マクロスF(フロンティア)第3話感想&備忘録「オン・ユア・マークス」

 「俺は、ここにいたくないんだ…」と言っていたアルトが、ランカ・リーの「『私はここにいる』という気持ち」、シェリル・ノームの「正当な『努力・対価』を支払って『運命』を掴み取る姿勢」、オズマの「『守る』為に危険に身を置く覚悟」に触発されて、「ここ(S.M.S・大切な人の傍)にいたい」と変わっていく話でした。

「『私はここにいるよ』って、『それを出来るだけ沢山の人に伝えられたらな』って、そう思うようになって。」(ランカ・リー

 先回の感想では「ハード・チェイス」のダブルミーニングについて唸らされた事を書いたワケなんですが、今回もそういう「遊び」があったんですよ、今回はシェリルの裸をアルトが見てしまった後でシェリルがアルトを殴ったワケなんですが、これって「仕事」と「プライベート」ときちんと分けるミシェルの「プロ意識」であるのと同時に、「いい思いをしたいなら正当な『努力・対価』を払いなさい」というミシェルの「生きる姿勢」の現れですよ。ギャグパート・視聴者サービスであると同時に、「ミシェルの本質」を鋭く描写していて素晴らしいと思いました。

「私の生で見たのよ!それぐらい安いと思いなさい!」(シェリル・ノーム
 
「ぬかせ!大体、ステージとかで色々見せてんだろ!」(早乙女アルト
 
「それとプライベートは別なの!
嫌らしい目で見ないでよこの変態!」(シェリル・ノーム

「みんなは私を『幸運』だって言う。
でも、それに見合う『努力』はしてきたつもりよ。
だから、私は『シェリル・ノーム』でいられるのよ!」(シェリル・ノーム

 それにしてもアルト君、役得だなぁ…。(バカ)

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本編感想

「そうさ、俺は…」(早乙女アルト

 今話の到達点である「アルトが戦う意味」は遂に言語化される事なく終わりました。
 恐らく「そうさ、俺は…」の後には「俺は、ここにいたいんだ」だと思いますが、これが言語化されなかった理由は、現在のアルトがまだいくつかのネガティブ要素を抱えているからだと思います。 作中でのポジティブ要素としては、シェリルが身を以って(ええ、ホントに「身を以って」)アルトに見せつけた「『対価』を支払って『運命』を切り拓く姿勢」ですね。
 とりあえず、「S.M.S」という組織は装備は超一流、但しリスクを伴うという点で、「誰かを守る為の覚悟」の対価として機能していると思います。取り敢えずアルトはその「覚悟」で半人前、残りは努力次第、というスタートラインという事だと思います。

自分から「運命」に挑む

「他人に自分の運命を任せるのはまっぴらだ!
教えろよ、あいつらは、バジュラは何者なんだ!」(早乙女アルト

「対価」=「もう戻れない」

「聞いたらもう戻れないぞ。」(オズマ・リー)
 
「構わない。」(早乙女・アルト)

 逆に作中でのネガティブ要素としては、「アルトがまだ飛ぶ(逃避)という考えから完全に脱却していない事」、「『自分は独り』だと思っている事」。

 物語の到達点はアルトが「俺は、ここ(仲間が集う場所・大切な人の傍)にいたいんだ!」と思う所でしょうけど、「自分の居場所」の一つである「父親」、「家」を避ける(ここにいたくない)事はネガティブ要素ですし、アルトを大切に思ってくれている人達は沢山いるのに、「大切な人の傍にいたいんだ!」という思いに到達していないアルトはそれに気付かずに「独り」だと思っているのもやはりネガティブ要素。

父親との関係などの「逃避」はまだ解消されてもいない

「アルト、お前また逃げてくるのか。」(ミハエル・ブラウン)
 
「逃げる?誰がだよ!」(早乙女アルト
 
「見損なうなよ、これまで丸一年以上お前と飛んでるんだ。
今のままじゃ、いずれ自分が死ぬか、誰かを殺す。
俺は巻き添えになるつもりはないぜ、一応友人として忠告しておく。」(ミハエル・ブラウン)

「アルト、お前また逃げてくるのか、親父さんや家から。」(ミハエル・ブラウン)

「違う!俺は、違う!」(早乙女アルト

「独り」じゃないでしょ?

「民間軍事プロバイダーである俺達の死は、戦死じゃない、事故死扱いだ。
あそこに墓碑が建てられる事も無い、船団を挙げての葬儀も無く、身内にすら詳細な事実が伝えられる事は無い。」(オズマ・リー)
 
「お誂え向きさ、俺は、俺一人の力で生きる、死ぬ時も一人だ、それでいい。」(早乙女アルト


 あと、オズマがカッコ良すぎる。
 S.M.Sに入る事は死と隣合わせになるという事であり、その「死」には「名誉」も、「事実」さえも与えられないから、先回大した覚悟も無いのにしゃしゃり出てきたアルトを殴り、ギリアムも含めた仲間達の「死」をせめて自分たちだけには刻んでおこうとしての「ここの流儀」だったんですね、渋い。

「民間軍事プロバイダーである俺達の死は、戦死じゃない、事故死扱いだ。
あそこに墓碑が建てられる事も無い、船団を挙げての葬儀も無く、身内にすら詳細な事実が伝えられる事は無い。」(オズマ・リー)

 やっぱりオズマ優しいね。

「24時間の猶予をやる、もう一度よく考えろ。
自分が『何をやりたいのか』、『何の為に』、『何を賭けて戦うのか』をな。」(オズマ・リー)

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次回予告

 マクロスF(フロンティア)第3話「ミス・マクロス

マクロスF (フロンティア) O.S.T.1 娘フロ。

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おまけ

 ところでシェリルはアルトに何の用があって来たんだろう?
 もしかして忘れていたのかなぁ?結構ドジッ娘ですね!(バカ)