Yes!プリキュア5第43話感想&備忘録「こまちの決意とナッツの未来」

 小説を書くことで「ナッツとの別れ」を意識した事で、自分の「醜い心」の意識や、恋、夢、友情、全てについての「未来への不安」に波及し、無力感まで感じてしまった秋元先輩が、親友の水無月先輩やナッツの言葉や、夢原さん達の一生懸命な姿に、「未来」へと立ち向かうお話でした。

 一方で、「夢」が無いから「未来」も無いナイトメアではハデーニャさんに黒いカード。でも、ハデーニャさんブンビーさんを呼んだのは、本心ではブンビーさんに付いてきて欲しかった事の現れだったんじゃないかなぁ。今まで「仲間」の時間を積み上げてきた秋元先輩には、親友の水無月先輩やナッツがいるけど、「仲間」を否定してきたハデーニャさんを助けてあげようという人は誰もいなかった辺りに、村山功さんらしい切なさが最も現れていたような気がします。それと、今回の話でシリアスにコメディーが混ぜられていたのは、秋元先輩の苦悩があまりにも子供向けではないので、それを和らげる為じゃないかと感じました。

 あと、蛇足ですが、ナイトメアのメンバーが自分の首が危ないのに引き下がってしまうのは、「夢」が無くて「絶望」しかないから、ピンチの時の粘りが足らないんじゃないかとふと思いました。

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あなたが大好きって誰かが思ってる

 小説を書けば書くほど、「ナッツとの別れ」が意識されて、遂にラストシーンを残すのみとなった所で、「ナッツの夢を叶えたい」と思っている一方で「ナッツに帰って欲しくない」と思う自分もいる。それはとても醜い気持ちで、一方的な気持ちの押し付けでしかないことも秋元先輩は理解している。

「ずっと怖かった。
勇気を振り絞って口に出した途端に、これまでの事や、これからの未来まで、音を立てて崩れてしまうんじゃないかって。
何もかも失ってしまうんじゃないかって。ずっと怖かった。」

 そんな自分の「弱さ」、「醜さ」に苛まれて、自分のセルフイメージがとても惨めなモノに意識されてしまっているんですね。親友である水無月先輩にも相談出来ず、勿論他のメンバーにも、ましてやナッツになんて相談できる筈はありません。

「ラストシーンなんて、来なければいいのに。」

 それでも、水無月先輩は親友だから、秋元先輩の事が好きだから、秋元先輩が何を悩んでいるのかを察して言います。

「こまちが変われば、ラストも変わる。」

 水無月先輩のこの台詞は素敵だなぁと思って観てました。譬え不可避の結末を変える事は出来なくても、ココのように今を大事にしたりする事で、譬え失ってしまうモノでも、心の中に、思い出の中に「残るモノはある」という着地や、同じ「夢」を追い掛けている限り心は一緒というような、「絆」を核とした着地をする事はできます。
 そういったことを、本人に負担を負わせる事なく言葉にして掛けて挙げた水無月先輩はすごく素敵でした。

 それに、夢原さんの言葉がナッツに言うワケですよ。

「ナッツだって、何とかしてあげたいと思うでしょ!」

 「何とかしてあげたい」と思う心は、元々ナッツの中にあるのだけど、ナッツはそれを相手が求める時に手を貸してあげればいいというスタンスで捉えてます。でも、恋愛はそうじゃない。言い出せない言葉、近づけない心理的距離があるのです。それを本能的に察した夢原さんはとても偉いです。 そして、水無月先輩の気遣いでナッツが秋元先輩の傍に寄って言葉を掛けます。

「みんなこまちの味方だ。」

 そして、ハデーニャさんとの戦闘でミントシールドが破られ、「無力感」に負けて打ち拉がれた秋元先輩に対して、「好きな人との別れ」同じ悩みを抱えている(筈の)夢原さんの迷いの無い姿、かつて自分が言った「後悔しない」という言葉を掛けてくれた水無月先輩。

「だって決めたんだもん!自分の夢だもん!だから、自分の為だもん!」

「そう、これは私達一人一人の事。あとで、後悔しない為のね。」

 このシーンで、冒頭から積み重ねられてきた全ての要素が、夢は一人一人の事だけど、いつも仲間が見守ってくれているという事へと有機的に結合して、秋元先輩の勇気に変わるようになっているんですよね。一人で歩く道でも、誰かが見守ってくれるのはとても心強く感じるものです。

「あなたなんかにドリームコレットは渡さない!ナッツさんしっかり持ってて!
絶対放しちゃダメ!」
「そう、これは自分の為!
自分にちゃんと接してくれる人達に、ちゃんと向き合う為に!
どんな未来になったとしても、私がちゃんとしていられるように!
そう、私の為に!」
「もう、貴方達の好きにはさせない!」

 そして放たれる秋元先輩初の攻撃技。有無を言わさずに破壊力はダントツです。恐ろしいまでの破壊力に秋元先輩の決意の強さを感じました。(ガクガク)

次回予告

 Yes!プリキュア5第44話「お世話役ってどんな人?」

 ハデーニャさん、ご愁傷様です。

 それよりも、ミルクとカワリーノさんが何を話していたのかが気になります。
 次回予告を見る限りでは、カワリーノさんが何となく優しそうなんですけど?