走れSunitha

 突然の事で恐縮だが、私は今追われる身なのだ。
 何、大した理由は無い。
 自らのしでかしたツケのお陰でケツを捲らねばならぬ状況になった、それだけの事だ。
 全く関係無いが、「封仙娘娘追宝録 天を決する大団円(下)」を読んだぞ。

 まあ結局、待つ身が辛いのか、待たせる身が辛いのか、結局あまり辛くは無かったね、待つ方は。

 全く笑えるのか、全く笑えない話なのかは分からんが、とにかく妙な話なのだ。死んだと思っていたのに生きてたんだ。それこそ正に、ドイツ代表の黒い兄弟の如くな。
 まあ、話せば全く短くなるのだが、まず聞いてくれ。始まりは全く脈絡が無い。何故か私は「食前絶後!」を手に入れていた。それまでラノベを買う事は無かったし、今でもラノベラノベと思ってついぞ買わぬ私だ。さっぱり分からないし、やっぱり意味不明なのだ。そして雪崩だよ。アバランチだよ。私みたいなちっぽけな存在はあっさりと真っ白な濁流に押し流されたとさ。

 あれから十年以上経つんだ。

 私も年を取ろうというものだ。ろくごまるに先生に至っては、それこそ「6502」なワケだから、年齢など推して知れ。推してダメなら引いてみろ。案外当たりが出るかも知れない。

 結論から言うと、感想など書くつもりなど無い。分からなくて結構だし、分からない事を前提にしているのだが、こんな話を知っているだろうか。

 良い包丁で魚を三枚に下ろして、その魚を水槽に放すと游ぎだすのだそうだ。

 つまりはその魚の気分だ。何、最終巻だとて何がどうした。どうせ明日にはひょっこり再開するさ。明日が明日になったとしても同じさ。

 それぐらいの全く以て、「封仙娘娘追宝録」らしい終わり方なのだ。
 つまり、終わったのに終わった気がしない。一酸化炭素のようなこの世にグッバイな物質を出すような終わり方じゃない。線香の一炷のような、まだ走り続けているようなアレだ。

 だから、感想の書きようなどあるワケが無い。私はただ、好きなのだ、「封仙娘娘追宝録」が。
 だからさよならなんて言わない。それじゃ、またね。


 ああ、忘れていたが、私を追っているモノの名前は「時間」というんだ。覚えておくといい。こいつは絶対に味方にはならない。しかし、実に公明正大なヤツで、全ての存在に対して敵なのさ。