機動戦士ガンダムOO第10話感想&備忘録「ガンダム鹵獲作戦」

 今回は前回に引き続きガンダム、引いてはソレスタルビーイングの弱点が露見され、「神」の領域へ挑もうとしている「ソレスタルビーイング」に、「神になんてなれない。」と、「現実」の申し子であるセルゲイさんによって「現実」を突き付けられるという象徴的な形で終了。

ガンダム・ナドレ、目標を消滅させる!」

 人的・物的損失は、圧倒的に人革の方が大きいのに、「計画」・「自信」・「弱点の露見」など、精神的にはソレスタルビーイングの方が堪えているという対比も興味深かったです。

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俺達は天使じゃない

 先回からの「ソレスタルビーイング」の失敗点を挙げていきます。

1.リヒテンダールさんの恋愛感情に由来する手抜きの仕事で、人革の意図に気付かずプトレマイオスの位置を悟られた事
2.一番必要なデュナメスが整備の為に本来のスペックを出せない状態で出撃した事
(刹那君が整備を手伝っていたらこうはなっていなかったかもしれないので、親心を出してしまったイアンさんのミスとも言えるかも)
3.クリスさんが恐怖に負けて職務放棄した事
4.スメラギさんが人革の目的が「ガンダム」だと気付かずに下手を打った事
5.アレルヤさんがソーマお嬢さんの脳量子波の干渉を受けて意識喪失、ガンダムを鹵獲された事
6.鹵獲されたアレルヤさんへの怒りに駆られて、ヴァーチェに不利な接近戦を挑んでしまい、ガンダム・ナドレを曝してしまった事

 そこから見えてくるガンダムの弱点も挙げてみましょう。

1.ガンダムは攻撃に回れば圧倒的に強いが、逆に攻撃されると、「守るモノ」が出来てしまう為に途端に本来持っている機動性が死んでしまう事
2.ガンダムの行動の大きな指針であるスメラギさんの「予測」も完璧ではない、ガンダム・マイスターも刹那君を筆頭に「理想」から外れる行動をとってしまったり、もっとも「理想」に近いティエリアさんまでが判断ミスで「計画」を狂わせてしまった事などの、諸々の人的ミス。

 「神」のように予測し、「神」のように運用し、「神」のように戦いを治め、「神」のように人々から畏怖され、崇拝される。

と、「ソレスタルビーイング」が有るべき姿から、最も有ってはいけない「人的ミス」から瓦解しかけてしまう―――というのは興味深いです。

 そして最も極めつけだったのは、ミン中尉の言葉でした。

「いつか!いつかお前達は報いを受ける時が来る!
我々が築き上げてきた国を!秩序を乱した罰を!」

 「報い」、「罰」というのは「神」が下すモノと解釈していいと思います。つまり、「神」たろうとする「ソレスタルビーイング」に、「神」の裁きが下ると呪っているんですね。すごい皮肉です。

ティエリアさん

 今回一番見ていて一番興味深かったのはティエリアさん。
 いつも他のメンバーを見下ろす、或いは見下して、「ガンダム・マイスター失格」と詰っていたティエリアさん自身が、「ガンダム・マイスター失格」同然の事をしてしまって自己嫌悪に陥っていました。
 それでも、自分に対しては「ガンダム・マイスター失格」とは口が裂けても言えずに、一人称が「俺」、「僕」、「私」と、心の仮面が次々に剥がれていく様は、今回露呈された「ガンダムソレスタルビーイングの弱点」や「剥がされたヴェーダの装甲とさらけ出されたナドレの機体」、「剥がされたヴァーチェの名前とさらけ出されたナドレの名前」とリンクして非常に象徴的に表されていたように感じました。

 before

「何という失態だ!万死に値する。」
アレルヤ・ハプティズム、君も、ガンダム・マイスターには相応しい存在ではなかった。」

 ↓怒りにまかせた判断ミス&ナドレの露呈
 after

「何という失態だ!こんな早期にナドレの機体を曝してしまうなんて!計画を歪めてしまった!
ああ、ヴェーダ!俺は!僕は!私は・・・・・・。」

 果ては、ティエリアさんが繰り返した「何という失態」という言葉で、王留美さんに「マイスター達」と一括りされて罵倒されるという屈辱。これはティエリアさんには堪えそうですね。

「何という失態。イオリア・シュヘンベルグが求めた理想をガンダムは体現している。
なのに、どうしてマイスター達はどうしてこうも不完全なの!?」

 あと、「種割れ」みたいな虹彩の色の変化は、ハレルヤ君と同じようにティエリアさんにも誕生の秘密がありそうですね。
 まあ、ティエリアさんの場合は仲間の敵討ちなんていうのは毫末考えてなさそうなので、その辺が来週描写されるのかな?

「あの機体から、特別なものを感じる。
ヴェーダ。」

アレルヤ

 アレルヤ君とハレルヤ君の関係は、「限界離脱領域」で出てきたあの二人、「アレルヤ君(過去)」が、「ハレルヤ君(過去)」を殺して食料・酸素を一人分にして、或いは食して生き残ったと考えていいと思うんですが、その際に、「ハレルヤ君(過去)」に「アレルヤ君(過去)」の人格が移ったと考えると、過去と現在で「アレルヤ君」と「ハレルヤ君」の人格が交換されたような印象をうけるんですが、それは、主人格の「ハレルヤ君(過去)」が、恩人である「アレルヤ君(過去)」の好きにさせているという事?
 来週はアレルヤ君メイン回らしいので、謎解きは来週という事で。

ソーマお嬢さん

 回を重ねる毎に感情豊かになっていくソーマお嬢さんが超絶ラブリー。
 セルゲイさんにいいトコ見せようと思ったのか、キュリオスを単独で鹵獲しようとしたり、セルゲイさん達を守ろうとしたのか、怒れるハレルヤ君が操縦するキュリオスに挑み掛かったり、「ティエレンタオツー」に愛着持ってたり、ミン中尉に仲間意識を持っていたりと、ラブリーです。

「私のタオツーを!」

「ミン中尉!」

次回予告

 機動戦士ガンダムOO第11話「アレルヤ

 厳しい上司達に負けずに頑張れ、アレルヤ君。

おまけ

「なら、はっきりと言って差し上げます。おかえりなさい!」

 ルイスお嬢さんのお母様の「おかえりなさい!」という台詞に、「ただいま。」と返せるユーモアを沙慈君に期待したSunithaがバカでした。いや、まぁ、バカなんですけど。

「何という失態。イオリア・シュヘンベルグが求めた理想をガンダムは体現している。
なのに、どうしてマイスター達はどうしてこうも不完全なの!?」

 じゃあ、ハロに操縦させたらいいんじゃない?丁度四機あるし、丁度いいんじゃないですか?(ドクロ)
 現場を知らない上司にはいつの時代も困ったモノですね。