CLANNAD第22話感想&備忘録「影二つ」

 俺達は「犠牲」なんかじゃない、「託した」んだ!

 渚さんの夢はもう「渚さん一人だけの夢」じゃない。
 それまでの夢を諦めて渚さんに夢を託した両親。
 夢に挫折して部活嫌いになっていた岡崎君と春原君。
 そして、アニメ版では正ヒロインの座を渚さんに譲ったヒロイン達。(ジョークじゃないです)

 夢を諦める痛みを知っているから、何度も困難にぶつかっても諦めずに夢を叶えようとしていた、そんな渚さんが好きだから応援した。だから、挫けて欲しくない。

CLANNAD FULL VOICE

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「俺達は好きでやってるんだ。
今お前が挫けちまったら、俺達のしてきたことが無駄になっちまう。
みんなでここまでやってきたんだ、頑張ろうぜ。」(岡崎朋也

 ホントは、前半でも岡崎君がその事を口にしていましたが、岡崎君はまだ渚さんと「友達」の距離感を保っている事しかできないから、「渚さんに託す」という「家族」としての立場を取れない。だから、岡崎君はこれ以上踏み込めず、秋生さんの登場を待つしかない。

 だからこそ、視聴者が抱いていた「犠牲なんかじゃない!」という気持ちを言葉にしてくれた秋生さんの言葉が熱い。
 「家族」に打算なんかねえ!好きだから応援するんだ!「親子」だろ、俺達は!「他人」じゃねえから愛するんだ!と、「家族」を大声を張り上げて叫ぶ秋生さんが熱い。

「夢を叶えろ!渚!
 
渚!バカかおめえは!
子供の夢は親の夢なんだよ!
お前が叶えればいいんだ!
俺達はお前が夢を叶えるのを夢見てるんだ!
俺達は夢を諦めたんじゃねえ!
自分たちの夢をお前の夢にしたんだ!
親ってのはそういうもんなんだよ!
家族ってのはそういうもんなんだよ!
だから、あの日からずっと、パン焼きながらずっと、俺達はそれを待ちこがれて生きてきたんだ!
ここでおめえが挫けたら俺達は落ち込むぞ!てめえ!
責任重大だぞ!てめえ!
早苗、いるんだろ、お前も言ってやれ!」(古河秋生

 秋生さんのこの言葉に、「犠牲なんかじゃない!」と叫ぶ岡崎君。
 だって、岡崎君も渚さんの事は最早「他人」じゃないから。渚さんを支える為には、「家族」にならないといけないから。(これがラストの告白のきっかけになっているのは上手い)

「俺達もだぞ、渚!
俺や春原が出来なかった事を、今お前が叶えてくれようとしてるんだ!
俺達の挫折した思いも、お前が今背負ってるんだよ!」(岡崎朋也

 「家族」の事だから、ここばかりは18年間家族である秋生さんに譲って、新参者の「家族」予定者の岡崎君に愛を叫ばせて、脚本さんが何でも無理矢理「恋愛の力」で解決しようとしなかった所は凄く好感が持てました。

 で、ラスト。渚さんと岡崎君の「家族への蟠り」も取り敢えず解消。
 そして、あの「幻想世界」は、「一人ぼっちだった少女」を「暖かい場所を知っている人形」が「暖かい世界」に連れ出す話――――つまり、「友達がいなかったた渚さん」を「友達を知っている岡崎君」が「暖かい世界」に連れ出す話であったと同時に、「家族がいなかった渚さん」を「家族を知っている渚さん」が連れ出すという、二重の意味があったのだと判明。成る程、そういう意味ですか。だから、「ロボット=岡崎君」という等号に違和感を感じたわけですか。成る程。

「続きを思い出しました。お話の続きです。
女の子と人形は、その世界を出る事にしたんです。
人形はずっと遠くにもっと暖かく、にぎやかな世界がある事を知っていたからです。」(古河渚

 ところで、岡崎君が「幻想世界」を知っていた伏線は番外編で解決されるの?

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次回予告

番外編
「夏休みの出来事」

おまけ

 秋生さんの劇はオイディプス王ですよね?
 内容は色々とアレなのですが、エディプスコンプレックスのアレで、要は親不孝どころじゃない親不孝者です。まあ親であるライオスもかなり悪い(元を辿れば神さまが一番悪い)のですが。ここはそんな事は重要ではなく、「親不孝」というキーワード自体が重要なんですよね。
 観ていて「ギリシャ悲劇」だとは思ったけど、「テーバイ(テーベ)」といったら彼しかいない。流石京アニ、仕事が細かい!