DARKER THAN BLACK 黒の契約者感想第8話「五月雨にクチナシは香りを放ち…後編」感想
第8話「五月雨にクチナシは香りを放ち・・・後編」感想
今回のテーマは「自分の体を失った契約者」、「自分の体」を失った事が半永久的な「対価」となって、本来の「対価」を払わなくて済む存在です。
当サイトの「対価」の解釈、「人間性の喪失」の代償行為として捉えるなら、猫<マオ>も、アミダブ・カプールさんも、「人間性」を取り戻しているように見えるのも納得できます。
例えば、カプールさんは先週久良沢凱にぶつかられて不快感を露わにしたり、猫<マオ>さんもホウムラン軒の看板娘に餌を貰っても気を悪くする事無くキャットフードを食べたり、「人間性」が感じられますし。(キャットフードって意外と美味しいとも聞きますけど。)
猫<マオ>
「何シケた面してんだよ、笑うトコだろ? 今のは。」
何よりも、カプールさんの「対価」だと思われていたモノが実は「(人間性の喪失の埋め合わせとしての)対価」ではなく、「身体の喪失の埋め合わせ」としての、擬似的な「対価」だったという事から、「対価」というものが、「何か」の「埋め合わせ」としての役割を付与されている事を象徴しているワケという事ですか。
猫<マオ>
「対価は多分もう支払ってる。体を失った時に・・・、俺もそうだ。」
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回を追う毎に、「対価」という視点から、「ゲート」の中に何があるのかが浮き彫りになってきた感じです。
以下に「対価」の条件を纏めてみました。(主観入り)
0.「対価」が何故必要なのか、「契約者」自身にも分からない。(1話〜)
1.「対価」は、基本的には「能力」の使用毎に実行しなければいけない。(1話〜) 例外:黒さん
2.「対価」は、「人間性」を失ったドールには適用されない。(1話〜)
3.「対価」は、「人間性」を持つ「モラトリアム」には適用されない代わりに、「能力」の制御が出来ない。(3、4話)
4.「対価」は、本人の好悪に拘わらない。(5、6話)
5.「対価」は、稀に「能力」が消えた「喪失者」の場合は支払われず、「人間性」が再獲得される場合がある。(5、6話)
6.「対価」は、「憑依能力者」が自分の身体を失った場合は支払いから解放され、「人間性」も再獲得し、モラトリアムと違い「能力」の行使も可能(7、8話)
この材料で推察すると、ゲートの中にいるのは、「人間」という存在を理解出来ないけど、「人間性」は欲しい、矛盾を抱えた「何か」なんじゃないかなと思いました。
さて、先週の感想は私のミスリード。今回の話は猫<マオ>メインの話でした。先週、猫<マオ>さんも、カプールさんも、やけに人間くさく描かれたのも、「命」を失った代わりに「対価」から自由になって「人間性」を再獲得したからだったんですか・・・。あの未亡人に騙された・・・。
亜璃紗さんは先週の感想にも書いた通り、先妻の死体を発見させる事自体が目的でした。意外な事に、旦那さんに本気で惚れてたみたいです。老いてなお盛んなり。
亜璃紗
「変なものね、あれだけ拘られると、体臭がすごく意味の有るものに思えた。何ていうか、それが自分自身そののものっていう・・・。所詮私が手に入れた物なんて、妻という肩書きだけ。
本当に欲しかったものは、何にもこの手に掴めなかった。」
結局亡くなられた旦那さんは、「体臭」に「人間の価値」の重きを置く人で、「体臭」の強い亜璃紗さんは、最後まで先妻さんには勝てなかったのでした・・・。
それと同じようにカプールさんも、たった一つ残された自分の体臭に失われた「人間性」の縁を求めていたのでした。
しかし、亜璃紗さん(普通のサスペンス)サイドと、カプールさん(契約者)サイドが、事件的には全く交わらなかったのは意外でした。「匂い」繋がりで何らかの関連があると思ってたんですけど、久良沢凱が、その両サイドを行ったり来たりして、微妙に鋭い勘や、偶然が働いて「(契約者サイドの)真相」に限り無く近づいたのにも関わらず、結局大いに「勘違い」した結果、「(普通のサスペンスの)真相」に落ち着いて、「(契約者サイドの)真相」を知る事は無かった・・・と、先回の序盤と同様の状況でカプールさんが死亡し、やはり同様に探偵事務所の日常も流れていくのでありました。
今回の前後編を通して、久良沢凱の一人称という、一昔前の探偵モノの形式を取っていながら、視聴者は既に「契約者」の存在を知っているので、一人称の久良沢凱の「主観」の世界が、どうしようもなく滑稽に見えるハイブローなギャグになっている上に、「(摩訶不思議な)真相」なんて、「(普通の)真相」の裏に存在してたりするかもよ?みたいな、ちょっとしたファンタジーになっていたりもする、深い構成でした。
やっぱりレベル高いや、「黒の契約者」。
・次回予告
霧原さんのチャイナドレス姿と、霧原さんの女子高生時代の姿のお披露目です。それにしても、何故もう10年遅く生まれてくれなかったんだ霧原さん・・・・・・。
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・おまけ
「ヤマダ・ジロウ」ではなく、「ダイゴウジ・ガイ」であるように、「久良沢凱」は魂の名前なんだなー。ナデシコ世代の私にはよく納得できました。(笑)