こういうのってよー、一番ムカつくんだよなあ〜。自分では直接手をくださず他人を利用してやるっつーかよォー、政治の黒幕的っつーかよォー、最高にブチのめしたいと思うぜッ! コードギアス反逆のルルーシュR2第19話感想&備忘録「TURN19 裏切り」

 今までルルーシュが一方的に黒の騎士団に「嘘(=罪)を付いてきた」という今までの状態から、黒の騎士団全員がシュナイゼルに踊らされてゼロの「罪」を裁く「断罪者」になった事で、同時にゼロを一方的に処断してしまったという「受罪者」にもなり、「断罪者&受罪者」となった事で、黒の騎士団にもゼロに対して「引け目」を感じる要素が生じ、ロロが命を賭けてルルーシュを守る「免罪者&贖罪者」の道を選んだ事で、ルルーシュと黒の騎士団に、お互いが「免罪者&贖罪者」となることで、本当の意味での「仲間」になる為の準備が完了した、そういう話だと思います。
 また、ニーナとジェレミア卿、前シリーズでイレブン差別の急先鋒だった二人が和解の兆しを見せているなど、物語が次第に収束していくのを感じます。

「昔、私は君に助けられた事があっただろう。
その礼を伝えておきたかっただけだ。
しかし、奇妙な関係だな、私と君は。
結局敵となる運命なのかも知れんな。
ここで失礼する。私はナナリー様を捜さねばならない。」(ジェレミア・ゴットバルト

コードギアス 反逆のルルーシュ R2 volume02 [DVD]

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本編感想

ロロ・ランペルージ

 ロロにとっては、例え「偽り」でも、自分の「罪(=嘘)」を赦してくれた――即ち「意志」を認められ「自己」を同定してくれた――、ルルーシュが大好きで、だからこそ「誰の命令」でもない、確固たる「自分の意志」を以て、ルルーシュの命令に背いてまでルルーシュを守りたいという思いを貫き通した―――その揺るがない「思い」の姿に心を打たれました。

「僕はずっと、誰かの道具だった。
僕は嚮団の道具で、その次は兄さんの。
確かに僕は兄さんに使われただけなのかもしれない。
でも、あの時間だけは本物だった!
あの思い出の御陰でようやく僕は人間になれた!
だから、もう―――僕は、僕は道具じゃない―――
これは僕の意志なんだから!」(ロロ・ランペルージ)

 ところで、今回のロロの行動は、「断罪者&受罪者」から「免罪者&贖罪者」に変化したという意味であり、「誰かに赦される事」で、「自己」が同定され、「人間」になる―――という、作中善に回帰した事を意味しています。何度も繰り返していますが、コードギアスは二つの作中善から成っています。

    1. 「意志を持つ『存在』は、自分以外の『他の人間』の存在を認め、その存在によって肯定される事によって初めて『人間』たりうる」
    2. 「お互いが意志を持っている以上、『嘘(=罪)』は生まれるが、許し合う事で『嘘(=罪)』は消えて『真実』となる」

 また、「命令を無視してでも守る意志」という、「人間」が「自己」を同定する絶対必要要素を掲げた事で、皇帝の目指す「完全情報ゲームの世界」に於ける「駒(=道具)」という括りから脱皮した事も意味し、また視聴者に対して、「(シュナイゼル達の)悪意の嘘」は他人を傷付け貶めていくだけですが、ロロは「善意の嘘」なら他人を救うことだってできるのだと、「嘘(=罪)」は決して一方的な「悪」ではないと、「嘘(=罪)」ばかりを非難するシュナイゼルに対して、彼の「(シュナイゼル達の)悪意の嘘」も含めて、これ以上無い程カウンターを加えたと言えると思います。

「そうか、すっかり見抜かれてるな、流石は俺の弟だ。」(ルルーシュランペルージ)
 
「そうだよ、僕は、兄さんの事なら、なんでも、分かる。」(ロロ・ランペルージ)
 
「ああ、そうだよ、お前の兄は、嘘つきなんだ。」(ルルーシュランペルージ)

黒の騎士団

「C.C.がいない、ナナリーもいなくなった。
じゃあルルーシュは?」(紅月カレン)

「待って!一方的すぎるわ、こんなの!
ゼロの御陰で私達ここまで来られたんじゃない!
彼の言い分も!」(紅月カレン)

