亀の甲より年の功・・・かなぁ?

 私は焼き鳥が好きである。
 肉と言えば牛肉。焼き肉と言えば牛肉。でも私は焼き鳥が好き。めんどくさくないもん。

 そんなわけで私は焼き鳥が大好きです。でも、近くのスーパーの横で屋台を出している焼鳥屋ではもう、二度と、買いません。だって、

 嫌 だ か ら 。

 何が嫌かというと、全部嫌なのである。

理由その1 そもそも味が・・・。

 その屋台とは、全国チェーンの焼鳥屋で、軽トラックの荷台が展開して屋台になるあれである。
 その店主、年配の男性なのですが、とにかく、焼き鳥の味付けがおかしいのです。塩胡椒の味付けなら、ある日は塩辛かったかと思えば、次に買いに行ったら塩が足らなかったり。タレにしても、掛けすぎてばかりで、まるで加減というのが分かってない。まあ、味の好みというのも有るし、もしかしたら私の味覚がおかしいだけかもね。でも、それだけじゃない。

理由その2 接客態度が・・・

 そのおっちゃん、とにかく喋らないのである。いや、喋る事は喋るのです。「いらっしゃい。」、「まいど。」、「おつりは〜円です。」これだけです。他には何も喋りません。
 スーパーで買い物する前に、「ナンコツ、砂肝、豚バラ」を注文して、買い物が終わって焼き鳥を受け取ると、どう考えても二本しか入ってない。聞いてみたら、

「ああ、ナンコツ売り切れで。」

 なら、先に言ってください。

 ある時は屋台におっちゃんがいなかった。仕方ないので5分ほど待った後に帰ってきた。

「いやあ、トイレに行っててねぇ。」

 なら、「5分で戻ります」とか張っておいて下さい。

 ある時は、私が行くまで客足が途絶えていたらしく屋台の中でタバコを吸ってた。私が行くとおっちゃんはタバコを消して、

「いっらっしゃい。」

 吸う吸わないは個人の勝手だけど、私みたいにタバコが嫌いな人間の印象が悪くなるとは思わないのだろうか。特にここは野外。焼き鳥を焼く匂いならいざ知らず、タバコの匂いで客が寄ってくるとでも思ってるのだろうか。

 また、おっちゃんは焼き鳥を焼いている時は「話しかけるな」という感じで、客が待っていても「ちょっと待っててね」とか、「もうすぐ出来るからね」という言葉が出てこない。そんなちょっとした言葉だけで、待っている側のイライラ感は解消されるというのに。そして今日も、私はスーパーに食材を買いに行き、その焼鳥屋に「ナンコツ、砂肝、豚バラ」を注文した。食材を買って焼き鳥を受け取りに行くと、小学生ぐらいの子供が思い思いに焼き鳥を注文していた。うんうん、和むじゃないですか。
 おっちゃんは黙っている。何も言わない。注文してから戻ってくるまで、約15分。焼き鳥を焼き上げるには十分な時間である。私は待っていた。この子達の焼き鳥を焼き上げれば、私の焼き鳥を受け取れるのだと信じて。
 子供達の注文は終わって、私は待っていた。

 3分、いや、2分は経っただろうか、おっちゃんは何も言わない。黙って焼き鳥を焼いている。まるでシカバネの

「あの――、注文した焼き鳥は―――」

 沈黙に耐えられずに私が聞くと、

「ああ、まだ焼いてなくてねぇ。」

 へえ。
 どうやら「もうちょっと待ってね」という意味らしい言葉を理解しながら、

「ああ、そうですか。」
 
 努めて表情を変えず、声のトーンも抑えたまま、私はそう口にした。でも、本心は―――

 ふ ざ け る な

 そして、ドラッグストアで買う物も無いのにぶらぶらしていた。そもそも先週、必要なものを買っておいたので、全く用は無いのです。観るという目的すら無い買い物というのは苦痛なのです。
 そして、5分程まって受けとった焼き鳥は、塩胡椒が聞き過ぎた塩辛い味でした。

 おっちゃんはすごくマジメな人だと思う。でも、焼鳥屋の屋台をするまでに、接客業というものを経験した事は無かったのでしょう。それが問題。問題外。
 味や接客態度を観てると、スーパーの前という地の利で商売が成り立っているとしか思えないし、正直、このおっちゃんの焼き鳥じゃなくても全く問題は無い。もし、このスーパーが無くなったらどうするのでしょうか?今の接客態度がコンビニの店員以下な状態では、おっちゃんは苦労すると思う。

 おっちゃんに言ってあげれば良かった。「たった一言で客の気分は随分と変わる」のだと。でも、その時の私は、今までの不満がフラッシュバックして心を平静に保てなかったのです。
 おっちゃん、私はもうおっちゃんの所では焼き鳥は買わないけど、もうちょっと気をつけた方がいいと思うんだ。

 ちなみに、引っ越す前に住んでいた所でも同じ系列の屋台があったんだけど、そこのおっちゃんは、顔なじみの私に、肉が掛けている串をおまけしてくれたり、手も口も動かして、すごく人当たりのいいおっちゃんだった。

 こっちのおっちゃんは、多分どこに行っても大丈夫。それに機会があったらまた買いに行きたいと思う。

 年を取ると言う事は、者の考え方が洗練される事だと思う。
 ただ、思考が硬直化してしまう事もある。接客態度の悪いおっちゃんがそうだ。

 焼鳥屋のおっちゃんに限らないけど、態度の悪い爺さん婆さんが増えている。昔からの習慣か、タバコを路上で吸ってそのまま捨てたり、ゴミも同じくポイ。「近頃の若者は・・・」だって?自分の姿を見てみるといい。「近頃の年寄りは」という言葉をそのまま返したくなる。だってやっている事が同じだもの。
 嗚呼、日本どこへ行く。