機動戦士ガンダムOO第8話感想「無差別報復」

 今回は、刹那君の「守りたいモノ」としてのマリナさんとの初めての接触と、「現場と上層部の乖離」の伏線敷設。

MS IN ACTION!! ガンダムエクシア

MS IN ACTION!! ガンダムエクシア

現場と上層部の乖離

 現場と上層部の温度差はこんな感じ。

勢力 現場の反応 上層部の反応
ソレスタルビーイング ストラトス兄貴は特に怒り心頭(ティエリアさんは例外) AEUとの裏での共闘を「大いなる一歩」と位置づけてる
沙慈君達 テロを目の当たりにして、 無し
AEU 不明 テロ実行犯のデータを流出させてソレスタルビーイングとこっそり共闘
ユニオン グラハムさん怒り心頭 不明だがAEUと同じ行動を取ると考えられる
人革 セルゲイさん怒り心頭 不明だがAEUと同じ行動を取ると考えられる

 私個人の感じでは、「国際テロ組織」のバックは、ソレスタルビーイングのバックと同じ、またはソレスタルビーイングそのもので、自作自演という感じがします。今回の描写で、スメラギさんが盛んに気を紛らわしていたり、腕だけ映って表情が映ってなかったシーンなんかを見ると、スメラギさんは「その事」に薄々気付いているという感じがします。

刹那君&マリナさん

「俺のコードネームは刹那・F・セイエイ
ソレスタルビーイングガンダムマイスターだ。」

「笑えない冗談だわ。」

 すいません、夕飯食べながら大いに笑わせて頂きました。
 「コックピットから出る」だけでもマズいのに、まさか自分の名前と身分を明かすなんて、流石刹那君はやってくれます。
 でも、これは非常に刹那君らしいな、と思って観てました。
 元々刹那君は、個人的な理由が絡まない限りは、非常に優秀な兵士なんですけど、「個人的な理由」が絡むと、途端に歯止めがきかなくなるという特徴があります。
 ソレスタルビーイングに入ったのも、「大切な人を殺してしまった贖罪」や、「神を探す目的」という、「個人的な理由」の為という感じですし、刹那君が先回独断行動を取ったのも、「復讐」という個人的な理由ですし、マリナさんに正体を明かしたのも、「マリナさんに対する無意識の好意(多分)」という「個人的な理由」です。
 前から感想に書いてきましたけど、刹那君がマリナさん(や、沙慈君)を「守りたい」と思ってしまったら、ガンダムマイスターとしての行動に支障を来します。

 サーシェスさんの役割は現時点で推測出来るだけでも次の4種類。

刹那君から見た立場 位置づけ 気持ち
1.刹那君の過去の清算の対象 刹那・F・セイエイ個人としての闘い 憎悪
2.刹那君の大事な存在を脅かす敵 刹那・F・セイエイ個人としての闘い 「君を守りたい」という願い
3.ソレスタルビーイングと対立する国の傭兵 ソレスタルビーイングガンダムマイスターとしての闘い 「武力による戦争行為の廃絶」という大義
4.ソレスタルビーイングと対立する「組織」の構成員 ソレスタルビーイングガンダムマイスターとしての闘い 「武力による戦争行為の廃絶」という大義

 サーシェスさんの配置がわざわざ、「ソレスタルビーイングガンダムマイスターとしての闘い」として用意されながら、まだ若い刹那君は、「刹那・F・セイエイ個人としての闘い」と割り切れずに、結局それを引きずってしまう――となっていて、話的に刹那君の「葛藤」が何度も繰り返し設けられる構成になっているのが上手いですね。

http://d.hatena.ne.jp/AlfLaylawaLayla/20071117/1195298269
2.刹那君の大事な存在を脅かす敵

 2は、今後マリナさんや沙慈君を守る為に刹那君が立ち向かわなければいけないのは、「ソレスタルビーイングの理念」と明らかに反する「願い」の鬩ぎ合い。上記の1では、今回のような問題行動はあっても、「ソレスタルビーイングが指定する敵を殲滅する」という、最低限のラインは守られます。でも、「誰かを守る」となると、優先順位が「敵の殲滅」から「誰かを守る」になってしまうので、その最低限のラインからさえ背反してしまう事になります。
 とりあえず、来週のマリナさんと、沙慈君のアタックに期待して行く事にします。

http://d.hatena.ne.jp/AlfLaylawaLayla/20071117/1195298269

 今回の二人の邂逅には、そういう意味が付与されているのだと思います。
 今は、「あんたを殺しても何も変わらない。世界も変わらない」と言っているけど、多分、刹那君はその「何も変わらないモノ」の為にソレスタルビーイングの指示に違反してでも守る人なんだと思います。その徴候として、ラストシーンでマリナさんが乗っている航空機をエクシアがのぞき込むような描写がありましたけど、マリナさんに対する「好意」と「反発」が入り交じった刹那君らしい行動だと思いました。

 また、刹那君がマリナさんに好意を抱いている感情は、「同じ国出身だから助けた」という優しさの一方で、「自分はテロリストで君の敵」というバカな行動を取ったマリナさんの甘さに対しての怒りなんだと思いますが、何かもう既にベタ惚れですね。

 それにしても、どうして刹那君は沙慈君には「刹那」と名乗ったのに、マリナさんには「カマル」と名乗ったんだろう?

次回予告

 機動戦士ガンダムOO第9話「大国の威信」
 初めてのまともな宇宙戦。前作では、1クールずつ、「宇宙戦」と「地上戦」を繰り返すという形式だったけど、今作ではめまぐるしく変わるのが面白いですね。

おまけ

「あの白いの、ガンダムじゃないか?」
「格好いいー。」

 飛行機に乗っている人たちには、ガンダムが自分たちを攻撃するとは思ってないんですよね。
 これを、「現実感の希薄さ」に由来すると捉えるべきか、「ソレスタルビーイングが正義の味方として捉えられる可能性」だと捉えるべきか、今の時点では何もいえませんけど、EDに続くかのように、鳥のように、天使のように天に昇っていったエクシアの描写は興味深かったです。