映画Yes!プリキュア5GoGo!お菓子の国のハッピーバースデイ♪感想&備忘録

 古来日本には奥床しい伝統があります。その名も…

 宿敵と書いて「とも」と読む!!

 プリキュアの感想で何言ってんだー?とかお思いの方もおられるでしょうが、ちょっと作中のボスキャラ、ムシバーンの台詞を読んでいただきたい。

 ムシバーンとはこのダンディなオッサン。

 ダンディな彼の望みとは一体…?

「美味しいお菓子を食べたい!
それが私の望み!」(ムシバーン)

 …バカです。

 超バカです。

 今まで結構な数のアニメや特撮を見てきましたが、大抵の敵が世界征服とか世界の破滅とかを企んできたのに、自分が滞在しているお菓子の国すら征服してません。国民のみなさん、別に洗脳とかされてるワケでもなく、ものすごく平和に暮らしてます。はっきり言って、敵の風上にも置けない優しさっぷりです。

 で、このムシバーンというオッサンはそんな感じに「悪人パラメーター」が最初から低く設定されているのに相応しく、全然悪人としては描かれてません。デザート女王を操っても、何をするワケでもなく、何故か分かりませんが、プリキュアのみなさんをお菓子にして食べようとしただけです。(あれ、充分悪い?)
 寧ろ、デザート女王に惹かれている描写すらあります。

「デザート女王…」(ムシバーン)

 しかも、デザート女王もどうも最初はまんざらでもなかったみたいなんですよね。(オイオイ)

「味が問題では無いのです!
私は貴方の為にありとあらゆるお菓子を作りました!
でも、貴方にはお菓子に込められた気持ちを受け取る心が無かった!」(デザート女王)

 このように、登場する度に「実はいい人属性」が強化されていきます。
 そしてついに迎えた最終決戦。

「事ここに至っては言葉は無用、
私の欲望が上か、お前達の愛と勇気と希望が上か!」(ムシバーン)

 この辺りで、このオッサンの格好良さのボルテージが最高潮。
 オッサンはただ美味しいお菓子が食べたかった、ただそれだけ。
 素直に一緒にお菓子を食べようと夢腹さんが誘えばそれで解決、めでたしめでたし。だから夢原さん、オッサンを殺さないんで!でも、きっと夢原さんは非情にも肉片一つ残さず消し去るんだろうな、と、今まで首まで浸かりきっていた諦観を必死に否定する私がいました。

 そして私に感動を与えてくれたオッサンは予想通り夢原さんに抹殺されます。オッサン…

「何でもない筈のものがこんな力を…
お菓子もそうなのか…
分け合えば美味しさが増すのか…」(ムシバーン)

 お、オッサン!あんたってヤツは!あんたってヤツは!!

 オッサンはオッサンでありながら、お菓子を愛でる女子中学生の心を持っていました。そう、オッサンは真の意味で、プリキュアの「とも」だったのです。

 というわけで、それ以前に、アイスクリームを作るのは「冷蔵庫」じゃなくて「冷凍庫」です、という下らないツッコミをしたりとか、外門頂肘から肩による靠法の打撃の華麗さに、絶対少女向けじゃなーい!とか叫びそうになったりとか、敵の拳線を見切って悉くいなすこまっちゃん最強伝説再び!とか、逆眠り姫をやらかす夢原さんとか(この辺はいつもの成田さんの芸風ですけど)、ミルミルがナッツ無しでミルキィミラーを召還して、実はミルキィミラーの召還シーンはナッツに気を遣ってフリをしていただけだったんだよ!な、なんだってー!!とか、色々見所は有った気がするんですけど、全部ムシバーンのオッサンに持って行かれた感じです。

おまけ

 映画を見ながら感想の構成を考えていたんですが、初期の構想は、お菓子の国への移動方法が人間をオーブンに詰めて加熱するという恐ろしい行動とか、ボスキャラが美少女を食べようとしているとか、散見される食人行動やら、体がお菓子に変わる恐怖とかで、子供達にトラウマを与えかねないけしからん映画の感想にしようとか考えてました。「プリキュアさんが!美少女がオッサンに食べられちゃう!危険が危ないよ!」みたいな。(外道)

 なお、劇中の台詞は全てSunithaの記憶でだいたいこんな感じ…ぐらいで再構成しているのでその辺よろしく。だって捕まりたくないしね。

追記

 本編開始前の寸劇で、大怪獣シロップとか、人間形態の小々田&夏がケダモノ形態のココ&ナッツに変身して、寧ろ弱体化してる!変身の意味無いじゃん!!とかの小ネタも面白かったんですが、ミラクルライト2がミラクルライトの反省を反映して、周りを確認しないと周りの人にぶつけちゃうとか、手からすっぽ抜けて飛んでっちゃうとか、去年の反省を生かしているなぁと感動したりとか、ストーリーでのミラクルライト2の絡ませ方も、きょねんみたいに閑話休題――みたいに物語の流れをぶった切る物ではなく、夢原さんの手当をしたりとか、きちんと役に立ってたりと、正しい使われ方をしていたと思います。

 あと、夢原さんの逆眠り姫のシーンでは、何故かお母さん方の声にならない声が聞こえてきました。やっぱりあれは過激だょなぁ…。