黒の契約者第24話感想「流星雨」
一人、また一人契約者が命を落とす。、一つ、また一つ、天は星を落とす。
黒<ヘイ>さん達は大切な仲間達を一人、また一人失い、出会った敵も、顔も知らなくともゲート内で戦う契約者達も「命」という対価を払い、アンバーさんも命を賭けて契約者達の生き残りを賭けて「対価」を支払い続けている「契約者」に対して、「対価」を支払う事もなく安穏と自らの知的欲求の充足に向けて邁進するシュレーダー博士、「秩序」の名の下に指一本で「弱者」を切り捨てて「対価」を払おうとしないエリック西島達「人間」の姿が対照的でした。
そして、在り方として近い宝来善充氏に「大人になれ」と「非人間的な人間」の世界に勧誘される霧原さん「自分の直感」を信じるんだ!
嗚呼、もう一話で本当に終わるのでしょうか?いや、寧ろ終わらないで欲しいです。
と、思ったら、DVD収録限定の番外編・第26話があるそうな。愛しているぜBONESさん!(情報元)
異様に格好いい黄さんが目印のDVD最新巻は10/24日発売
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黄<ホァン>さん
嘗ては「組織」を裏切る事が恐怖だった黄<ホァン>さんが、黒さん達の為に囮役を務める。
最初は契約者を憎んでいたのに、黒さん達と同じ時間を過ごすうちにいつの間にか「家族」になってしまっていた黄<ホァン>さん。
「あいにく契約者との付き合いは長くてな、自分とこいつらの違いも時々分からなくなるくらい。」(黄<ホァン>さん <#20)
「黒の契約者」という物語が積み重ねてきた作中善、「契約者だって人間だ!」という考えを一般人の側で提示したのは黄<ホァン>さんと霧原さん。特に、黒<ヘイ>さんの殺伐としながらも優しかった日常の中で皮肉混じりに冗談を言い合って、何も言わずに黒<ヘイ>さんの無茶に付き合う、そんな関係を最後の最後まで大事にした黄<ホァン>さん。
未来永劫叶う事が有り得ない将来を語り、悲愴な覚悟をおくびにも出さなかった黄<ホァン>さん。
「どこか田舎に引っ込んで釣りでもしようかと思ってる。」(黄<ホァン>さん)
「おい、今いい事言ってたんだぞ。」
黒<ヘイ>さんも、黄<ホァン>さんも、これが今生の別れになる事を覚悟しているのに、お互いの事を気遣って最期の別れも、いつもと同じ気の置けないやりとりでした。そして怪我の事も全部分かっていても、黄<ホァン>さんの決意を「家族」として見送った銀さん。それらには既に契約者も人間なんて括りは無く、その光景は紛れもない「家族」の姿でした。
「タバコはやめておけ。」
「お前こそ食い過ぎるなよ。」
黒<ヘイ>さん達をゲートへの入り口は送って、その後は追跡者の目を反らす為に撃たれて余命幾ばくも無い命を使おうとする黄<ホァン>さん。かつての親友の命を奪い、愛した女も殺され、散々利用した挙げ句に見限った「世界の秩序」という悪意に対して、ちっぽけなオヤジ一人が牙を立てる姿が切なかった。
「悪いな、オヤジ一人しか、いなくてよ。」(黄<ホァン>さん)
黄<ホァン>さんもいいキャラクターだったなぁ。
「じゃあな。」(黄<ホァン>さん)
猫<マオ>さん
黄<ホァン>さんに続いて猫<マオ>さんまで・・・。
猫<マオ>さんは「組織」のサーバーで「自我」を保っていたので、「組織」を裏切ればこの結末を迎えるのは分かっていたけど、それでも誰に恨みを託つわけでもなく、黒<ヘイ>さんと銀<イン>さんに付き合ってくれた猫<マオ>さんも恰好良かったです。
決して死んだワケではない(実際本体は死んでるんだけど)ので、また会えると信じて。
「餌はカリカリじゃない方が好きなんだ。面白かったよ、お前らと一緒にいると。」
「猫<マオ>?」
「いつか俺とそっくりな猫がお前らを訪ねていったら・・・」
「秩序」という悪意に苛まれる霧原さん
「あらゆる国の諜報機関、政府、権力者に組織の手は及んでいる。世界の秩序を守る為に。」
「秩序」という美名の下に小さな幸せを踏みにじってきたのが組織、19話で磯崎夫妻の幸せを踏みにじって「記憶」を奪って二度も殺したのも、柏木舞さんのように契約者を騙して契約者を抹殺する作戦を手伝わせたりと、「組織」は今や契約者至上主義者が混じっていたEPRすらも霞んで見える悪っぷり。霧原さんの優しさを「ヒューマニズム」と嘲笑うこいつ等こそ「人間」じゃない。
先回、何でもない「人々の営み」を描写したのは、これらを切り捨てる「組織」を否定する為だったんですね。(気付くの遅い)
霧原さんは、善悪を通り越したシュレーダー博士のえげつなさに呆れかえり、「秩序」を掲げるエリック西島と宝来善充さんにやりこめられたりと散々です。残り一話しか無いけど、黄<ホァン>さん亡き今、「契約者だって人間だ!」という作中善を肯定出来る人は他にいません。立ち上がれ、霧原さん!
