スケッチブック〜full color's〜ドラマＣＤ・Sketch Book Stories　〜前夜祭〜

　今回のテーマは今まで焦点の当たって来なかった美術部部長・須暁雨情と、美術部幽霊部員・大庭月夜さんにスポットライトを当てながら、個性が強すぎてバラバラな美術部が文化祭を通じて団結していき、掛け替えのない思い出になっていく―――と、中学高校時代の文化祭のあの頃の思い出が思い出されるようなお話でした。
　こういう所はアニメの直系の作品。「何も変わらない」原作コミックとは違って、「変わるモノ」と「変わらないモノ」が大きな要素を占めていたアニメと同じです。

　というわけで、無事最終回を迎えたスケッチブック〜full color's〜ですが、まだ終わってません。ストーリー「ズ」というからにはこれからも出るのではないでしょうか。文化祭当日の話や朝倉先生の話もお願いしますよ！原作の朝倉先生のネタを使ってたけど信じてますよ！

スケッチブック~full color’s~ ドラマCD Sketch Book Stories

アーティスト: ドラマ,花澤香菜,中世明日香,牧野由依,広橋涼,田坂秀樹,斎藤桃子,田村ゆかり,近江知永
出版社/メーカー: JVCエンタテインメント
発売日: 2007/12/27
メディア: CD
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「ふっ。残念ながら、そのＣＤの出番は無いぞ、神谷！
俺の焼きそば作りの腕は、既にそんなＣＤなど、遥かに超えた高みに
上り詰めているのだ！！！ふは、ふははは、ふはははは。ふはははは！」（部長さん）

　って、部長さんが壊れたー！

本編感想

「文化祭といえばは文化の祭、文化部の宴、そして、美術部は文化部。きっと、みんな熱く盛り上がるのだろう。」（空さん）

　しかし、美術部のみなさんのやる気は最低レベル。

「星空の下のキャンプファイヤー、気になるあの子にこっそり告ったぜウォンチュウ！」
「文化祭っていうのは、そういう不埒で脳みそが煮えてる人達の為にあるのよ。」（空閑先輩）

　それもその筈。

「そもそもさあ、あたしらみんなで何か一つのことをするって今までに無かったとやない？
うちじゃあ無理たいね。見事にまとまり無かもん。」（夏海お嬢さん）

　美術部はコンテンツ不足以前に、「まとまり」が存在しない（ようにみえます）。
　でも、空さんはそうは思いません。

「まとまり無い、そうなんだろうか。今までは確かに、一緒に何かをする事がなかったけれど。」
「初めての共同作業。」（空さん）

　と、斯くの如くにやる気の無い美術部の面々ですが、アニメ版でカンフル剤として物語を動かしてきた（作中でも佐々木先輩の突っ込みがありましたが）根岸みなもさんの言葉が根岸君によって届けられます。

「ほんっと、オリジナリティあるもん。
ただの焼きそば屋台とか絶対出さなさそうだよね！」（みなもさん）

　それに心を動かされる部員達ですが、美術部きっての駄目人間、鉄壁のスーダラ顧問、春日野先生の心は動きません。

「何弱気になってんの根岸君！
夢見がちな少女に現実突きつけてやるのも兄の務めよ。
大人の階段は二段抜かしで上らしといた方が後々面倒くさくならなくていいの。」（春日野先生）

　しかし、流石は「違いのわかる中学生」、根岸みなも。将を射んとすれば、当然将から。春日野先生にクリティカルヒット！

「はー、本当に楽しみ〜。
何しろ顧問の春日野先生が楽しいもんね。
素敵だよね、春日野先生。」
「春日野先生が中心になったら、きっと面白いアイディアがバンバン出てくるよね。」（みなもさん）

　これに気をよくした美術部の最高意思決定者は俄然燃え出します。

「ちょっとちょっとあんた達、なにぼさっとしてんの！
いたいけな少女の夢を壊すわけにはいかないわ！
大人の階段、あせって上らしちゃあ、かわいそうじゃない！
みんなで最高の文化祭を作り上げようじゃないの！」（春日野先生）
「よーし、みんなやるわよ！」（春日野先生）

　まあ、春日野先生は言うだけで何にもしないでゴロゴロしてるわけなんですが。

「ここって居心地いいのよねー。
冷蔵庫あるし、ストーブあるし、テレビもあるし、何でもあるからねー。」（春日野先生）
「無いものは？」（夏海お嬢さん）
「夢、希望、素敵な出会い。」（春日野先生）
「切なかですねー。」（夏海お嬢さん）

　こうして初めはやる気の無かった部員達も「熱く盛り上が」って、主に部長さんの努力の甲斐あって準備も無事終了してその帰り道。

「面倒くさいと思ってたけど、文化祭、今は楽しみだよ。」（栗原先輩）
「そうね、今日の準備も含めて私達の思い出の一ページに刻まれるのよね。」（空閑先輩）

　「文化祭」という「いつもと違う時間」の中で、連帯感ゼロだった美術部が、ＭＶＰとみなもさんの笑顔を目指して一丸となる貴重な体験やを経験し、これも「思い出」になります。嗚呼、学生時代を思い出すなぁ。

「空閑先輩の言う通りだ。思えば、こうやってみんなで帰る事だって、普段はあまりしない。
これも、思い出になるのだろう。」（空さん）

　ラストは、「みんなでラーメンを食べる」で「美術部の連帯」を象徴して締め。

「初めての高校の文化祭。その前夜は、みんなで、同じラーメンを食べている。」（空さん）

　嗚呼、こんな事あったよね。

須暁雨情人生最良の日

　美術部唯一の良心、部長さんが燃えている！
　いつもは常識的な部長さんですが、その生真面目な性格と器用貧乏な所が災いして何だか妙な感じに燃え上がった部長さん。

　「みなもさんの発言」がきっかけになって紆余曲折はありましたが、「普通の焼きそば」が出し物に決まり、しかも部員達全員のやる気＋連帯感も付いて、部長さんにとっては最高の文化祭になって、やる気の無い部員に代わって「普通の焼きそば」を練習してきた部長さんが報われたのが良かったです。
　やっぱり今回美術部が団結して一番嬉しかったのは、普段美術部員の暴走に振り回されて苦労の耐えない部長さんだよね。