機動戦士ガンダムOO第13話感想&備忘録「聖者の帰還」
今話は、「正体の暴露」を通じて、たとえは「思い」や「信仰」や「神」までもが違っても、「歩み寄る事」が出来る事を刹那&エクシアが提示した話。「思い」や「信仰」や「神」が違うから争いが起き、今回のアザディスタンの内戦もそれが原因でしたが、それすら乗り越えられる「可能性」を提示した話でした。
「でも、人は争いをやめる為に歩み寄る事ができる。歩み寄る事が。」(王留美)
「世界に見せつける必要があるのさ。ソレスタルビーイングの思いを!」(アレルヤ・ハプティズム)
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正体暴露イベントと「平和への思い」
例え「思い」も「信仰」も「神」も違っても、歩み寄る事で「平和への思い」は渡すことが出来、一方で、サーシェスさんの方は、「思い」も「信仰」も「神」も無いサーシェスさんの中身が、刹那君にもようやく理解出来た事で、更なる悪役街道まっしぐらです。
その1 マリナ・イスマイール
今回の事で刹那君の正体が決定的に暴露された事で形成された刹那&マリナのラインは、例え思いは違っても、刹那君はマリナさんの、マリナさんも刹那君の「平和への思い」を信じてお互いに「歩み寄る事」で最悪の事態を回避。
「確かに私は彼らの行いには賛同出来ない。
罠である可能性だってある。
でも、それ以上に信じたい。信じたいのよ。」(マリナ・イスマイール)
前回、刹那君もマリナさんもお互いの「理想」を砕かれて打ちのめされましたが、自ら動いて使命を果たした刹那君から、マリナさんへの精一杯の「平和への思い」のバトンが渡される所で、例え「思い」は違っても、例え信仰する「神」は違っていても、「歩み寄る事」で前進出来る事を提示したシーンは本当に良かった。どんなに分かり合えなくても、「平和への思い」のバトンは渡せる。そんなラスト。
「戦え。お前の信じる神の為に。」(刹那・F・セイエイ)
その2 グラハム・エーカー
「少年、君はこの国の内紛をどう思う?」
「この国の内紛をどう思うかな?」
「客観的には考えられんか。
なら君はどちらを支持する?」(グラハム・エイカー)
去年の事になりますけど、覚えてます?
ストラトス兄貴が、改革派、保守派の違いが分からず、攻撃出来なかったグラハムさんと対照的に、一閃の攻撃でなぎ払った事。あれが「客観」。当事者なら、そこに住む者なら、普通は「客観」なんて持てません。これは、俯瞰の視点を持つ「ソレスタルビーイング」の一員であると、「ガンダムマイスター」であると見破ってますよ。鋭い。
「支持はしません。
どちらにも正義はあると思うから。
でも、この戦いで人は死んでいくから。
沢山、死んでいきます。」(刹那・F・セイエイ)
この「どちらにも正義はあると思うから」という年不相応な、そして現地の人間なら有り得ない「客観」の台詞から、グラハムさんは、刹那君がデュナメスの攻撃と同じものを嗅ぎ取ってしまったワケなんですよね。
ただ、グラハムさんは、そのソレスタルビーイングの、恐らくガンダムマイスターである筈の少年の台詞から、「平和への思い」を感じ取って、イナクトの情報をバラしちゃってるんですよね。ここでも、どんなに分かり合えなくても、「平和への思い」のバトンは渡せる事を提示。
「同感だな。」(グラハム・エイカー)
但し、グラハムさんの場合は、国の体面とか、誇りに捕らわれて、結局ガンダムとは戦えず仕舞いなんですよね。よくよく貧乏くじを引く方ですね。
「できるものか。そんなことをしてみろ、我々は世界の鼻つまみ者だ。」(グラハム・エイカー)
その3 沙慈・クロスロード
今までガンダムの行動が「矛盾している」と言っていたのに、エクシアが身を以て提示した「平和への思い」に圧倒されています。ここでも、どんなに分かり合えなくても、「平和への思い」のバトンは渡せる事を提示。
その4 アリー・アル・サーシェス
サーシェスさんは、今まで挙げた3例の「正体の暴露」が「歩み寄る事」に繋がった事例とはうって変わって、その「歩み寄る事」の敵なので、エクシアに腕を切られ、マスードさんも奪い返されて、「歩み寄る事」に対して敗北して、その事を強調する役目。
刹那君の昔の台詞と対応する形で、サーシェスさんの中身が語られ、サーシェスさんには「思い」も「信仰」も「神」もない事がやっとか理解できたようです。
「あんたの戦いは終わってないのか!?クルジスは滅んだ!」(刹那・F・セイエイ)
「知ってるよ!」(アリー・アル・サーシェス)
「あんたは何故ここにいる!あんたの神はどこにいる!答えろ!」(刹那・F・セイエイ)
「答える義理は無えな!」(アリー・アル・サーシェス)
サーシェスさんのこれらの主義へのカウンターが、今回刹那君が口にした「今度こそ、ガンダムに」と、「俺がガンダムだ」と「俺の存在そのものが理由だ。俺は生きている。生きているんだ。」。
これらの齟齬から、「思い」も「信仰」も「神」も無ければ「歩み寄れない事」を逆に提示。
さらに、第5話「限界離脱領域」でアレルヤ君が口にした「ガンダムマイスターは一人じゃない!」と同質の「それはどうかな。」や、アレルヤ君の「世界に見せつける必要があるのさ。ソレスタルビーイングの思いを!」という援護射撃で、頼りに仲間がいた刹那君がサーシェスさんに辛くも勝った事を提示。例え足並みが揃わないガンダムマイスターでも「歩み寄る事」で、巨大な悪にも勝利を収めた形です。
「やってくれたな。しかし、予定通りではある。」(アリー・アル・サーシェス)
「それはどうかな。」(刹那・F・セイエイ)
「ソレスタルビーイングに失敗は許されない。
http://d.hatena.ne.jp/AlfLaylawaLayla/20071103/1194099685
「それに、ガンダムマイスターは一人じゃない!!」(アレルヤ・ハプティズム)
番外編 沙慈君とルイス母
この二人もしっかり「歩み寄」ってます。まあ、「歩み寄」り過ぎですが。(笑)
人って分かり合えるんですねっ!(ドクロ)
そう考えると、沙慈君とルイスさんのお母様との和解イベントがこの前後編で挿入されたのは、全然唐突じゃなくて、ちゃんとした構成に基づいているんですよ。だから私が、叩く前によく考えろといつも言って(以下略)
シーリンさん
先回マリナさんを叱咤したり、格好いい大人として株が急上昇中のシーリンさんの独白が目立った今回。別に初めてではないですが、最近のシーリンさんは恰好良いというか可愛いです。
「状況は最悪ね。
国連の技術者も撤退。
この状況を打開するには、
マス・ドラフマディを確保するしかない。
そうするしか。」(シーリン・バフティヤール)
「馬鹿よ!非武装で来るなんて!」(シーリン・バフティヤール)