出た「結果」だけが、淡々と人々に「評価」されます。
 ルルーシュ「終わり良ければ全て良し」とし、「結果」を重視してブリタニアの崩壊」を目指し、 スザクは「終わり悪しかりければ全て悪し」とし、「過程」を重視して「正しい手段を取り、良い結果を導かねばダメだ」(3)という結論を得て、ブリタニアの内部からの改革」を目指すワケですが、二人とも、目指す先は同じなのですよ。

 ユーフェミア様がスザクを変えていく点では、「何故、誰の為に父親を殺したのか」ブリタニアの改革を目指すというスザク自身の責任の在処」、そういったものと、再度スザクと対峙させて、「正しい手段を取り、良い結果を導かねばダメだ」というスザクの信念の土台を一度壊して、その上で「何の為に、誰の為に戦うのか」と、再度スザクに選ばせる事が必要なのではないかと思います。
</追記>

・次回予告

藤堂さんが何事も無かったかのように黒の騎士団に入ってます。

何か壊れてそうなランスロット

パイロットスーツを着ないで紅蓮弐式を操縦するカレンさん、ラクシャータさんが、あれだけ着ないと危険が危ないって言ってるのに!死なないでー!

シュナイゼルさん登場?


コードギアス 反逆のルルーシュ 3 [DVD]

コードギアス 反逆のルルーシュ 3 [DVD]