機動戦士ガンダムOO第19話感想&備忘録「絆」

 今回は、「協調を知ったティエリアさん」が熱かった。「自らの『戦う理由』を語る刹那君」が爽快でした。「二度に渉って『戦争根絶』の邪魔をしたアレハンドロ・コーナーさん&リボンズさん」には思わずニヤリ。そして、「沙慈君に涙は見せなかったルイスさん」の姿にグッと来ました。
 今回のガンダムOOは最高です!

「全くお前はとんでもねぇガンダムバカだ。」(ロックオン・ストラトス
「ありがとう。最高の誉め言葉だ。」(刹那・F・セイエイ)
「これが、人間か。」(ティエリア・アーデ

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協調を知ったティエリアさん

 ティエリアさんが可愛すぎ。

 あれだけ刹那君の独断専行を忌み嫌っていたティエリアさんがですよ、真っ先に刹那君の援軍に来てくれるなんて。全く、何の夢かとおもいましたよ。(笑)

ヴァーチェ、目標を破壊する!」(ティエリア・アーデ

 そして、刹那君とティエリアさんがフォーメーションで戦うんですが、あれだけ協調性の無かった二人なのに、フォーメーションを組んだら強いのなんの。実は結構気が合うんじゃないの?みたいな。

「君と一緒にフォーメーションを使う日が来るとは思ってもみなかった。」(ティエリア・アーデ

 また、今まで秘中の秘だったナドレを躊躇せずに見せます。これは、ティエリアさんの「覚悟」の象徴。また、今まで刹那君の専売特許だった独断専行をティエリアさん自身の意志で行う事で提示された他のメンバーとの協調の象徴です。

ヴェーダとリンクする機体を全て制御下に置く。
これが、ガンダムナドレの真の能力。
ティエリア・アーデにのみ与えられたガンダムマイスターへのトライアルシステム!
君たちはガンダムマイスターに相応しくない!そうとも、万死に値する!」(ティエリア・アーデ

 更に刹那君に銃を向けたロックオンを制したり。第7話「報われぬ魂」では、ティエリアさんこそが刹那君に銃を向けたのに、この変わりようはカタルシスに来るなぁ。

「ロックオン!」(ティエリア・アーデ

 第7話「報われぬ魂」では、刹那君の事情を全く知らないし、知りたくもなかったティエリアさんでしたが、今話では、刹那君の事情も、ストラトス兄貴の事情も知ってしまった、というより寧ろ「自ら進んで関わった」から、思わず止めずにはいられなかったというのが可愛くてしょうがないです。

「だからガンダムマイスターになる事を受け入れたのか。」(ティエリア・アーデ)←ティエリアさんのストラトス兄貴への積極的干渉

「そうか、あの時コクピットから降りたのは!」(ティエリア・アーデ)←ティエリアさんの刹那君への積極的干渉

 奇しくも、「刹那君をティエリアさんが撃とうとするのをストラトス兄貴が制する」構図が、全く逆になって、「刹那君をストラトス兄貴が撃とうとするのをティエリアさんが制する」構図に逆転しているんですよ。これをティエリアさんの成長と取らずにどう取る、みたいな。
 前は自分がやったくせにね。変われば変わるもんですよ。

「これが、人間か。」(ティエリア・アーデ

 そして極めつけは、ティエリアさん、刹那君を名前で呼んだんですよ。信じられます?今までずっと「刹那・F・セイエイ」だったのが、いきなり「刹那」ですよ。いきなり好感度が跳ね上がってますよ。

「ヤツの存在を確かめたかった。
ヤツの神がどこにいるのか知りたかった。
もし、ヤツの中に神がいないとしたら。俺は…今まで…。」(刹那・F・セイエイ)
「刹那…。」(ティエリア・アーデ

 この「フルネームからファーストネームへの変化」のイベントは、今回、沙慈君、ルイスさんの回想の中でも起こっていたんですよ。つまり、「沙慈―ルイス」の関係が「刹那―ティエリア」の間でも(以下自重)

「いきなり呼び捨て!?」(沙慈・クロスロード
「ダメ?」(ルイス・ハレヴィ

自らの「戦う理由」を語る刹那君

 今回の話は、今まで分かりにくかった「刹那君が戦う理由」を、視聴者にはっきりと告げる機能を遺憾なく発揮していました。

「お前達が、その機体が!ガンダムであるものか!」(刹那・F・セイエイ)

