覚悟とは…犠牲の心ではないッ!覚悟とは!!暗闇の荒野に!!進むべき道を切り開くことだッ! コードギアス第18話感想 〜枢木スザクに命じる〜



 スザクに変化の兆しが。
 ゼロに「結果」の面から肯定と否定の揺さぶりを掛けられ、「理想」を共有するユーフェミア様はスザクに聞こえない所でひっそりと「理想」の為に生き残れと叫びます。
 スザクの傷を抉る最初の一撃目はゼロ、第二撃目はユーフェミア様になりそうです。
 スザクが再び自分を顧みて選び取る時が近づいています。


 
・選択の刻

 ランスロットパイロットとしてだけでなく、枢木スザクの存在が、恭順派の日本人の象徴になる虞もある事から、スザクの存在が黒の騎士団にとって脅威になっていき、取るべき選択肢は限られていきます。
 暗殺か、捕縛か、それともギアスか―――
 そんな中で、ルルーシュは最後の手段であるギアスを使う事に躊躇いを見せます。

C.C.
「簡単な事だろう。枢木スザクにギアスを使えばいい。」
ルルーシュ
「駄目だ。」
C.C.
「何故だ?意地か?友情?プライドか?」
ルルーシュ
「―――全部だ。」
C.C.
「たとえ殺す事になってもか?」

 次回予告でルルーシュがさんざ語っていたように、ギアスは精神を侵し尊厳をも奪う、相手に対しての侮辱に他ならないというのがルルーシュの認識。
 ギアスを使えばスザクを裏切る事になるのです。

 そしてルルーシュが選択したのは、搦め手による捕獲でした。

ゼロ
「つまり、今の平和は逸早く決まった無条件降伏によるものだ。」
「分かるな?人々の意思は奪われたのだ。ルールを破った一人の犯罪者によって、勝手に!」

 父親殺しという、最悪の形で「ルールを破った」事が、「ルールを遵守する」今のスザクの原点です。
 先週の感想でも書きましたが、スザクは「父親を殺した罪」「死屍累々の焦土」という結果に捕らわれていますから、そこで、スザクが齎した「無条件降伏」によって救われた者もいると肯定した上で、スザクの罪悪感を煽ります。
 しかし、状況はゼロにとって最悪の方向に向かいます。
 軍はシュナイゼルの予定通りに、ゼロとスザクを諸共に始末しようとスザクに命令を下したのです。

スザク
「君のやり方には賛同出来ない!今、自分に出来る事は!」

 死地を求めているスザクにとっては苦難の「贖罪」よりも、安寧な「自己犠牲」がより甘い香りの誘惑。
 一人称も軍人としての「自分」に変わっています。

スザク
「軍人は命令に従わなければならないんだ!」
ゼロ
「ふん!その方が楽だからな!人に従っている方が!お前自身はどうなんだ!」
スザク
「・・・違う!これは俺が決めた俺のルール!」

 一方、上から切り捨てられて、日本に人質として送られた経験を持つルルーシュは、死ねという軍の命令を憎悪し、激昂します。

 軍人が命令を守る事、それは当然の事ですが、軍人は畢竟、戦場で殺人を犯すのが仕事、「人を殺せない、殺さない」と自らに課しているスザクは最初から矛盾を孕んでいました。
 今回も、「人殺し」を否定して自分はゼロを殺さないのに、軍が自分ごとゼロをミサイルで殺すのは是認しているように、現在のスザクの姿勢は「逃避」に他なりません。
 スザクにとって重要なのは「過程」であり、正直なところ、ブリタニアの改革」という「結果」大義名分に過ぎないのです。
 スザクにとっては「過程」という自分を守る殻さえ守れれば、死んだって構わないし、寧ろ死にたくて、「結果」なんて、どうでも良いと思っているのです。(本当はそんな事ないんだろうけど)

 そのように、「死」に逃避しするスザクですが、それを看破されてスザクの仮面が剥がれて本当のスザクの一人称、「俺」が現れています。
 スザクの仮面の崩壊まであと一歩。

 しかし、そこにシュナイゼルのアヴァロンが出現。
 安全な東京租界ではなく、人気のいない敷根島を選んだのも、偽の情報を流して黒の騎士団とランスロットを戦わせたのも、全てはシュナイゼルの策略。
 予定調和の玉砕命令を受けても自分の命よりも「ルールの遵守」を優先するスザクに終にギアスを―――使うのでしょうか?
 多分、使わずに、もう一度話し合う事になるんじゃないかなと思います。

ルルーシュ
「スザク、このままでは死ぬぞ!」
スザク
「ルールを破るよりいい!」
ルルーシュ
「この分からず屋が!」

 そして始まるアヴァロンの砲撃、どう考えてもルルーシュ達は助かりそうにありませんが、C.C.の理屈不明のポテンシャルパワーとか何かで瞬間移動していたりしたら、私はどうしたらいいのでしょうか?

