ルルーシュは叫んだシャーリーの名を!ルルーシューは流した悲しみの涙を!けれどもシャーリーの名を呼んでも返ってくるのは残酷な静寂だけ…… コードギアス反逆のルルーシュR2第13話感想&備忘録「TURN13 過去からの刺客」

 「優しい世界」を実現する為の絶対条件「許す事」の心理的な過酷さ、困難さ、耐え難さが示された回。
 「優しい世界」の象徴だった生徒会メンバーが遂に一人欠けて「優しい世界」の実現はほぼ困難になりました。ただ、シャーリーがルルーシュとスザクを結びつけるきっかけを作ってくれたので、ルルーシュとスザクが心からお互いの手を取れる時がくるのだとすれば、そこでシャーリーとユーフェミア
の存在が効いてくるので、その辺りが着地点なのかな、と思っています。

コードギアス 反逆のルルーシュ R2 volume01 [DVD]

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本編感想

 今まで「シャーリーの父親」を、「ユーフェミア」を殺して、「誰かの大事な人を奪って誰かに恨まれる」のがルルーシュの役割でした。しかし、ルルーシュ自身が世界を変えようとしたのもやはり、「マリアンヌを奪われたから」でした。
 シャーリーに許され、ジェレミアさんに許され、ヴィレッタさんにも許され(裏切らなかった)ルルーシュは「ゼロ」という仮面を被って成してきた悪行を許され、「ルルーシュランペルージ」、「(マリアンヌの息子としての)ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア」、という面を肯定されて救われ始めました。
 また、ナナリーとシャーリーに「(私は)許します」と告げられたスザクも、やはり「許す」方向を示された形になりました。

 しかし、シャーリーの死によって再度掻き乱され、ルルーシュは「シャーリーを殺したロロを許せるのか?」、「シャーリーを守ってくれなかったスザクを許せるのか?」、そして何よりも、「マリアンヌを殺した存在を許せるのか?」と問われます。

 「いや、許せるわけがない。」

嘗てのスザク君と同じように、憎しみでそれしか選べなくなってしまいます。

 ユーフェミア様も、シャーリーも、ルルーシュの3面を全て知った存在は、それ故にこそルルーシュを救う力がありながら、やはりそれ故に命を落としてしまう。残るはカレンお嬢さんとC.C.のみ。二人がどう出るか。

シャーリー

 シャーリーは、ルルーシュに「記憶を消され」、皇帝に「記憶を書き換えられ」、ジェレミアに「記憶を元に戻され」、それでもルルーシュが好きだと言ったシャーリーはやはりユーフェミア様と同じくギアスを凌駕したのだと言えます。

 学園には「理想の世界」と「間違った世界」の二面性が今シリーズでは付与されていました。元々学園は「モラトリアム」と同義であり、「モラトリアム」は元々は全てが間違った偽りのな時間であると同時に、積み重ねてきた時間は何よりも尊い時間だと描写され、「コードギアス」は「脱モラトリアム」の話だと改めて描写されていました。
 だから学園も同様に、偽りで塗り固められた偽りの空間であると同時に、積み重ねてきた時間によって「真実」へと変わっていきました。

 今回、シャーリーが味わったのはまさにそれで、「真実」を知ってしまったシャーリーには「モラトリアム」も「学園」も苦痛でしかなかった。でも、命を賭けて救ってくれたルルーシュの行動によって、今までみんなで重ねてきた時間もまた「真実」だったと再発見します。
 だからシャーリーはルルーシュが味わった苦痛も理解できたし、そしてずっとルルーシュを見てきたからこそ、誰よりもルルーシュを理解して肯定してあげられた。
 「偽りの世界で戦い続けるルルーシュ」は、「辛い現実の中で足掻き続ける私達」の姿そのものであり、それに寄り添おうとしたシャーリーは、或る意味理想のパートナーと言えたと思います。

 シャーリーは「ロロに殺された事」は一言も口にせず、残された時間をただルルーシュを救う為だけに使いました。それはシャーリーが「許す事」を体現した存在であると同時に、シャーリーがどれだけルルーシュの事を献身的に想っていたかを如実に表しています。
 だからこそ心が痛い。シャーリーが消えてしまった事も、そのシャーリーを消してしまった事も。

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次回予告

 コードギアス反逆のルルーシュR2第14話「TURN14 ギアス狩り」

おまけ

 今回はこれにて筆を置かせてもらいます。流石にきついのです…。