私、プリキュアやってて良かった。  Yes!プリキュア5第11話感想 〜のぞみとココの熱気球〜



 今回は、親や教師の視点の子供達を見守る視点から、「勉強」「夢」を叶える為の、自分に対する投資の一つだと、親や教師が、子供に「勉強しろ」という言葉の、もっとも深い理由を子供達に伝えてくれたベストエピソードでした。

 数学の小テストで18点の大台を叩き出した夢原さんは、夏木さんに無理矢理小テストを公開させられます。 二話連続で始終死んだ目を披露してくれた夢原さんが可愛かったです。


 さて本編、夢原さんの為に勉強会を開いたプリキュアさん達。
 先程夢原さんに大きな事を言っていた夏木さんや、春日野さんも、勉強はあまり得意ではないようです。
 水無月先輩と秋本先輩は、後輩を導く立ち位置なので、勉強は得意という設定のようですから、二人にアドバイスを与えてくれます。

春日野さん
「台本のセリフにも、一つ一つ意味があるでしょ?」

春日野さん
「そっかあ、台本のセリフを覚えるつもりでやればいいんですね!」

水無月先輩
「りんは、好きなスポーツに当てはめればいいのよ。」

夏木さん
「そっかあ、何とか出来るかも!」

 そ、それでいいのか二人とも!

 これを見ていたら、ぱにぽにを思い出しました。

徳川家康
「オス!オラ家康だ!スーパー三河人のパワーを見せてやる!はあああ!」

 べ、勉強だって、見方によっては楽しくなるという事ですね!(ごまかし)

 でもこれ、微妙に勉強の極意というものを教えてくれます。
 勉強に必要なのは、動機とコツ、テスト対策でも、将来の夢でも、両親の期待でも、何でもいいので、後はそれを持続させる事なのです。

 また、何か一つ集中出来るものを持っている人間は、全くの別分野に対しても平均より高い集中力を発揮し、コツを掴むのも早いのです。

 つまり、春日野さんは「芸能活動」、夏木さんは「運動」と、何か一つ夢や得意分野がある二人に比べて、「本当の自分の夢」を持たない夢原さんは、勉強に意義を感じられず、やってもすぐに飽きてしまうのです。

 そんなワケで、スポーツで「成功体験」を持つ夏木さんや、「上昇志向」で、努力する事を知っている春日野さんに比べると、「失敗体験」と、「夢は素敵だけど、地味な努力はイヤ」という感じの夢原さんは、やはり勉強に身が入りません。

夢原さん
「あ、気球だ〜。あれに乗って、どっか行きたいな〜。」

 それにしても、11話にして、やっと夢原さんの「本当の自分の夢」にスポットライトが当たりました。
 これを待っていたのですよ!




 
・大きくなったら何になりたい?

 よく、学校の勉強について、

「△△△なんて勉強して、社会に出てなんの役に立つの?」

 と、言いますが、今話の夢原さんは正にそれに陥っています。
 結論を言うと、「メチャクチャ役に立つ」のですが、中学生の夢原さんには分からないんだろうなと思います。

 小中高の学校の勉強というのは、一般的には、汎用的な知識を得る時期なので、直接的に役に立つようには見えないのですが、子供が何になるか、何になりたいかなんて分からないし、将来何があるかなんて分かりませんから、「子供達の無限の可能性の為に、子供のうちに、何にでも役に立つ一般的な事は勉強して欲しい」というのが、教師や親達の気持ちだと思います。
 そんな、子供達を見守る立場からココが、

ココ
「のぞみの気球は今、地上で空気を入れているトコかな。」「可能性という気球だよ。色々な物を見て、感じて、学ぶ事で気球は膨らむ。テスト勉強はのぞみの気球をより膨らませる一つの方法だよ。将来の夢が出来た時に高く飛べるようにね。」

 と、言ってくれたのは素敵でした。

 或いは、「普通の生き方をするには、いい学校に入って、いい会社に入る」という気持ちも、親や教師にあります。
 子供達の幸せを願うあまり、一番安定して、確実な道を押しつけてしまう事に陥ってしまうのですが、子供達が、とりあえず勉強する、夢はないけど、そうすれば親に、先生に褒められる、みんなが褒めてくれる、自分は賢い生き方をしてる、間違ってなんかいない、という思考に陥ってしまうと、最終的には、今話のナイトメアのように、「地位」「お金」といったモノにしか価値を見いだせなくなってしまいます。

 そういう生き方をしている人を批判しているワケではありませんが、後者の生き方に流されると、小学校時代に九九が、漢字がうまく覚えられなくて、勉強に苦手意識を持ってしまった夢原さんのような子を生み出してしまい、生き残れるのは、水無月先輩のような、スペックの高い人だけになってしまいます。

 だから、今「夢」を持てない子や、「夢」をなくしてしまった子も、自分の「夢」を探そう、「夢」を追い掛けよう、「夢」を叶えよう、その一つの努力の方法として、「勉強」だって大切なんだという事を描ききった今話は、私の主観では、プリキュア5のレビューをする動機になった第一話を凌ぐベストエピソード。

 このココの、いつものケダモノぶりを吹き飛ばすような格好いいセリフだけで、私としてはもうお腹一杯だったんですが、更に他の四人の気持ちが分からず飛び出した夢原さんを心配して駆けつけた4人が、夢原さんのピンチを助けに来たのは最高の演出でした。

 しかも、夏木さんのジャンプ力でも届かない為、水無月先輩と秋本先輩が踏み台になって夏木さんと春日野さんを空に上げて、しかも、落ちてきた夏木さんと春日野さんを助けてくれた所が、夢原さんには、「心配してくれる仲間がいる」という心強さを表現してくれていて、もう本当に最高の出来。

 そして最後に、

夢原さん
「ココの夢を叶えたら、 自信が持てる気がする。そしたらきっと、いい未来が開ける気がするんだ。だから、これからもよろしくね!」

 物語の最初の「夢が無かった夢原さん」は、「夢」への憧れが先行していて、次に「人の夢を夢にした夢原さん」「他人の夢」に対する依存と進んで、今話は大人的な表現で言えば「成功体験」に目を向けつつあったりと、夢原さん、順調に成長してますよ!
 すごいやプリキュア5!

 来週は「うららのステージを守れ!」
 春日野さんの芸能界ネタもやっと本格的に描かれるので、もう楽しみでなりません。

 この辺りで、5人の「夢」について一話ずつ掛けて描くのだと思います。
 個人的には、夏木さんは、「スポーツではなく、お花とか女の子らしいのが夢で・・・」とか、水無月先輩の「高スペックだけど、夢原さんと同じで夢が無い」というのが描かれると嬉しいです。

 それと、今回夏木さんの足下の雲が霧散した時、水無月先輩と秋本先輩は、夏木さんを見殺しにするんじゃないかと思いましたが、何事も無くて良かったです。(最低)

 あと、アラクネアさんは「蜘蛛」だから「雲」を作ったの?
 まあ、「言い訳」「いいワケ」ですけど。