黒の契約者DARKER THAN BLACK第18話「掃きだめでラブソングを歌う・・・(後編)」
冒頭は一橋さんの「思い出」から始まりました。そうか、成る程、こう来ましたか。先回の感想ではテーマを「反逆」として、黒<ヘイ>さん、桜井さん、一橋さん、それぞれの「反逆」を対比するんだと書いたけど、「反逆」に至る理由三者三様の「守りたいもの/守りたかったもの」で対比して得られるカタルシス。ヤラれた。この構成は美しすぎ。
今回の脚本は砂山蔵澄さん。聞いた事無い方ですが覚えておこう。
霧原さんが目印のDVD最新巻は9/26日発売
DARKER THAN BLACK -黒の契約者- 3 [DVD]
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「あの頃一緒に走った道」
一橋さんの変化昔の一橋さん | 今の一橋さん |
「かわいがってやればそれに応えてくれるのさ。こいつは俺を裏切らねえ。」 | 「裏切ってでも力を得る」 |
「大切な女性を守りたい」 | 「大切な女性を守りたい」という桜井さんを「バカ」だと言う |
だから、桜井さんを見ていると「昔の自分」に比べて「今の自分」の惨めさを見せつけられてしまって苛ついてしまう。それに対して桜井さんは、昔も今も変わらなかった。
桜井さん(昔も今も変わらない)守りたいもの | 「人形」と呼ばれた少女 |
信じているもの | 単車(=一橋さんから受け継いだ、譲れない「信念」と「信頼」の象徴) |
「俺はこいつに命を賭けるって決めたんス。
この気持ちさえあれば何だってやってみせます。」(桜井健児)
「いいか、単車ってのは、ただの機械じゃねえんだぜ。
かわいがってやればそれに応えてくれるのさ。
こいつは俺を裏切らねえ。」(昔の一橋さん)「いいか坊主、何でもいい、命を賭けて守るものを見付けろ。
そうすりゃ世の中怖いものなんざ何もねえ。
何だってやれるようになるさ。」(昔の一橋さん)
けれど、ラストで銃に弾が残っていない事を知っていた一橋さんはいつでも桜井さんに対して反撃出来たのに、桜井さんが「あの頃一緒に走った道」をそのまま走り続けているのに気付いた時、今、この一瞬だけ自分も「あの頃一緒に走った道」を走っている「楽しさ」と、「あの頃一緒に走った道」から外れてしまった「悲しさ」が入り交じって、桜井さんをこのまま「あの頃一緒に走った道」を走らせてやろうと、反撃するのをやめてしまった一橋さんが、ただただ切なかったです。
見ていて、久しぶりに卒業した母校を訪れた時、自分にとっての「教室」は卒業した時で止まっているのに、本物の教室にはもう自分の席は無くて、見知らぬ誰かが座っていたり、昔の仲間が口にした「将来の夢」を笑い話程度に聞いていたのに、その夢を追いかけ続けている事を知った時の嬉しいのに切ない、そんな気持ちを思い出して胸が熱くなりました。
昔の一橋さん「なあ、あんたには命を張ってでも守りたいものってあるか。
俺にはねえんだ。でもよ、昔はあったんだぜ。」(一橋さん)
守りたいもの | 恐らく両思いだった大切な女性 |
信じているもの | 単車(=譲れない「信念」と「信頼」の象徴) |
道の上の空 | 太陽の光が眩しくて、どこまでも青く澄み切った空 |
後ろに乗せている人 | 自分を慕う少年 |
守りたいもの | もうどこにもいない |
信じているもの | 金と力(=「裏切り」によって金と力を得ようとしている) |
道の上の空 | 星すら見えず、紫色の暗鬱とした空 |
後ろに乗せている人 | 銃を突き付ける嘗て自分を慕っていた少年 |
そして最後に、電車の中で、「少女」が桜井さんの手を握って笑いかけてくれたシーンは、桜井さんが一橋さんから受け取った「信じる」事で「応えてくれる」という信念の肯定にもなっていて、凄く綺麗でした。
黒<ヘイ>さんと銀<イン>さん
今回の脚本が美しいのは、桜井さんと一橋さんの対比によって、黒<ヘイ>さんの立ち位置が浮き彫りにされていく所。「大切なもの」を失った喪失感の中で「血なまぐさい事」をして生きている一橋さん側の立ち位置より、「組織の命令」に背いて、「大切なもの」を守ろうとしている桜井さんを助ける立ち位置を選ぶ事で、将来的に「組織への反逆」を迷わず選択する伏線を敷設。
「李さんだってあるでしょ。理屈や計算を抜きにして守りたいもの。」(桜井健児)
「なあ、あんたには命を張ってでも守りたいものってあるか。」(一橋さん)
また、「いつもと違ってた。」と、黒<ヘイ>さんを心配してやってきた銀<イン>さんの気持ちを承けて「仲間」として、「守りたい家族」として認識し、息の合った戦いや、撃たれなかったか気遣う黒<ヘイ>さんが素敵です。
「行くぞ、銀」
「大丈夫か?」(黒<ヘイ>)
そして、「少女」のメッセージ、「健児、殺される、助けて」に対して、「お前は、どう思う。」と聞いて、無言の銀<イン>さんから、「『答え』が無い=感情がそう告げている」ときちんと気付いてあげられる黒<ヘイ>さんが恰好良すぎます。
地味に黒<ヘイ>さんと再会した霧原さん
確かに、「一緒にトイレに隠れた仲」とは言えませんよね。(笑)
「彼を見る目、普通じゃなかったよ。」(香那美さん)
そんなワケで、「李さん=BK201」だと確証が持てない霧原さんですが、先回の感想で書いたように、「李さん」としての黒<ヘイ>さんと、「BK201」としての黒<ヘイ>さんをの間でアンビバレンツな姿を見せてくれそうです。 となると、次の再会で霧原さんが黒<ヘイ>さんにぐっと接近する事になるのかな。
「次はいつ現れる、BK201。」(霧原未咲)
桜井さんが残してくれたもの
ラストで、今までアパートの住人と関わる事をしなかった黒<ヘイ>さんが、桜井さんの小包が切欠になってドアをノックして「新しい関係」を構築し始める事を象徴する余韻が美しかったです。その時、桜井さんのバイクが黒<ヘイ>さんを見守るように停めてある描写で思わずぐっと来てしまいました。
「これ、皆に配って下さい。」(黒<ヘイ>さん)
「何言ってんだい。自分で配りなよ。何、惚けた顔してるんだい、普通の事じゃないか、そんなの。」(大山美鈴)
次回予告
黒の契約者第19話「あさき夢見し、酔いもせず・・・(前編)」
いよいよ黄<ホァン>さんの過去回。今回も、「どうした黒<ヘイ>。」とか、黒<ヘイ>さんを気遣ってたりしてた黄<ホァン>さんなので、楽しみです。
確かに、あんな美人の奥さん無くしたら契約者を恨むのも分かる気がします。
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