まぎれもないヒーロー! ヒーローの資格を失うとすれば闘う意志をゼロがなくした時だけなのだ!!コードギアス反逆のルルーシュR2第5話感想&備忘録「TURN05 ナイトオブラウンズ」

 「ゼロ」というアイデンティティを取り戻し、仲間達も再会し、ロロを懐柔してヴィレッタさんを脅迫し、残るは敵はスザクだけ―――純分満帆―――という所で、ブリタニア皇帝によってルルーシュが奪われた記憶が意味する、「ナナリーの優しい兄」、「ゼロ」、「皇位継承者」の3つのうち、何よりも大事なアイデンティティ、「ナナリーの優しい兄」としての自分を自分の手で握り潰す事に。

コードギアス 反逆のルルーシュ R2 volume01 [DVD]

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本編感想

ルルーシュ

 正に最善手。「ゼロ」として黒の騎士団を指揮してエリア11で活動する程、総督であるナナリーの立場は悪くなって「ナナリーの優しい兄」としての自分が傷つく。
 逆に「ナナリーの優しい兄」としてナナリーの身柄を確保しようとすれば、今度は漸く纏まりかけている黒の騎士団の団結を乱して「ゼロ」としての自分の居場所が危うくなる。

 それなら、「何もしない方が一番楽だろ?」という誘惑が頭を擡げてくる。
 それは、物語開始時の「図抜けた頭脳を持ちながら賭けチェスで稼ぎながら死んだように生きている自分」に戻れと言う脅迫、つまり強制、作中悪。

 それはつまり、「ルルーシュ」が「自由の城」と言い、仲間達と一緒に過ごし、愛着を持っていたアシュフォード学園という場所が、「永遠に終わらないモラトリアム(=檻)」としてのネガティブ要素に(とりあえず)なった事を意味します。
 アシュフォード学園がネガティブ要素を帯びてきた理由は2つ。

 一つ目は、誰かに仕組まれている為。ミレイさんはブリタニアの協力員になっていて、生徒会メンバーだけが図ったように残り、ルルーシュに「C.C.を誘き出す餌」または「死んだように生きろ」という悪意が裏に潜んでいる事。

 二つ目は、前作でミレイさんが口にした「もう一度行われる学園祭」が、前作では「ブリタニア人とイレブンの融和」を象徴していたのに、今度の学園祭にはイレブンが排除されていて、内輪だけ――ブリタニアだけ――の祭りになってしまっており、逆にヴィレッタさんは学園祭の時の事実を掴まれてルルーシュに脅される(=強制=ギアスと同義=作中悪)と、複数の意味で嘗ての「学園祭」の意味を穢してしまっている事。

「あの、ユフィ姉様とお話したくって。私とお兄様と三人で学園祭を。ほら、ミレイさんが中断した学園祭、もう一度やるんだって言ってましたよね?だから、その時は一緒にどうかなって―――」(ナナリー・ランペルージ)

 ただ、「偽り」から始まった時間であっても、いつしか「真実」になるのがコードギアスの特徴なので、ロロの事も含めてアシュフォード学園がこのままネガティブ要素のまま終わるとは考えていないので、もしこのままR2がセルフパロディを続けるなら、第21話「学園祭宣言!」に相当するR2第21話で、本当の意味で「学園祭」がもう一度開かれる事になるのだと思います。

枢木スザク

 ごめん、私、スザク君を嫌いになるかもしれません。

 前作最終回で「ナナリーは俺が守る」と言ったクセに、ナナリーが傷付く事を承知で―――ルルーシュがゼロであったという事を知っても、ルルーシュが自分の事を忘れていると聞かされてもナナリーは傷つく―――、ナナリーの存在を利用したスザク君は最悪の外道。

 前も書きましたけど、多分今のスザク君は「善意」が肥大化して「俺の選択が全てのイレブンの幸せなんだ!」と思っているんだと思います。だから、嘗てのスザク君が掲げた「ブリタニアを中から改革する」という目的はそのままで、自分の「目的」を邪魔する人間は例え親友であろうと、守ると決めた少女であろうと、切り捨てる人間になっていると思います。

 誰かスザク君に教えてやってください。

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次回予告

 コードギアス反逆のルルーシュR2第6話「TURN06 太平洋奇襲作戦」

おまけ

 何だかアバンに違和感を感じる。
 皇子としてのルルーシュを「ルルーシュランペルージ」と呼んだり、ゼロの目的が「日本の解放」になっていたりと、何か思考操作をされているようなそうでないような。