知るがいい……、ギアスの真の能力は……まさに!世界を支配する能力だということを! 復讐のコードギアス第四話感想 〜その名はゼロ〜



 今回は、先回背景が提示されたルルーシュ「正義」に対して、スザクが「正義」を提示。二人の道は分かたれたようで、実は物語の構造的には相互に影響し合っているという構成がナイスです。

スザク
「そうかも知れない。でも!だから僕は、価値の有る国に変えるんだ!ブリタニアの中から!」
スザク
「間違った方法で手に入れた方法に、価値は無いと思うから。」

 スザクの方は認識していませんが、ルルーシュにとってはスザクとは同じ道を歩めないという決定的な疎隔になったようです。



 ルルーシュ
「馬鹿だお前は!」
スザク
「昔、友達にもよく言われたよ。『この馬鹿!』って。僕の欠点なんだろうな。」

 この会話で、ルルーシュはスザクが子供の頃と少しも変わらないままのまっすぐなヤツだと思い出したんじゃないかと思います。

 そして、これから先、スザクがアシュフォード学園に来る事になったら、学園で共有される時間がとても尊くて、儚いものになりそうです。
 第二話の感想では、ルルーシュが手段を選ばない方法で手に入れようとする「完全勝利」をスザクが「正しい方法」で僅かに回避させると書いたのですが、今回の話を見てると、結果的には、ルルーシュが望む世界、スザクの望む世界の両方が実現されていくことになりそうなので、結局、構造的にはルルーシュとスザクは二人で一つの役割なんじゃないかなと思いました。

 スザクの「正義」では、ブリタニアを内部から変える為の契機は得られず、ルルーシュ「正義」が生み出す潮流が必要。
 ルルーシュ「正義」では、手段が結局ブリタニア皇帝と同じ「力の論理」である為、作られる世界はブリタニアと本質的に変わらず、スザクの「正義」による内部からの変化が必要。

 「世界」が変わらないと「人」は変わらないし、「人」が変わらないと「世界」も変わらない。
 つまり、ルルーシュとスザク、どちらが欠けても、革命は成らない。そういう構造ではないかと。

・王道と覇道

 今回も何かと対比されたルルーシュとスザク。第二話で描写された対比が、本人達の直接の言葉を使うことで、一層はっきりと示されたんじゃないかと思います。

ゼロ
「結果的には、誰も死んでいない。」
スザク
「結果、そうか、そういう考えで・・・。」

ロイド
「明かされない事の方が多いと思うけどね。真実なんてものは。」
スザク
「それが世界だというのなら、自分は・・・ 未練はありません!」

スザク
「それでも、それがルールだ。僕が行かないと、イレブンや名誉ブリタニア人に対して弾圧が始まる。」

 どこまでも「人を信じる」のがスザク。だからこそ、「ルール」を守ろうとするし、たとえ他人に裏切られる事になっても、自分の信念と他人を信じ続けられる意志の強さを持っているということですね。
 こういうところで、スザクじゃなくてルルーシュが主人公だというのが納得できます。
 物語の序盤で、既にスザクは信念が確固としている一方で、そんなスザクに価値観を揺さぶられるルルーシュは、主人公主人公したキャラだと思います。
 でも、命の選択を迫られて葛藤したりする、主人公っぽいスザクもみたいなぁなんて思う自分もいたりする。(ドクロ)

ゼロ
「ただし、見せるのは顔ではない、力だ!」

ゼロ
「不可能を可能にしてみせれば、少しは信じられるだろう。」

 「人を信じる」スザクに対して、「人を信じない」のがルルーシュ
 代わりにルルーシュが重視するのは結果、「結果を出せば人は付いてくるはず」だと考えてます。
 でもそれって、「結果」に付いてくるのであって、「人(=自分)」に付いてくるワケではないんですよね。
 つまり、結果を出し続けて、期待以上の功績を出し続けないといけないと言う事、C.C.が言った、「王の力はお前を孤独にする」という言葉そのものになりそう。
 また、ルルーシュ自信が本来仲間であるはずのレジスタンスにも顔を曝さないという点で、ルルーシュ「人を信じない」「人が信じるのは結果」「結果が、それを実現する力が全て」という「力の論理」を掲げていることを象徴しています。
 一方、今回意図せずして顔を曝されたスザクは、結果的にですが、潜在的「人に信じさせる」ことができる人間ということを象徴しているんじゃないかと。

ゼロ
「私は・・・ゼロ!」
ディートハルト
「ゼロ・・・無ということか・・・」

 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアという人間は記録上では既に死んでいる。ルルーシュ・ランベルージ」という人間は偽りの存在。「ゼロ」という人物はその名の通り、どこにもいない。そういう意味だと思います。これがルルーシュの未来を象徴しているようで心配です。

ナレーション
「母の敵を討ち、妹ナナリーが幸せに過ごせる世界を作る為に。その先に待つのが、父、ブリタニア皇帝と知りながら。少なくとも、それが当時のルルーシュの願いであった。」