「違う!貴様はガンダムではない!」(刹那・F・セイエイ)
「錯乱したか、エクシア。」(ヨハン・トリニティ)

 ここまでは、今まで通りの意図的に「視聴者に分かりにくく」描写されていた刹那君の台詞ですが、今回はそれに仲間達の説明が入って、「ガンダムマイスターは一人じゃない!」を体現して、仲間パワーの大きさを表現。

「それにな、刹那の気持ちも分かる
あいつはガンダムそのものになろうとしている。
紛争根絶を体現するものにな。」(ロックオン・ストラトス

 そして初めて語られる刹那君自身による刹那君自身についての語り。

「この世界に神はいない。
この世界に神はいない。
神を信じ、神がいない事を知った。
あの男がそうした。
PSAのリーダー、アリー・アル・サーシェス。」(刹那・F・セイエイ)

「そうか、あの時コクピットから降りたのは!」
「ヤツの存在を確かめたかった。
ヤツの神がどこにいるのか知りたかった。
もし、ヤツの中に神がいないとしたら。俺は…今まで…。」(刹那・F・セイエイ)
「刹那…。」(ティエリア・アーデ

「だが、生きているなら俺は戦う。
ソラン・イブラヒムとしてではなく、ソレスタルビーイングガンダムマイスター、刹那・F・セイエイとして。」(刹那・F・セイエイ)
ガンダムに乗ってか。」(ロックオン・ストラトス
「そうだ、俺が、ガンダムだ。」(刹那・F・セイエイ)

 これらによって、今までよく分からないように描写されていた刹那君の内面が全て明言された事になります。
 第1話の「この世界に、神なんていない。」、第2話の「俺が、ガンダムだ。」、第7話の「俺は生きている。生きているんだ。」、第13話の「あんたは何故ここにいる!あんたの神はどこにいる!答えろ!」、これらが全て有機的に結びついて、パズルのピースを埋めるように「刹那君が戦う理由」が浮かび上がっていくのが素晴らしいのですよ。そして、それによって、「刹那君が戦う理由」を知ったティエリアさん、ストラトス兄貴からの、反発、憎悪を越えた和解のシーンが一層引き立つのですよ。

「全くお前はとんでもねぇガンダムバカだ。」(ロックオン・ストラトス
「ありがとう。最高の誉め言葉だ。」(刹那・F・セイエイ)
「これが、人間か。」(ティエリア・アーデ

 これは第7話から続く、第一クール分相当の時間を挿んだ解答。

「ならば、見せてもらいたいな。君がマイスターである理由を。」
「俺の存在そのものが理由だ。」
「俺は生きている。生きているんだ。」

二度に渉って「戦争根絶」の邪魔をしたアレハンドロ・コーナーさん&リボンズさん

 一度目は、「トリニティを撃ち落とす寸前」で、二度目は「三大大国が武装蜂起を可決する寸前」で、アレハンドロさん&リボンズさんの介入。これは、明らかに当初の計画の目的だった筈の「戦争根絶」から反れていきますよ。遂にラスボスのアレハンドロ・コーナーさん&リボンズさんが遂に表舞台に来ましたよ。
 面白くなってきました。

 AEUの人達は言いました。

「神は私達を見捨てなかったようだ。」

 確かに神です。ただし、悪魔という名の神ですが。

沙慈君に涙は見せなかったルイスさん

 ルイスさんは強かった。
 例え自分が辛くても、自分の好きな人の為に「しばしお別れ」を選択したルイスさん。この娘はきっといい女になるよ。

「ねえ、私の夢を沙慈に託してもいい?
夢を叶えて。それが私の夢なの。
だから私の夢を叶えて、沙慈。
約束よ。」

 女の子からこんな笑顔で言われたら、断るワケにはいかないよね。ルイスさん、なんていい娘。

 そして沙慈君との「しばしのお別れ」で、それまで降っていた雨が止んで、日差しの中でルイスさんの笑顔に送られて旅立つ沙慈君が去った後に、その名残雨のように、途端に涙を流すルイスさんのシーンはガンダムOO屈指の神演出。思わずグッときましたよ。

次回予告

 機動戦士ガンダムOO第20話「変革の刃」

おまけ 〜トライアルシステムの存在意義〜

 ティエリアさんが今回使った「トライアルシステム」は、明らかに他のガンダムの反乱に備えて作られていますけど、これって、ヴェーダによる計画の最終段階には、ガンダム同士が戦いうる可能性が想定されている事なのでしょうか?