ヒロイック・エイジ第18話「勝利の日」感想
ディアネイラ様は卑怯
先回ディアネイラ様が「銀の種族に対する理解」の必要性を提示したんですが、それがもたらしうる悲劇として、「青銅の種族」に対する虐殺を図らずも行った事が描かれました。もしも「青銅の種族に対する理解」が少しでもあれば防げたかもしれない悲劇でした。
相手が「人間形態」ではない「青銅の種族」だから仕方無いかもしれないけど、ディアネイラ様の立ち位置は卑怯だと思いました。
体面に拘ってメレアグロスさんの好き勝手にさせておきながら、何か事が起きた後で、調停者として虐殺をやめさせ、涙を流すだけじゃダメなような気がします。ディアネイラ様は、「青銅の種族」の気持ちを読み取る等の努力が出来た筈なのに、それをしなかったのは、この虐殺を未然に防げたかもしれないディアネイラ様に非があるようにも思いました。年端の行かない少女にそこまでの重責を背負わせるのもどうかとは思いますが、それが正直な感想。今までも、「導く者」になる事を決断しなかったり、恋心が絡んだとはいえ「エイジ」を独りで戦場に行かせる事になったり、折角起こしたクーデターを曖昧にして兄達を放逐しなかった事はあったけど、今回は演出的にマイナスとして取られても仕方無い所です。ですが、先回の感想で書いたように、メレアグロスさんは「感情」の負の面を、ディアネイラ様が「感情」の正の面を受け持っている事を考えると、演出上、展開上、仕方なかったと納得できなくもないです。
陣営 | メレアグロスさん側 | ディアネイラ様側 |
戦争の位置付け | これは聖戦である! | 分からないながらも進み、その為に戦う |
今回の戦闘の捉え方 | 大勝利である! | ただの虐殺だ・・・ |
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反省する事ができる「鉄の種族」と、決して反省出来ない「銀の種族」
ところで、余所の感想では、「メレアグロスさんが嫌い」という意見を見受けます。私も大嫌いですが、これが人間の「感情」がもたらすどうしようも無さである事、メレアグロスさんは、その為に意図的に誇張されたキャラクターである事を忘れてはいけないと思います。
古来「聖戦」と称して人類同士も争ってきました。「聖戦」なんて口にする人間は往々にして常軌を逸しているようにしか見えないですが、それは時代的に、思想的に、或る程度「客観視点」を取れるからそう思えるワケで、一度当事者の側に立って「主観視点」に陥って「感情」に身を任せたら、誰もが「メレアグロス」になりうるし、彼を賞賛さえするかもしれません。一方で、「客観視点」を取る人間が「単なる事実」としてしか捉えられない惨状に対して「悲しい」という「感情」を感じるのも人間です。この辺に、「鉄の種族」と「銀の種族」が相補的関係になれる事を示唆しているように感じます。そう考えると、「銀の種族」さえも人間の有る面の象徴として捉えられて興味深いです。
「主観視点」:感情の負の面 | 「客観視点」(=普遍の理性)が無い為に惨劇を生み出してしまう |
「主観視点」:感情の正の面 | 惨劇に対して悲しいという「感情」を持ち後悔する |
「客観視点」(=銀の種族の立ち位置) | 「単なる事実」としてしか取れない為、将来的に理性的に暴走する可能性があるが、閉じた思考の構造上、それを回顧して後悔・反省する事ができない |
本編感想
今回のポイントは、今まで感情もなく、銀の種族に従い鉄の種族に危害を及ぼす存在としてしか描かれなかった「青銅の種族」を「知る」事で価値観が変わった事。「銀の種族」に対しても同じ事が言えるので、ディアネイラ様は頑張らないといけません。
母星である「地球」を奪われた苦しみを「青銅の種族」にも味わわせようというのが、メレアグロスさんが半ば信じている「建前」というヤツなんですが、プロメさんが言っていたように、意外にも「母星」に執着するような事を考えるのは「鉄の種族」ぐらいらしいです。正直こういう選民思想はあまり好きではないのですが、これは即ち、「鉄の種族」と「銀の種族」がお互いに相手の事を理解出来ずに、食い違っている事を婉曲に示していて、下の表に纏めたように、「鉄の種族」と「銀の種族」が見事に食い違っています。
種族 | 鉄の種族 | 銀の種族(+その他の種族) |
タウロン侵攻に対する気持ち | 母星を奪われた苦しみを味わわせてやる! | 戦略上意味のないタウロンへの侵攻を理解出来ない。 |
タウロン侵攻に対する反応 | 「銀の種族は青銅の種族を見捨てたのか!?」(=当然助けに来るべきと考えている) | 「年老いた青銅の種族が幼い個体を育てる為の古い星」というだけで、戦略上意味が無いので、タウロンを守る必要が無い |
コドモス侵攻に対する気持ち | コドモスを攻めて銀の種族に復讐したい | コドモスに侵攻されても痛くも痒くも無い |
コドモス侵攻に対する反応(予想) | タウロンの一件でディアネイラ様側には虚無感が漂っている可能性がある | 不明だが、「失う事」で「感情」に目覚める可能性がある |
分からない事 | 銀の種族がどうして滅ぼそうとしてくるのか分からない | 黄金の種族が鉄の種族を優遇する理由が分からない |
特質 | 古いものを求める | 新しいものを求める |
つまり現時点では、お互いに「よく分からないけど滅ぼそう」という程度の理由で戦っている事になります。「鉄の種族」にとっての「導く者」であるディアネイラ様は「分からない」を連呼して道を模索する一方で、「銀の種族」も「分からない」を連呼して唯一「感情」を理解できるプロメさんにお伺いを立てて、隔靴掻痒のようなコミュニケーションを続けています。
ですが、コドモスには、プロメさん&レクティさんがいるので、プロメさんがディアネイラ様と接触して、事によってはアルゴノートに乗船したりすると、現在の「隔靴掻痒」のコミュニケーションから飛躍的に発展する事が容易に想像出来ます。エイジが最後に口にしていたように、ディアネイラ様の今後に期待して来週を待とうと思います。
「悲しいね、いつまで続くんだろう。」(メヒタカ)
「終わるよ。お父さん達が言ってた。ディアネイラが終わらせる。終わらせようとしてくれる。」(エイジ)
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