破天荒遊戯第4話感想&備忘録「楽園に触れるなかれ」

 このアニメを端的に説明すると「ラゼルちゃんの人生相談!悩み事は殴って解決よ!」

 毎回ゲストさんから主人公であるラゼルさんを抉る「質問」や「疑問」が投げ掛けられて、それにラゼルさんがざっくりと解答するのがこの作品のテンプレート。

 今回の迷える子羊、マデイラさんの質問。

「ねえ、貴方なら後ろの二人が溺れたならどっちを選ぶ?」(マデイラ)

 それに対するラゼル先生の解答。

「二人が溺れた時は、私も一緒に溺れてあげるから、あんた達も必死こいてあたしを助けて、ついでに自分も助かりなさい!」(ラゼル)

 暗闇の向こうに灯りを見付けるように、水底から水面に出るように、洞窟の中から太陽の光を見出すように、石の鳥が空へ羽ばたくように答えを見付ける。グダグダ考えずに好きなもの全部取れと。「家族」も「自分の将来」も、どっちも大事ならどっちも大事にしたらいい。

本編感想

 私は原作を読んだ事は無いのであしからず。

 ラゼルさんの解答は、別段胸が透くほどのカタルシスが得られるモノというワケでもなく、彼女の解答でみんなが幸福になるワケでもなく、特に第3話「かくもささやかな子守唄」の結末に至っては、ラゼルさんは過去の傷を抉られ、アルゼイドは子供を撃ち殺し、バロックヒートは「憎まれ役」を買って出て、迷子の子供はバラバラに解体され、その母親は子供を失い、別の母親は子供に殺され、その子供は心で泣きながら死ぬ――と、全く救いの無い結末。小学生の頃に見てトラウマ級の衝撃を受けた「グスコーブドリの伝記」を思い出したりと、私の精神もタダでは済みませんでした。

 ラゼルさんが言っている事は、過去の解消に何の役にも立たない単なるエゴです。ラゼルさんは過去に辛い事があったにせよどちらかと言うと比較的幸福な生活を送ってきた人ですし、そんなラゼルさんが最低ランクの不幸を味わってきた人に何を言ってもエゴイズム、偽善です。

 でも、それでも、私はこの作品が好きだと言いたい。
 何が好きかと言えば、ラゼルさんは一本筋を通しているから。
 ラゼルさんは「楽しく」生きようとしています。でも、その為に他人を蹴落としたり貶めたりは決してしない。自分にも厳しい分だけ他人に厳しいし、自分に優しい分だけ他人にも優しい。

 そういう生き方は私はすごく好きだ。

 出来る事なら私もそう在りたいと思う。