スケッチブック〜full color's〜第6話感想「夏の思ひ出」 - 日がな一日ラらラら日記はーてなっ！

　今回は、春日野先生の暴走が同じくきっかけとなった「入部」と「合宿」が繋がって、入部したての頃を回想しながら空さんにとって美術室が掛け替えの無い存在になっている事を描写した話でした。

　あぁ、やっぱり私はこの作品のこの雰囲気が好きだなぁ。（しみじみ）

出版社/メーカー: メディアファクトリー
発売日: 2008/01/25
メディア: DVD
クリック: 18回
この商品を含むブログ (66件) を見る

「人気の無い学校というのはいつもとは違って見えて。
いつもの自分の教室も。自分の席も。
うん、やっぱり、ちょっと違う。」
「こうしてると、何となく、思い出す。」

イベント	美術部への入部	美術部の合宿
きっかけ	春日野先生の勢いに流されて	春日野先生の暴走に巻き込まれて
校舎	よく知らない校舎	いつもと違う校舎
空さんから見た春日野先生	想像していた「文化部の怖い先生」とは違う怖い人	急に抱きつかれても平気
他人から見た空さん	「美術部に入りたての頃、喋らんかったね〜。」←空さんの事をよく知らない	「あ、空やもんね。」、「気持ちがおしゃべり」←空さんと親しくなった象徴
美術室	「そういえばこの扉を開けるのも最初の頃はドキドキした。」	「そうか、私も美術室が好きなのか。多分、そうなんだ。」

全ては春日野先生から始まった。

　今回の合宿も、空さんが美術部に入る事になったのも春日野先生がきっかけ。
　合宿でも、「なぜ美術部が合宿？」、「よりによって学校で合宿？」、「何故校舎の中を歩き回る事に…」みたいにさんざん美術部のみんなを引っ張り回すのですが、学校の思わぬ一面に気付いたり(中には知らない方が幸せな黒光りする虫もありますけど)、入部したての頃を思い出させるきっかけになったりと、何だかんだ言って結構楽しかったりするのです。

「そういえばこの扉を開けるのも最初の頃はドキドキした。」

　空さんが入部したての頃を思い出しながら美術室に戻ると、先生が迎えてくれて、夏海さん、葉月さんが待っていてくれて

「梶原さんあなたも戻ってきたのね〜。」
「おかえり〜。」
「空ー。」
「おかえりなさい。」

――と、入部した時の追体験をするんですが、入部の時は誰もいなかった教室に、今は美術部のみんなが揃っていて、「おかえり」とみんなが迎えてくれて。そこにはもう空さんの居場所があって、空さんも美術部のみんながどれだけ大きな存在になったかという事に改めて気付く描写が素敵。

「そうか、私も美術室が好きなのか。多分、そうなんだ。」

信号トリオ

「そういえば、美術部に入りたての頃、喋らんかったね〜。」
「梶原さん、随分とおしゃべりになったわよね〜。」
「おしゃべり？　…？」
「…ではないか。
「うん。」
「あ、でももしかしたら、気持ちがおしゃべりになったのかも。
「え〜？気持ちやらおしゃべりになるとぉ？」
「う〜ん、分かんないけど多分そうかなぁって。」
「葉月も変な事言うとねぇ。　でも、そうかも。」
「うん。」

　初めは空さんが何を考えてるのかよく分からなかった夏海さんと葉月さんも、空さんと付き合ううちに、空さんはあまり喋らないけど、何を言いたいのか大体分かるようになっているという描写が上手です。

学校で合宿もいいものだ。

　春日野先生の提案で、いつもは行けない屋上に行ってはみたものの、屋上から眺めた景色は緑一面で何にも無し。

「しかし学校の周りって何にも無かね〜。」
「そうね。緑はたくさんあるんだけど。」

　でも、「生徒がいない夏休み」＋「誰もいない夜」の二つの要素が合わさると俄然面白くなってきます。
　例えば夕食。

「夜の学校で食事するなんて滅多に出来る事じゃないものね。」
「そうやねー。」

　例えば星空。

「たはー、ここ、星綺麗〜。」
「この辺りは光源が少ないからな。星がよく見える。」

　昼間、「しかし学校の周りって何にも無かね〜。」とか言って退屈だった学校の周りの景色が、星空を観るのには向いていて…みたいなコペルニクス的転回みたいな体験の描写がすごく良いのです。
　初めはなし崩し的に入部することになった美術部だったのに、春が過ぎ、夏休みも終わりかけて空さん達３人が仲良くなり、すっかり美術部員の仲間になった今、改めて振り返ってみると、美術部に入って良かったと思えるようになっていたんですよね。