ドラゴノーツ -ザ・レゾナンス-第25話(最終回)感想&備忘録「共鳴―永遠に響き合うように―」

 「宿命」サイドが掲げてきた「強制」、「不変」、「画一性」を背負う最後の要塞タナトスが、「運命」サイドが掲げる「自由意志」、「変化」、「多様性」を背負う主人公達「他者」の存在を認める事で、「宿命」から解放されるという、今まで何度も何度も繰り返してきた事の総決算でした。

「どうやら私は、一人で過ごす時間が余りにも長すぎたらしい。
私も考えてみよう。次の星に向かうまで愛する事の意味を。」(マザー)

 恐らくドラゴノーツについてもう語る事は無いと思うのでここで書いてしまうと、一人一人が違うという「多様性」が絶え間なく他者を「変化」させ、そこに「自由意志」が生まれる。だから、タナトスによる「画一性」と「不変」、そしてそれを「強制」する事の象徴である「レゾナンス(宿命)」は、多様性を持つ人間とリンクする事でタナトスの想像を超えてその意味が書き換わって「真のレゾナンス=絆(運命)」となり、人間もドラゴン達が「宿命」をはね除け「運命」を切り拓いていく力となります。

 タナトスはその「人間」に興味が湧いたので「(強制)融合」しようとするんですが、その行為は人間の「多様性」を奪い、永遠に「不変」にしてしまって、タナトスは結局一人のままです。

「確かに人間は不完全さ。
いつも胸の中に大きな傷口が開いてて、血を流してる。
だけど、生きるってのはそういう事なんだ。
お前みたいに何もかもリセットして、みんな一緒くたになったって、結局そこにいるのはお前一人だ!他には誰もいない!」(カミシナ・ジン)

 それに気付いて欲しくてジン君達がタナトスと話し合い(強制ではなく自由意志)をしようとし、タナトスもそれに気付いて、「人類をそっとしておく事」に決めた――――という事なのでした。

 みんな決して「一人」じゃない。「他者」がそこにいるからこそ、私達は「一人」ではない。
 きっと或る日「運命」の出会いが待っているから、その人と掛け替えの無い時間を過ごそう―――という事なのでした。

「俺達は、私達は、一人じゃない。」(ジン&トア)

アキラさんが語る「自由意志」の強固さ

「私が持つ人間としての記憶は、人はひ弱に見えて、なかなかしぶといモノだと語っている。」(ソウヤ・アキラ)

ノザキ教授による「自由意志」の肯定

「私はレゾナンスしてからずっと疑っていた。
我々の感情はレゾナンスがもたらしたものだ。
だったら、パートナーを愛しいと思うこの気持ちは作り出されたものではないだろうか。
我々には真の意味で自由な意志など存在しないのではないだろうかと。
しかし、私は気付いた。
それが作り出されたものであろうと、自然に湧き出たものであろうと、どちらでも構わない。
ただ大事なのは、その気持ちが本物だと思う、自分を信じる事なのだと。」(ノザキ教授)

ノザキ教授が語る「真のレゾナンス」、「絆」の存在。

「人とドラゴンとの未来、この目で見届けたかったが、それは君たちの絆に託す事にしよう。
二人の思い、必ずマザーに送り届けてくれ!」(ノザキ教授)

「変化を受け入れた存在・ギオ」と「変化を拒む存在・オストルム」の語り

「俺達は、人間とレゾナンスして変わった。
他者を思いやる心を手に入れたんだ。」(ギオ)
 
「そんなモノが我々に必要なのか。」(オストルム)
 
「俺はこの星に生まれて良かった。
心を得て、愛を知り、ジンやトアと一緒に過ごせて。」(ギオ)
 
「心か…、それが俺とお前の違いか。」(オストルム)

おまけ

 最終回ですね。
 まあ色々ありましたが、ドラゴノーツもこれにてフィナーレ、とりあえずは何事もなく終わってくれました。
 ただ、一つ残念だったのは、死んでしまった人達が生き返らなかった事。
 アキラさん、マキナさん、アーシム王子、ガーネットさん、ウィドーさん、サカキ司令、ローラさん、ノザキ教授、最後はタナトスが粋な計らいをして全員生き返らせてくれると思ってたのに、意外と厳しい方でした、マザーさん。
 賛否両論(両論?)はあると思いますが、前川淳さんが脚本を担当されていた頃は、感想の書きようがなかったんです。トアさんはジン君とくっついたと思えば離れたりと、挙動不一致とはこの事。タナトスの命令だったとはいえ、「気持ちのすれ違い」ばかりを描くのではなく、視聴者としてはもうちょっと「飴」が欲しかったと思います。いや、温泉とかで一応有ったと言えば有ったのか…いえ、ですが…ムニャムニャムニャ…。
 ですが、前川淳さんが序盤に展開していた物語は前川さんなりのコンセプトで駆動していたのも事実で、前川さんの降板後に、ストーリーの明確化とテーマの透明性を図った結果、いくつか失われてしまったモノもあります。ウケを狙うなら「ネタ」とかが挙げられますが、マジメな話をすると、「運命」と「宿命」の話。私も二つに大した違いは無いと思うのですが、物語としては、私も、もう何度書いたか忘れましたが、「運命」が持つ属性が「自由意志」で、「宿命」が持つ属性が「強制」という設定なのですが、どうも引き継ぎをした方はこの設定があまり好みではなかったようで、前川さんの降板後はさっぱり聞かれなくなってしまいます。ただ、前川さんの降板後も「運命」と「宿命」では明確に区別されていたので、言葉だけが無くなって実質は存在していたとも言えるのですが、やっぱり最終回では「運命」というフレーズを聞いてみたかったです。

 とりあえず、スタッフのみなさん何はともあれお疲れ様でした。