機動戦士ガンダムOO第7話感想「報われぬ魂」
サーシェスさんの登場で、刹那君が「ソレスタルビーイングのガンダムマイスターとしての闘い」ではなく「刹那・F・セイエイ個人としての闘い」との葛藤を抱える伏線を敷設。
サーシェスさんの役割は現時点で推測出来るだけでも次の4種類。
刹那君から見た立場 | 位置づけ | 気持ち |
1.刹那君の過去の清算の対象 | 刹那・F・セイエイ個人としての闘い | 憎悪 |
2.刹那君の大事な存在を脅かす敵 | 刹那・F・セイエイ個人としての闘い | 「君を守りたい」という願い |
3.ソレスタルビーイングと対立する国の傭兵 | ソレスタルビーイングのガンダムマイスターとしての闘い | 「武力による戦争行為の廃絶」という大義 |
4.ソレスタルビーイングと対立する「組織」の構成員 | ソレスタルビーイングのガンダムマイスターとしての闘い | 「武力による戦争行為の廃絶」という大義 |
サーシェスさんの配置がわざわざ、「ソレスタルビーイングのガンダムマイスターとしての闘い」として用意されながら、まだ若い刹那君は、「刹那・F・セイエイ個人としての闘い」と割り切れずに、結局それを引きずってしまう――となっていて、話的に刹那君の「葛藤」が何度も繰り返し設けられる構成になっているのが上手いですね。
「その組織はテロという紛争を起こした。
ならば、その紛争に武力で介入するのがソレスタルビーイング。
行動するのは、俺達、ガンダムマイスターだ。」
――とは言ってるのに、「私怨」と「大義」、そして「愛情」・「友情」がごちゃ混ぜな刹那君が青くていいなぁ。見守り甲斐のある主人公ですよ、刹那君は。
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アリー・アル・サーシェス
サーシェスさんの役割は「悪意に満ちた世界」の代表。
ガンダムマイスター、特に刹那君にとっての天敵、越えなくてはいけない壁としての役割を付与されているのだと思います。
言うまでもありませんが、「サーシェスさんを倒す事」と「悪意に満ちた世界を打倒する事」はほぼイコールで結ばれていますから、ラスボスとしての貫禄は十分です。
1.刹那君の過去の清算の対象 | 刹那・F・セイエイ個人としての闘い | 憎悪 |
2.刹那君の大事な存在を脅かす敵 | 刹那・F・セイエイ個人としての闘い | 「君を守りたい」という願い |
3.ソレスタルビーイングと対立する国の傭兵 | ソレスタルビーイングのガンダムマイスターとしての闘い | 「武力による戦争行為の廃絶」という大義 |
4.ソレスタルビーイングと対立する「組織」の構成員 | ソレスタルビーイングのガンダムマイスターとしての闘い | 「武力による戦争行為の廃絶」という大義 |
1.刹那君の過去の清算の対象
1は、クルジス時代の幼かったサーシェスさんが刹那君達を騙して戦争に駆り出していた事を成長して知る事になり、自分が殺した事への贖罪と、騙されて死んでいった仲間達の復讐の為、という「自分自身の為の闘い」が一つ。
「なぜ、ヤツがここに。
行き場が無くなってPMCに所属したのか。
だとしたら、ヤツの神はどこにいる。」
刹那君にとっての「神」は「ガンダムを通して見える何か」なんですが、サーシェスさんの「神」は敢えて言うなら「金」。因みに、イス○ムでは「財産の執着」は「悪魔の誘惑」と位置づけられており、イス○ムの六信五行の五行の一つに「喜捨(ザカート)」が定められている程に徹底されています。
また、モーセの十戒にも「あなたの父母を敬え」とありますが、モーセを預言者の一人として数えているイス○ム、そしてイス○ム法でも、「親殺し」は非常に重い罪として認識されているので、本当に「親殺し」を指定したなら、割とかなりとんでもないです。
「やめて、そら。
なぜ、どうして、どうしてなの、そら!?」
2.刹那君の大事な存在を脅かす敵
2は、今後マリナさんや沙慈君を守る為に刹那君が立ち向かわなければいけないのは、「ソレスタルビーイングの理念」と明らかに反する「願い」の鬩ぎ合い。上記の1では、今回のような問題行動はあっても、「ソレスタルビーイングが指定する敵を殲滅する」という、最低限のラインは守られます。でも、「誰かを守る」となると、優先順位が「敵の殲滅」から「誰かを守る」になってしまうので、その最低限のラインからさえ背反してしまう事になります。
とりあえず、来週のマリナさんと、沙慈君のアタックに期待して行く事にします。
3.ソレスタルビーイングと対立する国の傭兵