 黒の騎士団の中でC.C.以外で唯一ルルーシュの全ての面を知っていて、尚かつナナリーから作中善の薫陶を受けていたカレンお嬢さんですが、分かってはいたけど、あれだけルルーシュと一緒にいたのに結局ルルーシュを信じ切れず、ルルーシュの「善意の嘘」を見抜けないまま、シュナイゼルに踊らされた、ルルーシュの事を禄に知らない黒の騎士団に伍した事で、決定的にヒロイン候補から脱落したと言っていいと思います。
 何故あれだけルルーシュの事を知っていながら最後まで信じてあげられない……。

 さて、今回ルルーシュはカレンお嬢さんを含む黒の騎士団全員に裏切られたワケで、唯一ロロだけがルルーシュを守ろうとしたワケなんですが、ロロの行動は、黒の騎士団がこれから取るべき道を示しているワケなんですよね。
 一つめに、ロロは、「善意の嘘」なら、付かれたままでいいとしている事。
 カレンお嬢さんにとっては、「カレンを助ける為に、道化を演じてまで付いた『嘘』」、黒の騎士団にとっては、「日本を解放する為に命を賭けて戦ってきてくれた『嘘』」、それらを完全に忘れている、または忘れていたワケです。
 二つめに、ロロは、ルルーシュの「嘘(=罪)」を赦した事。
 ゼロが黒の騎士団に「嘘(=罪)」を付いていた事が罪なら、黒の騎士団が、味方であるはずのゼロを信じずに敵であるシュナイゼルの言うことを信じて――そこがシュナイゼルの恐ろしさでもあるのですが――、ゼロを裏切った事で、「罪(=嘘)」はおあいこです。

 つまりは、みんな今シリーズ開始時点のルルーシュと同じなんですよ、
 「世界に嘘を付かれていた」と気付いたルルーシュは、その「嘘(=罪)」を赦せずに断罪しようとするワケですが、徐々に「免罪者&贖罪者」に向かいつつあるワケです。同じように、「ゼロに嘘を付かれていた」と気付いた黒の騎士団は、その「嘘(=罪)」を赦せずに断罪しようとするワケですが、やはりゼロは希望なのだと気付く事で、「免罪者&贖罪者」になっていくのだと思います。元々、この崩壊の為に、前シリーズに比べて今シリーズは「仲間」のパラメーターを増やしておいたワケですから。「偽り」でも人は救える。その「優しさ」にさえ気付ければ―――多分黒の騎士団のピンチにいつものゼロが帰ってきて指示を出してくれますし、その時は、「部下」ではなく「同志」として戦える、そんな関係になるのだと思います。

 来週辺りから「こんな時ゼロがいてくれたら――」とか玉城辺りが言い出し始めるので、期待してましょう。 大体、ゼロのいない黒の騎士団なんて、ブリタニアにとってみれば敵にもなりませんしね。時間の問題です。

シュナイゼルエル・ブリタニア

「神聖ブリタニア皇国元第11皇子、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア
私が最も愛し、恐れた男です。」(シュナイゼルエル・ブリタニア)

 嘘ですね、シュナイゼルは誰も愛してなんかいないですから。

 シュナイゼルが卑怯なのは、「ギアスの特性」に全く触れないまま、「罪」の部分だけに光を当てて、ルルーシュがやってきた事の「負の面」だけを見せつる、つまり、自分に都合の良い「真実」だけを見せて「恐怖」を煽って黒の騎士団をまんまと自分の駒に仕立て上げたワケです。
 そもそも、ギアスで命令出来るなら、なんで君たちは「裏切れる」の?その事に気付かないなんて、シュナイゼルの言葉を信じ過ぎです。行政特区日本で真綿で絞め殺すように黒の騎士団を崩壊させようとしたのもシュナイゼルなら、フレイヤを持ち出して来たのだってシュナイゼル
 ルルーシュは「善意の嘘」を2度言いましたが、シュナイゼルの「嘘」は「甘美」なだけで「善意」は全く無い、単なる「悪意の嘘」。

 そろそろみんな、シュナイゼルの「悪意」に気付いてもいいんじゃないかと思うんですけどね。ナナリーは気付いていたのかな?

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次回予告

 コードギアス反逆のルルーシュR2第20話「TURN20 皇帝失格」

「あのひとのお父さんが悪いのですよ」
 何気なささうに、さう言つた。
「私たちの知つてゐるルルーシュは、とても素直で、よく気がきいて、あれでシスコンでマザコンファザコンでなければ、いいえ、シスコンでマザコンファザコンでも、……神様みたいないい子でした」