BLUE DROP〜天使達の戯曲〜第8話感想「Hyoscyamus niger」(打ち破る思い)
今回はミッチーが「現実世界」と「物語世界」の両方の「現実逃避」属性を脱却して「現実」へ歩み出す話と、それらを見つめながらフォリメに感情移入をしていくツバエルさん、今は「敵」であるアザナエルさんが真実へ一歩近づく話。
第一巻には吉富昭仁先生の書き下ろしがついてきます。
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ミッチーが戯曲を書けない理由
「みんな期待してくれてるのに、なんで書けないんだろう?なんで?」
ミッチーの「お話」というのは、元々忙しい両親に構って貰えない寂しさ、友達とうち解けられない寂しさという、辛い「現実」から逃げる為の「現実逃避」の物語であり、「現実」のクラスメイト達と演じる戯曲とは相性が悪いのです。
「そしてお姫様は王子様と幸せに暮らしました。いつまでもいつまでも。」
だから、ミッチーが幾ら「自分の中」から「お話」を紡ぎだそうとしても、「現実逃避」の話しか書けない。だから、「もう少しで出来ると誤魔化す」、「中身も現実逃避のパラパラ漫画を作る」、「気分転換と称する庭作業で気を紛らわせる」、「締め切りから逃げる漫画家のように逃げ出す」というような、現実世界でも「現実逃避」をしてしまうのです。
そんなミッチーだけど、「書きたい」という思いはある。でも、「物語」となる「現実」の題材が見付からない―――という所で悩んでいたんですが、そんなミッチーの目に、「走る暴走娘」の若竹さん、「腹黒清純派」の千光寺さん、「コマンダーに全てを捧げます」なツバエルさんという楽しげな3人組の姿が映ります。どうしてミッチーにツバエルさんの姿が見えたかというのは描写されていませんが、「現実逃避」ではなく、悩みながらも「現実」に立ち向かおうとした「気持ち」が、「隠された現実」であるツバエルさんの姿を見せたんじゃないかと思います。
物語開始以前 | → | 物語開始以後 | |
現実のミッチー | 一人ぼっちの殻に閉じこもっていた「現実逃避」 | → | 大切な友達ができて「現実」に目を向ける |
物語のミッチー | 「現実逃避」の物語 | → | 「現実」の少女達の戯曲を書く |
このミッチーの変化を、フワフワ浮いているツバエルさんが客観的に観察する事で、ミッチーの成長物語と同時に、ツバエルさんのフォリメ(地球人)に対しての感情移入の物語にもなっているのが上手いですね。先回は千光寺さんが「地球人」に対して目を向ける話で、今回はツバエルさん、となれば今度はアザナエルさん?楽しみです。
なお、「ミッチーが戯曲を書けない理由」について、Sunithaが自信満々で書いているように見えるかもしれませんけど、多分に私の脳内補完でビクビクしながら書いているので、よりすっきりした解釈があったら教えて下さい。
アザナエルさん
千光寺さんは「若竹さんを守りたいから」、ツバエルさんは「千光寺さんが好きだから」という「気持ち」で同胞達を裏切っているので、アザナエルさんが「エカリルさんが殺されたから」という「気持ち」で暴走しているのも、多分肯定されるんじゃないかなと思えてきました。
今回のエカリルさんのエミルドライブの暴走のシーンを見ると、ブルーの「事故」は事故じゃなく、最初から仕組まれていた「計画」だったような雰囲気でしたし。そうなると、エカリルさんに何やら含む所があるシバリエルさんが怪しいですしね。というか、話もろくに聞かずに「反逆」と見なしたりしたりと、今まで何か企んでそうな雰囲気はありましたから、シバリエルさんが「事故」を仕掛けた張本人という事でも全く不自然じゃないですし。となると、アザナエルさんの憎悪が千光寺さんからシバリエルさんに向きますから、「気持ち」で動く千光寺さん・ツバエルさん・アザナエルさんが同じ陣営で括られます。ぎぎぎ、面白そうじゃないですか。
私の妄想はともかくとして、アザナエルさんがどういう結末を辿るのかが、「BLUE DROP」という作品の着地点を占う事になるのは間違いないと思います。大まかな結末は、後日談であるコミックスを読んだから知ってるんですが、何もかも失われてしまう中で、「何かを守る事が出来る」のか、それとも「何も叶えられずに散っていく」のか、スタッフさん達のスタンスが分かります。アザナエルさんの去就には注目。
千光寺さん
千光寺さんがツバエルさんをいじめたり、ミッチーの気持ちを察したりする描写で、千光寺さんも成長したなぁと感慨深かったです。
「香月さん、苦しかったのね。」
「確かに、責任が無いとは言えないわね。」
回を重ねる毎に人間的な面白みが増していく千光寺さんも、虐められて喘いでいるツバエルさんも可愛すぎます。「BLUE DROP」は良い作品。
今週の花言葉
「ヒヨス」の花言葉は「移り気・不完全・嫉妬・薄れ行く愛・美」
サブタイトルの「打ち破る思い」とどう考えても繋がりませんが気にしない。
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