機動戦士ガンダムOO第24話感想&備忘録「終わり無き詩」

 今話のテーマは「死にゆく者から生き残る者へ託される『思い』」。

 「生きて成さねばならない事」がある。
 でも、志半ばにそれが叶わないなら?

 その答えが「仲間」。
 イオリア・シュヘンベルグも、ロックオン・ストラトスも、そしてまた、今話で散っていったクリス、リヒティもまた「誰かの為」に最期まで戦い、命を投げ出して生かそうとしていました。
 今話で刹那・F・セイエイが「生きる事」と「死ぬ事」に対してはっきりとした答えを言語化しています。

「命を投げ出して、仇を討ったのか、ロックオン…」(刹那・F・セイエイ)
 
「死の果てに神はいない。」(刹那・F・セイエイ)
 
「存在する事、それは、生きる事。
亡くなった者達の思いを背負い、世界と向き合う。
神ではなく、俺が、俺の意志で。」(刹那・F・セイエイ)

 ただ、刹那・F・セイエイの場合は、言葉にしなくても自然と分かっていて、それを体現していたんですよね。

「だが、生きているなら俺は戦う。
ソラン・イブラヒムとしてではなく、ソレスタルビーイングガンダムマイスター、刹那・F・セイエイとして。」(刹那・F・セイエイ)
 
ガンダムに乗ってか。」(ロックオン・ストラトス
 
「そうだ、俺が、ガンダムだ。」(刹那・F・セイエイ)

 そして、「俺が、ガンダムだ。」がガンダムOOの中の真実だったと繋がっていく。

 「誰かの為」に、「何か」になろうとする強い衝動。
 それこそがガンダムOOの中で強い衝動として重要な要素を占めていたと思います。
 刹那・F・セイエイにとってそれは「ガンダム」であり、ロックオン・ストラトスにとっては「狙撃手」であり、ティエリア・アーデにとっては「人間」であり、アレルヤ・ハプティズムにとっては「弱い自分に負けない自分自身」だったのだと。
 誰もが最初は「自分の為に」戦おうとしていた。でも、志を同じくする仲間と出会い、ぶつかり、思いを託されながら、憑き物が流されていき、いつしか「(自分以外の)誰かの為に」戦う事に目覚めていったというのがガンダムOOという物語だったのように感じます。今話はどうしようもない限界状況の中だからこそ「誰かの為に」という「願い」が一層際だっていたように思いました。

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ティエリア・アーデ

「敵はまだいるのよ!泣き言を言う暇があったら手伝って!」(スメラギ・李・ノリエガ

 嘗ては「不完全」と見下してすらいたスメラギさんから殴られる事がきっかけとなって自己を内省し、「不完全」を受け入れヴェーダから自立した「人間」として、自分自身の意志で、ロックオンから救ってもらった「自分の命」で「出来る事」、「やらねばならない事」を考え、マイスターを取りまとめ、「生き残る覚悟」を決めたティエリア・アーデ。(ロックオン・ストラトスティエリア・アーデ

「リスクが大きすぎるわ。」(スメラギ・李・ノリエガ
 
「分かっています。
ですが、私だけの気持ちではありません。
マイスターの総意です。」(ティエリア・アーデ

「私は、ロックオンの仇を討たなければならない。」(ティエリア・アーデ
 
「あまり熱くならない方がいい。」(アレルヤ・ハプティズム
 
「そうはいかない。」(ティエリア・アーデ

 更に、プトレマイオスが攻撃されて「よくも!」という反応を見せた所からも、プトレマイオスクルーは最早計画遂行の為の「手段」から「大切な仲間」になっている事の現れですよ。成長したなぁ。

「まだだ、まだ死ねるか!
計画の為にも!ロックオンの為にも!」(ティエリア・アーデ

フェルト・グレイス

 両親の意志と、ロックオンとの約束を承けた「生き残る覚悟」と、クリスから「亡くなった者達の思い」を託されたフェルト・グレイス。辛いと思うけど生き残れ。

「縁起悪いなぁ、遺書なんて。」(リヒテンダール・ツエーリ)
 
「違うの!私は、生き残るから。
当分会えないから。
ごめんなさいって。」(フェルト・グレイス

「ロックオンと約束したから。」(フェルト・グレイス

「もうちょっと、おしゃれに、気をつけてね。
ロックオンの分まで、生きてね。
お願い、世界を、変えて、お願い。…」(クリスティナ・シエラ

クリス&リヒティ

 妹のように思っていたクリスの為に危険な艦橋に残ったクリスと、身を挺してクリスを守ったリヒティ。二人が求めていた恋が叶った事で死の間際まで彼らが幸せであったと信じたいと思います。

「バカね、私。すぐ近くにこんないい男、いるじゃない。
見る目無いね、私。」(クリスティナ・シエラ
 
「ホントっすよ。」(リヒテンダール・ツエーリ)

アレハンドロ・コーナー

 そして、粛正する事で世界を支配しようとしている、「平和への願い」を踏みにじって世界を支配しようとしている、二重の意味で今話提示された「死にゆく者から生き残る者へ託される『思い』」を侮辱したアレハンドロ・コーナー

「忌々しいイオリア・シュヘンベルグの亡霊どもめ!
この私、アレハンドロ・コーナーが貴様等を新世界の手向けにしてやろう!」(アレハンドロ・コーナー

 この場にいないリボンズ・アルマークに裏切られ、かつて「天使」だと言った口で「悪魔め!」と、「悪魔」の所行をして「悪魔」の機体に乗る自分を省みない醜さで、惨たらしく散って頂きたいと思います。(ドクロ)

次回予告

 機動戦士ガンダムOO第25話「刹那」

おまけ

「世界は、どちらに傾くのかしら。」(王留美

 これが王留美の本音なら、先回の「世界を止めて」は一体だれの願いだったんだろう…。
 王留美の願いが「世界を止めて」であった事を願います。