スケッチブック 〜full color's〜第10話感想&備忘録「出会いの先」
今回のテーマは「一期一会」・・・なんですが、描写の所々、至る所に「一期一会」が練り込まれていて、脚本の出来がすごすぎます。
「秋の裏山はいつのまにかいつもの裏山とちょっとちがってた。
毎日ちょっとずつ、気付かないうちに変化していたのだろう。」
「変わらない日常」の連続のようでも、実は常に移り変わって行っていて、その瞬間その瞬間毎に、代え難い「一期一会」がある。
それは例えば「景色」であったり、はたまた「人」であったり、もしかしたら「今のこの生活」さえ、「掛け替えのないモノ」。
でも、そういった切なさは、「この一瞬」を楽しんでいる空さんからは由来しないで、空さんが何気なく言った台詞、
「いつものように、いつものみんなと、いつの間にか訪れた秋を感じている。みんな楽しそう。」
から、それを観ている視聴者の胸から感じられるようになっています。
私は、この作品のこういう手法が好きなんだよねぇ。
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出会いの「一期一会」
ストーリーの大きな所としては、「犬男」と「謎の少女」との「一期一会」。
根岸君の妹のみなもさんにとっては、犬嫌いの根岸君が犬を拾ってくるなんて考えられなかったのに、そんな「有り得ない」事を、現実にしてくれたのは、たまたまそこに居合わせた美術部のみんながいた「一期一会」の御陰。
「おにい、犬苦手だから、一人だったら犬男のこと、絶対拾ってきてくれなかったと思うんです。
皆さんのおかげです。」
そして、その「一期一会」に惹かれて美術部にやってきた根岸君の妹のみなもさんと、美術部一同との出会いもまた「一期一会」
「だって、気に入っちゃったもん!犬男と皆さんの書いた絵です!」
「犬男のお礼も言いたいし、皆さんに会いたいと思ったんです!」
一瞬の一期一会
みなもさんとの部室での「一期一会」がきっかけとなって、「空さん」と「絵」、「みなもさん」と「カメラ」の、いつもの組み合わせを取り替える事になります。
空さんとカメラ
カメラを扱い慣れていない空さんは、折角の「一期一会」を逃してしまった事で逆に「一期一会」を強調したり、また、偶然切ったシャッターで「愉快な秋」との「一期一会」と出会います。
うまく撮れない。
「愉快な秋が撮れた。」
これもまた、根岸先輩が犬男を拾って、みなもさんが犬男を連れてきて、ピーちゃんもたまたま外に出てきた「一期一会」で生まれた一瞬。
みなもさんと絵
一方、絵を書き慣れていないみなもさん。
「何か違うー。」
でも、「一期一会」で出会った空閑先輩と佐々木先輩のアイディアで、自分に向いた絵を描く事ができました。
「いっそのこと、体に絵の具を塗りたくってボディーペインティング・・・なんてどうかしら。」
「ああ、でもそれってアリかも!」
二人の答え
「気付かずに通り過ぎていた、偶然の世界や風景が、シャッターを押すだけでカメラに記憶されていく。
なんだか面白い。」
「今までこの世界に無かった色や形が自分の手から生まれて、描かれていく。
何だか楽しい。」
と、そんなワケで、空さんもみなもさんも、それぞれの専門を離れた所で楽しい時間を過ごす事ができたのですが、二人の対句は「でも―――」で逆接に繋がります。その真意は?実は、答えは既に出ています。
空さんの場合は、第一話の段階で既に答えが出されています。
「描きたいモノ、描けないモノ、たくさん、たくさん有って。
でも、だから、あたしは、今日も、スケッチブックを持ち歩くのだ。
この時期、ここのミラーに反射する光の不思議、これもきっと、スケッチブックには描けないだろう。」(梶原空)「描けないモノ」、スケッチブックから溢れるような新鮮な世界を観る為に、主人公はスケッチブックを持って、「それ」を待っているんです。
http://d.hatena.ne.jp/AlfLaylawaLayla/20071004/1191496128
つまり、空さんの場合は、時間の流れや、その時に感じた「気持ち」を感じる為にスケッチをしていて、それを書き留める為には、「自分の手で描く」が一番適しています。
一方のみなもさんの場合は、「一期一会」の偶然や一瞬を大切にして、あるがままに全力で楽しむという、みなもさんの行動理念に最も適合するのが、「一瞬を撮影出来る」、「すぐに見返す事が出来る」、デジカメという媒体がやっぱり一番適しています。
そういうみなもさんの気持ちが如実に表されたのがラスト。「彼女のカメラは、私達をどう撮るのだろう?それが何となく楽しみだ。」という、空さんの期待に対して、予め予定されていた「全体写真」より、その一瞬しかない「秋の一枚。」を逃さなかった態度に全て込められていたように感じました。
次回予告
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おまけ
今回、執拗に「一期一会」という語を使ってますけど、実際の本編では、こんな感想に収まらないくらい密度も濃くて深みのある「一期一会」を繰り返し描写しているんですよね。
私はスケッチブックが本当に好きだわ。これが一クールで終わっちゃうんだからなぁ、ホント、すごく残念です。