true tears 第8話感想&備忘録「雪が降っていない街」

 互いに共鳴するように、眞一郎君、比呂美さん、石動純君が「偽り」だった筈の気持ちが「好意」に変わっていき、比呂美さんと眞一郎君のお母さんもまた同様に、互いに傷つけ合いながらもお互いの事を深く理解する事になり、順調に「重ね合わせ」が機能し、「導き手」であるあいちゃんと石動純君もまた、次の展開へ先んじて進もうとしています。このパワーバランスこそtrue tears。今回も素晴らしかったです。

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眞一郎君と乃絵さん

 誰も認めてくれなかった絵本を認めてくれた事で、「偽り」から付き合い始めた筈の乃絵さんに惹かれていく眞一郎君。実際、あいちゃんの事があって書けなかった絵本が書けるようになったのは、乃絵さんによる「絵本の肯定」の要素が多きいんだと思います。
 さて、その絵本ですが、眞一郎君の絵本は彼の精神状態を色濃く反映します(というかそういうガジェットとして設定されている)から、その時の精神状態によって乃絵さんに「飛べなくなってる」と思われるような展開、または結末を書いてしまうとか、本当の「結末」への道程は最終回まで引っ張るんじゃないかと思っています。特に、「飛べない筈だった地べたの飛翔イベント」とも絡んでくると思うので、絵本の動向に付いては注意して見ておきたいと思います。

「きっと羽ばたく事が出来るんだわ!
眞一郎も、きっと羽ばたく事ができる。
きっとこれが眞一郎の翼になる!」(石動乃絵)

 また今回、急に乃絵さんが「地べた」をかわいがり始めたので、何がきっかけになったんだろうと思ってたら、成る程、比呂美さんとのこの一件で、比呂美さんと同一視していた「地べた」に対する態度が変化してきたという事ですか。

「私、少し、貴方の事見直してるの。
私とちゃんとケンカした人、初めてだわ。」(石動乃絵)

「地べた、寒そうだったから。」(石動乃絵)

「地べたに会いたくなったわ。」(石動乃絵)

 また、今回石動さんが「寒そうだったから」というのは、「冷たい大気によって寒い」のではなく、「辛い事があって心が寒い」という意味ですよね。この時の眞一郎君は、あいちゃんに告白された事でショックを受けていましたから。

「眞一郎も、寒そうだったから。」(石動乃絵)

 この事で、眞一郎君は絵本を書けるようになるという、ポジティブな結果に繋がりました。
 でも、これと同じような台詞が前にもありました。

「私より、きっと眞一郎君の方が寒いから。」(湯浅比呂美)

 この時は、眞一郎君が「比呂美さんは石動純君が好き」という誤解をしていた為に「寒く」なっていたのですが、この後で比呂美さんと帰宅した事で母親にまた小言を言われるというネガティブな結果を招きました。
 また、その前の話でも乃絵さんが眞一郎君にコートを掛ける事で眞一郎君を立ち直らせる契機を作る事(ポジティブな結果)になるのですが、ここまで徹底して、やる事なす事が裏目に出ている比呂美さんと、どんなにメチャクチャにサイコロを転がしても良い目しか出ない乃絵さんの対比は、いずれ逆転する事になるんじゃないかな、と思ってます。つまりは比呂美さんの逆襲と、乃絵さんに対するショックな出来事という形(眞一郎君が「飛べなくなる」など)とかで。

比呂美さん

 石動純君と体育館にいた時に比呂美さんが笑った事から、眞一郎君が予想外に眞一郎君に惹かれているのと共鳴するように、比呂美さんもまた石動純君に惹かれているように見えます。
 同様に、石動純君も、「交換条件」だった筈なのに比呂美さんに惹かれていると考えてよさそうです。この「true tears」という作品では、「言い訳」っぽいものを口にしたら、その背後にある「本心」があるという構造を持っていると思うので、石動純君が「交換条件」の事を口にしたという事は比呂美さんに対する「好意」が芽生え始めていると考えて良いと思います。
 何やら来週はとんでもない展開になるようですが、お相手は石動純君だとは思いますが、そうなら石動純君が「建前」を貫き通せるかが見所になる筈。「建前」だとするなら手は出さない筈だし、惹かれているなら手を出す筈。また、石動純君は「true tears」に於ける展開の「導き手」(参考> 「アニメ版true tearsに於ける「導き手」の役割 〜あいちゃんと石動純は何故年上として設定されなければならなかったか〜」)の役割を担っている筈なので、必ず次の段階に繋がる行動をする筈ですし。

「思わず口から出た言葉って、本心だと思う?
そんな風に思いたくないの。」(湯浅比呂美)

「そんな事、よくあるだろ?
自分の気持ち、理想通りにコントロールできたらどんなに楽か知れないさ。」(石動純)

「私、同じ事言ってる。」(湯浅比呂美)

 恐らく比呂美さんが悩んでいるのは、「大切な存在」を後から来て奪う存在は「悪」、なら母親も「悪」になるという事になってしまうからだと思います。
 比呂美さんは眞一郎君のお母さんの気持ちに今ひとつ共感出来ずにいたのに、乃絵さんの登場で「嫉妬」という感情を持ってしまった為に、眞一郎君のお母さんの気持ちも分かってしまった。だから眞一郎君のお母さんに謝って、家を飛び出したんじゃないかなと思います。

 このままでは比呂美さん自身が母親を嫌いになってしまいそうだから。

「それでも私のお母さんなんです!」(湯浅比呂美)

「大人しそうな顔して、簡単に男の心掴んで、うちの人も眞一郎も味方にして。
大したものよね。」(眞一郎の母)

 あと、個人的に重要なシーンだと思うのが、今まで比呂美さんを「あなた」としか呼んでこなかった眞一郎君のお母さんが比呂美さんを「比呂美」と名前で呼んだ事。つまり、これもまた共鳴するように眞一郎君のお母さんも比呂美さんの「気持ち」を理解してしまったという事だと思います。

「比呂美…、あなた、それはね…、」(眞一郎の母)

あいちゃんと三代吉君

 あいちゃん、案の定拒否されました。泣いてはいけません、強く生きて下さい。

 恐らく、あいちゃんの次の行動が、「true tears」の「結末」を暗示してくれると思います。(参考>「アニメ版true tearsに於ける「導き手」の役割 〜あいちゃんと石動純は何故年上として設定されなければならなかったか〜」)恐らくは三代吉君と縒りを戻し始めるとは思うんですが、さて、どう出るか。

true tears vol.3 [DVD]

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次回予告

 true tears 第9話「なかなか飛べないね」

 むむむ、来週も大変だ。
 「構造」は見えてきても、「展開」は予測できないtrue tearsが大好きです。