・行動を開始したユーフェミア

ユーフェミア
「基地に伝えなさい!私が巻き込まれる危険があると!それでも発射命令を出せますか!?」

 行動を開始したユーフェミア様は大胆でした。
 ナイトメアに乗って身を挺してスザクを守ろうとします。

コーネリア
「ナンバーズを区別するのはブリタニアの国是だ。」
ユーフェミア
「では私が変えてみせます!」
コーネリア
「分かっているのか副総督、それは皇帝になるということだぞ!」

 スザクが変えようとしている事って、そんなに大変な事だったんですね。
 スザクが目標を達成するには、ユーフェミア様が必要であり、ユーフェミア様が発言権を増すには、スザクが実績を上げる必要があり、互いに互いが必要な状況になってます。

 そんな事は知らないと安寧な「死」を求めて死のうとするスザクに対して、

ユーフェミア
「スザク、まだ死んではなりません!」

 ユーフェミアがスザクの変革に繋がりそうな言葉を叫ぶんですが、物理的にも精神的にもスザクには届かないのです。(切ない)
 
 ユーフェミア様にとっては、非難陰口覚悟でスザクを見込んで騎士にしたわけなので、勝手に死なれては堪ったものではありません。
 死にたがりのスザクを何とかするには、スザクが誰かに必要とされていることを自覚させる事が必要なのです。
 手法は決まっています。

 とりあえずお色気。
 サービスショット、コスプレで視聴者サービスに余念が無いC.C.、走る桃色娘カレンさんに比べて、皇族なのに着た切り雀のドレス姿では、訴えかけるモノが皆無です。

セシル
「あの、ユーフェミア様なら・・・(やればできるんじゃ)・・・」
ロイド
(ヒロインになるのは)ダメじゃないかな。それでも。」

 ユーフェミア様のヒロインへの昇格が絶望的になった所で次。

・益々危ういカレンさん

カレン
「親衛隊、ゼロの・・・」
「ゼロの為よ、カレン。ここで殺らないと――」
「スザク!ゼロを放せ!私は、私は!生徒会のカレン・シュタットフェルトだ!こっちを見ろ!」

 ゼロに精神的にも依存してしまったカレンさん。
 ゼロの為だと日常を壊す事を顧みずにスザクの暗殺を図り、力場の干渉を受ける事を忘れて紅蓮弐式で突撃したりしと、もはや完全に思考を放棄してしまっています。
 成績優秀、品行方正なカレンさんを返せ。

 スザクだけでなく、カレンさんにも、もう一度自分を見直す機会が必要ですね。

・その他気になるポイント

 0)生徒会メンバーとロイドさんが接触
  先々回は、ルルーシュとナナリーがセシルさんと接触したのに続いて、ミレイさん繋がりでロイドさんが生徒会メンバーと接触
  生徒会メンバーが真実を知る日も近いのでしょうか。
  ルルーシュの目を気にするミレイさんが可愛すぎます。

 1)メガネを外したロイドさん
  ニーナと話しているときにメガネを外していますが、これが彼の地なのでしょうか。
  無駄に格好良すぎます。

 2)顔を曇らせるシャーリー
  明らかにルルーシュを見て顔を曇らせています。
  ルルーシュが不快なのか、ルルーシュがカレンと一緒にいるのが不快なのか。
  一体どうなる生徒会。

 3)黄昏の中に佇む子供(?)
  新OPとアヴァロンの砲撃の瞬間のフラッシュと次回予告に出てきた人物。
  「神々の黄昏」、ラグラロクと関係があるのでしょうか。
  因みに、「黄昏」の部分はワーグナーの誤訳だったりする。

 4)アシュフォード学園で受け入れられているスザク
  スザクにボコられた二人以外は、スザクの叙勲を普通にお祝い。
  これも生徒会メンバーの努力の賜物ですね。
  軍とは対照的ですが、果たして軍もこのようになるのでしょうか。
   その点では、今回スザクの叙任式で拍手を送ってくれたダールトンさんがその嚆矢になるのでしょうか。
   何気にダールトンさんの死亡フラグのようにも見えますが、ダールトンさんはスザクに道を示してくれるのかもしれません。
   安らかに眠って下さい。(死んでません)

 5)おかえりなさいジェレミアさん
  
最早純血派の理念は腐った蜜柑。
  腐敗が連鎖し、一人は天に召され、一人は家庭に入った。
  或る男、彼の名はジェレミア、嘗て「オレンジ」の名を恣にし、カルト的な人気を勝ち得た者。 
  その栄光は今いずこ、形骸化した「全力」という言葉のみが番組中で彼の面影を残していた。
  嗚呼、オレンジに会いたけれどもヴァルハラは遠し。
  
  しかし今日、我らの熱い思いが天を動かした。
 
  おかえりなさいジェレミアさん。

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