素晴らしい電波本「ラテン語と日本語の語源的関係」
久しぶりにAmazonでラテン語の本探してたら、鈴木利久先生の「変身物語を読む」が順調に発刊されてて驚いた。
てっきり2巻を意地で出した所で出版社が力尽きると思ってたのに3巻まで出てた。その勇気に乾杯。
それより、見事にアホな内容に驚いた本を発見。
- 作者: 与謝野達
- 出版社/メーカー: サンパウロ
- 発売日: 2006/12/25
- メディア: 単行本
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たとえば「統べる」は「優越する」の意の「supero」から、「すけべえ」は「強烈な欲望」を意味する「scabies」から派生したのでは、と著者は推測する。もちろん、語彙(ごい)が対応したにしても、文脈を考えなければとの反論は簡単だ。だが、3世紀以前と考えられる日本語形成期のローマ帝国の版図を考えるとき、インドあたりで人の交流があったと考えるのも楽しい。
・・・素晴らしい電波っぷりです。この文見ただけでダメっぷりが伝わってきて素晴らしいです。
日本語の「す」に対応するのが/s/と/su/の二つに分かれている辺りに、本人は至ってマジメに書いている道化っぷりが伝わってきます。「統べる」は平安以前の終止形は「すぶ」で、単語家族には「すまる」、「すめる」、「すばる」などがあり、語幹は"su~ba"と推測されていまし、因みに著者が仰っている3世紀には、魏志倭人伝からも分かるように上代仮名遣いが通用すると考えられていますが、「すべる」の「べ」は乙類で、甲類とは違ったりします。「すけべえ」が文献に初めて現れたのは近世に入ってからですが、この種の作者はそういう知識が無いからこういう発想が出来るんでしょうね。与謝野鉄幹、晶子夫妻のお孫さんで、ご自身も外国でラテン語を学ばれた方なのだそうですが、肝心の日本語の歴史に対しての知識の足り無さっぷりに、見事に才能の無駄遣いです。久しぶりに笑わせて頂きました。
参考文献
- 作者: 与謝野達
- 出版社/メーカー: サンパウロ
- 発売日: 2006/12/25
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- 作者: 鈴木利久
- 出版社/メーカー: 溪水社
- 発売日: 2002/04
- メディア: 単行本
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- 作者: 鈴木利久
- 出版社/メーカー: 溪水社
- 発売日: 2006/04
- メディア: 単行本
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- 作者: 鈴木利久
- 出版社/メーカー: 溪水社
- 発売日: 2007/02/16
- メディア: 単行本
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