アニメ版のだめカンタービレ感想 Lesson10



 今回は、「音重視」の千秋、「楽しさ重視」の峰君・のだめ達、そして「音も楽しさも大事」と、二つを止揚し、なおかつその遙か高みから色々策略を巡らすシュトレーゼマンのお話。


 
 ラフマニノフを練習する千秋ですが、「色気無し」とシュトレーゼマンに評されますが、「音楽は音、恰好なんて関係ないだろ」と、今一つ納得出来ません。
 それに反発するように「千秋に対抗するには迫力」、それには「恰好」だと、仮装オーケストラを企画するSオケの面々。
 しかし、オーケストラには指揮者が不可欠、指揮者のいないオケなんてアンサンブル、オーケストラではありません。
 そこにあたかも見計らったかのように何気な〜く登場した、偽千秋こと大河内君。
 先回の登場では「IFの千秋」の役割を果たしてくれた彼ですが、今回の彼は正に、千秋の真似という「恰好重視」を体現するキャラ、この意味に於いては、千秋に一日の長ありです。
 うん、やっぱり大河内君はいいキャラだわ。

 彼の恰好が千秋の劣化コピーファッションだという事はみんな分かってたんですね、「千秋の仮装」って言われてるし・・・。
 約一名の猛烈な反発を買うも、みんなの暖かい気持ちに支えられてSオケの臨時指揮者に就任です。
 
 そんな見た目に誘われてSオケに続々とお客が来て、その中には千秋の姿も。
 見た目の迫力も然る事ながら、曲の完成度も高く、観客にも楽しそうに演奏するSオケの雰囲気が伝わり大好評、それを見た千秋は、観客に何かを伝える手段として、「恰好もまんざら」じゃないなと反省するワケです。

 「音」「恰好」、どっちも大事なのです。

 しかし、シュトレーゼマンの目論みは更に高い次元にありました。
 目的は、「千秋のお披露目」の最終形態です。
 定期演奏会、ニナ・ルッツ音楽祭と、これまで世間に知られていなかった千秋を周知の存在にする事、そこに目的があったのです。 いくら素晴らしい演奏をする演奏家も、世間に知られなければ、認められる事も無いのです。
 今の千秋は正にそれ。
 いい演奏をするのは結構ですが、それを世間にアピールしないと、チャンスも貰えないのです。
 また、千秋達のレベルでは「恰好」など、飽くまで演奏上の演出ぐらいにしか考えられないようですが、それを更に高い次元に持っていくと、「弘報」、マスコミとなります。
 つまりは、ピアノも指揮も一流である千秋の存在を、マスコミに教える事、前半に、千秋のピアノの腕のが相当の水準にある描写がされ、後半に「色気」を付けて、演奏に対する二つの条件、演出も十全、さらにシュトレーゼマンが今まで張ってきた策略によって、大物っぽいマスコミ関係者に「記事は書かない」と言わせながらも呼び込む事に成功、この記者が記事を書いて千秋の存在を世間に知らしめてくれるに違いありません。

 成功へのステップ=いい演奏+いい演出+いい弘報
 という式にあらわしてみたりする。

 さて、シュトレーゼマンが爆弾発言をして、千秋の将来像も見えてきました。
 すっかり存在を忘れてた千秋の元彼女、多賀谷彩子さんが千秋を遠くに感じたりと、千秋の旅立ちは近いのです。
 のだめや峰君はなんとなく冴えませんが、それでも前を向いています。
 のだめと千秋を待ち受ける離別にのだめはどう向かうか、来週こそのだめの活躍を期待していきましょう。