「ゲートがなくなると、契約者はどうなるのですか?」
「全員溶けて消える。この砂糖のように。」
「そんな、本当なのですかそれは!?」
「本当だよ、実験したんだ。」
「馬鹿な!あなた方は一体!契約者といえど人間です!その全てが犯罪者というわけではない!」
「では数千人の契約者の為に数億の人間を犠牲にしろというのですか!?」
「ヒューマニズムを口にするのは容易いが、現実を見落として国民を危険に曝すのは警察官として許されざる行動だと思わんか?」
人間に戻った魏志軍
黒<ヘイ>さんに出会い、そして負けた事で「屈辱」という人間の感情を取り戻していた魏志軍。彼も最期の最期に「人間」に戻っていた事を「使用する人称代名詞」などの言葉遣いで表現したのは上手い演出でした。
before:敬語主体で一人称は「私」、二人称は「貴方」
「私は貴方ともう一度戦う為にアンバーと行動を共にしていたのです。EPRにいればいずれ貴方に会えると思って。
この力を手に入れてから他人に負ける事などありえなかった。その屈辱、貴方に分かりますか?」
「屈辱だと?面白い事言うじゃないか、契約者のクセに。」
after:敬語はナリを潜めて、一人称は「俺」、二人称は「お前」
「俺がお前を殺してしまうようでは、道案内などさせる筈が無い。」
「お前、最初から負けると分かっていて。」
「結果が分かっていても戦わずにはいられなかった。」
「契約者には有り得ない非合理的な行動だな。」
「お前の所為だ、お前に会った御陰で。」
「変な野郎だよ、お前も。」
「死ぬ」という事を察していても、契約者が優先する筈の「生き残る事」よりも、黒<ヘイ>さんとの闘いを通して生の充足感を優先した魏志軍は敵ながら恰好良かったです。
「行け、BK201。」
アンバーさん
雨霧さんを助けたように、仲間の契約者全員を助けて回った所為で小さくなってしまったアンバーさん。これを見ると、アンバーさん自身は、エリック西島やシュレーダー博士が言う「東京エクスプロージョン」なんて起こすつもりはなく、みんなが生き残る道を模索している感じです。
そういう意味では、珍しく感情を丸出しにして「我々の勝ちだ!」と嬉しそうに叫んでいたエリック西島には悪いけど、契約者が消えない方向で進みそう。
そして、アンバーさんの努力も虚しく雨霧さん、柏木舞さん、そして生きながらに焼かれたドール達と、次々と死んでいく契約者達。今までも容赦無く登場人物が死んできた作品だけど、ここまで徹底しているのを見ると、譬え「契約者至上主義」を掲げる輩も混じっているとしても、EPRが格好良く見えてきます。
もう無理かもしれないけど、個人的には、EPRの「契約者至上主義」も解決して欲しかったなぁ。
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おまけ
「人間は間違いを犯す生き物だ。
万人にとっての正義など存在しない。
間違いの少ない道を選ぶ為には犠牲が必要な事もある。
その為なら、私は敢えてこの手を汚そう。霧原、大人になれ。」
その手袋は自分の「血に汚れた手」を他人に見せないという意味なんですね。
「ドール単体では何を媒介にしようとも観測霊をゲートの奥に侵入させるにはかなりの苦痛を伴う。」
となると、12話「壁の中、なくしたものを取り戻すとき・・・」でゲートの中に観測霊を飛ばした銀<イン>さんはすごく頑張ったワケなのですね。私の中で銀<イン>さんの株が上がりまくります。
「彼?違うよ。当時のメシエコードBK201は別の女性を示すナンバーだった筈だ。」
ああ、やっぱり、黒<ヘイ>さんの能力は白<パイ>さんの能力だったんですか。黒さんが契約者っぽくない契約者という辺りであり得る可能性としては思ってたけど。
証拠↓
殺害方法も、スタンガンか黒<ヘイ>さんと同じような能力かは分からないんですが、もし能力なら、「電気」の能力は元々は、白<パイ>さんか、アンバーさんの能力なんじゃないかなぁと思ったり。
http://d.hatena.ne.jp/AlfLaylawaLayla/20070616/1181985060