 どうやらルルーシュはこの先、自分が持っていた「願い」を忘れていってしまうようですね。第二話の感想で、「ギアスの力はルルーシュにこそ強く掛けられている」というような事を書いたのですが、どうやらその予想は正しそうな気がしてきました。

 ところで、冒頭ナレーションから、そろそろ登場すると思っていましたよ!C.C.さん生還おめでとうございます!怪我はもういいんですか?(笑)

・リーダーを必要としていたレジスタンス

「ナオト・・・、やっぱり俺には無理だよ・・・。リーダーなんて・・・。」


「確かに、我々とブリタニアの間には差がある。絶望的な差だ。だからレジスタンスとして!」
ゼロ
「違うな。テロではブリタニアは倒せないぞ。」

「倒す?」

 第二話でカレンさんがブリタニアに勝つ」という概念が無かったように、扇さんにもブリタニアを倒す」という概念が無かったようです。
 そういう意味で、レジスタンスメンバーの中で、現実を比較的冷静に把握しているカレンさんと扇さんだけが、今回ゼロ(=ルルーシュ)に協力したのは当然かも。
 そしてこれから、ゼロに一層期待するという方向に傾斜しそうです。


「だが彼は言ったんだ。不可能を可能にしてみせると。あの男、枢木ルギスザクを救ってみせると!」
「しかし、認めざるを得ない。彼以外の誰にこんな事ができる?日本解放戦線だって無理だ。少なくても僕にはできない。みんなが無理だと思っていたブリタニアとの戦争だって、やるかもしれない。彼なら。」

 結果的に、ルルーシュ「結果に人は付いてくる」という方向に流れていますが、これは、扇さんが「ナオト」に代わるレジスタンスのリーダーとして自信を失いかけていた事にも起因します。
 彼が一度見失った「自分」を取り戻した時にこそ彼が本当に輝く時だと思います。個人的にはこういう人は好きなので、頑張って欲しいです。

・日本解放戦線の人々

藤堂
公開処刑に付き合ってやる義理はないでしょう。」
藤堂
「奇跡と無謀をはき違える気は無い。」

 第二話で名前だけでてきた藤堂さんが登場。このシーンを見る限りでは、怜悧冷徹冷静な軍人という印象を受けます。
 第二話の感想では、「スザクと似たタイプ」だと予想したのですが、どうやらそういうワケでもないみたいです。単純にレジスタンス内でのルルーシュに対する抵抗勢力になるワケでもなさそう。立ち位置的に不確定要素なので、再登場が期待できる人物です。

「新宿の事件はコウヅキたちのグループだったな。」

「枢木の本家は何か言ってきているか?」

 また、カレンさんの兄、「ナオト」「コウヅキ」という人物は同一人物のようです。そうなると、EDにも出てくるカレンさんの母親が日本人と駆け落ちして生まれたのが「ナオト」とカレンさんという事でしょうか?

 また、スザクの実家はレジスタンスと通じているようです。これから先、スザクにまた嫌疑が掛かるということは無いであろうと思いますが(ピンクのお姫さまがなんとか握りつぶしてくれる!)、スザクにとってどう転ぶか楽しみです。

・へっぽこジェレミアさん

ジェレミア
キューウェル卿!私の命令に従えないのか!これ以上の行為は処罰の対象となる!いいな、全部隊に徹底させろ!全力挙げて奴らを見逃すのだ!」

 ギアスの力で操られているとはいえ、格好いい台詞だと思いました。

 何よりも、「全力で見逃せ」(笑)というのが良い!

 でも、ジェレミアさんはバトレー将軍襲撃時にこんな事言ってましたが、部下にどう誤魔化す弁明するんでしょうね?ヴィレッタさんだけは分かってくれそうですが。

ジェレミア
「覚えていない?まだそんなつまらぬ言い訳を!」「我が身大事か。見苦しい!」
 でも、ヴィレッタさんも同じくギアスに一度遭遇した上に、ルルーシュの顔を見ていますから、それがキーになりそう。

・次回予告

 ルルーシュとカレンさん、誰かに似てると思ったら「彼氏彼女の事情」「有馬総一郎」「宮沢雪野」の関係に似てるんですよ!って、その関係は危ないよカレンさん!ってーかルルーシュはカレンさんに何してるのさー!?

 あと、ピンクのお姫さまの瞳の色が、ルルーシュやナナリーと同じ紫だったのですが、何か意味があるのでしょうか。(紫色の瞳については第一話の感想参照)

・今週の一コマ
 コスプレしながらブルブル震えてるカレンさんが可愛いと思いました。そんなにコスプレが恥ずかしかったのでしょうか。大丈夫!美人は何を着ても似合いますから!(違)
 それに、私はそんなあなたが大好きです!(ダメ)

 ところで、日本伝統の鹿威しの音に被せて登場した女性。OPにも出てました。ブリタニアの占領下で日本伝統の生活様式を維持できているということは、相当の権力者ということですが、彼女、日本人のようで日本人ではなさそうです。誰?
コードギアス 反逆のルルーシュ 1 [DVD]

コードギアス 反逆のルルーシュ 1 [DVD]