3は、書くまでもありませんが、敢えて書くなら、ガンダムマイスターよりも遙かに実戦経験もMSの操縦も巧みで、刹那君だけでなく、ストラトス兄貴よりも上のような描写があり、さらに部下の信頼も厚い――と、ガンダムマイスターに無いモノのオン・パレード。強敵です。
「動きが、見えんだよ!」
「避けやがった!?」(ロックオン・ストラトス)
「いやあ、しかし流石は隊長ですね。あの化け物みたいなMSと互角に渉り合うんですから。」
「俺等は指示通り隠れてて正解でしたぜ!」
4.ソレスタルビーイングと対立する「組織」の構成員
「それよりさっき、耳寄りな情報ってヤツが舞い込んできたぜ。」
タイミング的に、サーシェスさんが謎の「組織」と関わりがあるか、これから接触するか、いずれにせよ「サーシェス―組織」のラインはほぼ確実でしょう。
そもそも、クルジス時代のサーシェスさんが刹那君達を騙していたの以下のセリフから推察できます。
―昔―
「君たちがその身を神に捧げ、この聖戦に参加する為に、やらなくてはならない事がある。それは――」
「おめでとう。これで君たちは神に認められ、聖戦に参加する事を許された戦士となった。」
―今―
「こちとらボーナスがかかってんだ!」
昔は○○○○教徒っぽい事を言っているのに、今のサーシェスさんは拝金主義。
恐らく現在が本当の姿で、昔から「組織」の構成員として、あちこちの紛争を焚き付けていたんだろうと思います。
スメラギさん
ソレスタルビーイングで一人苦悩を抱えるスメラギさん。
「罪」と分かって「罰」を下す。「正義」の為に「悪」を成す。
スメラギさんは「あの事件」が明らかになる辺りがターニングポイントかな。ソレスタルビーイングを離れるとは思えないけど、それに相当する行動を見せてくれる筈。
そして酒をかっくらう。酒でも飲まないと、自分の業に耐えられないのでしょう。
「やはり起きてしまうのね。これが、悪意に満ちた世界。」
「とはいえ、ヴェーダの推測通りに計画が推移しているのは事実でしてよ。」
「私としては、その推測から外れたいんだけどね。」
「王留美、このミッションでどのくらいの犠牲者が出たと思う?」
「いえ。」
「私の予測だと、五百人を下らないわ。」
「それを承知の上でソレスタルビーイングに入ったのではなくて?」
「分かってるわよ。ええ、分かってるわ。」
刹那・F・セイエイ
刹那君の過去の「罪」、「大事な人を殺す」が描写されたので、その「罪」を抱えたまま贖罪の為にガンダムマイスターとして世界を変える闘いに参加しているとしか現時点では言えませんね。
ただ、騙されていたとはいえ、それがいくらイデオロギーだったとしても、「大事な人を殺した事」を現在の刹那君が「間違っていた」と思っている描写が挿まれましたから、恐らくこれから先、マリナさんや沙慈君に銃を向けなくてはいけない展開が来るのでしょう。
「ならば、見せてもらいたいな。君がマイスターである理由を。」
「俺の存在そのものが理由だ。」
「俺は生きている。生きているんだ。」
ロックオン・ストラトス
「どうしたんですか?いつも飄々としてる貴方らしくない態度ですね。」
「うるせえぞこの野郎!」
「そんなにテロが憎いのですか。」
「悪いか。」
「世界から見れば、我々も立派なテロリストだ。」
「テロが憎くて悪いか。」
ストラトス兄貴の心の傷は「テロ」。それを分かっててティエリアさんは言っているみたいですから、ティエリアさんの根性の悪さがよく伝わってきます。彼とは良い友達になれそうです。(ドクロ)
マジメな話、テロにテロで対抗するのはかなり愚かですが、人は誰しも自分の命が惜しいですから、「テロにテロで対抗するなんて間違ってる!」なんて口には出来ずに、「ソレスタルビーイングが介入行動をやめればいいじゃないか!」という輿論に傾くのが道理。
沙慈君は案の定、世界が変わる瞬間をまた自分の目で見る事になってますが、沙慈君がどんな道を選ぶかは楽しみ。沙慈君の選択は、現実の私達に直接リンクしているワケですから。
次回予告
機動戦士ガンダムOO第8話「無差別報復」
刹那、運命の人と出会う
マリナさんかわいいなあ。年増だけど。(ドクロ)
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おまけ
先週の感想を書いた直後に、「モラリア」は「モラル」を国名化した名称だと気付いた。
「モラルの国」の名前を冠しながら、実際はモラルもへったくれも無い、国家を挙げて戦争の片棒を担いでいる国ですからね。現実の世界への痛烈な皮肉ですね、これ。
序でに首都は「リベール」で「自由」ですか?まったく皮肉めいていますね。