「神狩り」読了。
いやー、面白かったよー。
この作品、「神狩り」はつまり、「語り得ぬ事について語り始めようとする寸前」の物語なのですね。
この作者、本気で頭がオカシイ。(最高に誉めてます)
かつて、神は万物を創造することはできるが論理的法則に背くものだけは創造できない、と語られていたことがある。すなわち、非論理的なる世界については、それがどのようなものであるか語ることさえできないのであるから。
――ヴィトゲンシュタイン
成る程、表紙の老人はカナンを目指したモーセですか。作中での解釈によれば、神の後ろ盾を得たと思って賢明に生きて、結局たった一度「杖をもう一度振ったというだけ」で神に見放された―――ではなく、<<神>>に弄ばれた最初から道化の存在。
- 作者: 山田正紀
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1976
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嗚呼、Amazonに画像が無いから紹介出来ないのがもどかしい。
結末は、誰にも分からない。いや、そもそも「記述不可能」なのだ。だから、二重の意味で「語り得ない」のだ。上手い。上手すぎる。
だから、この小説は或る意味詐欺である。そして何よりもセンス・オブ・ワンダーな作品である。
全く「何も語り得ていない物語」をエンターテインメントとして昇華している。皮肉ではなく、真実に賞賛に値する。
きっと「神狩り 2 リッパー」も結局「何も語り得ていない物語」だろう。だが、是非読みたいと思う。きっと「語ることさえできない」モノに魅せられた人間は私だけではない筈だから。そう、主人公島津、芳村氏、理亜、宗がそうであったように―――できる事なら「見えざる手」に遊ばれることなく、せいぜい「見えざる手」を煩わせてやろうじゃないか。
- 作者: 山田正紀
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