スザク…お前の言うように俺達はやはり二人で一人だったのかも知れないな。奇妙な友情すら感じるよ…。そして今、二人の運命は完全に一つとなった…。 コードギアス反逆のルルーシュR2第25話(最終話)感想&備忘録「FINAL TURN Re;」

 私は、コードギアスR2は3つの要素、即ち「願い」、「アイデンティティ」、「罪(=嘘)」によって成り立っていると思っています。

願い ギアス(強制) 願い(自由意志)
アイデンティティ 「誰も自分を理解してくれないアイデンティティを失っている辛さ」 「自分を理解してくれている人がいるアイデンティティが得られた安心感」
罪(=嘘) 「断罪者と受罪者」 「免罪者と贖罪者」

 これら三つの要素をこれまでに無いくらい見事に複合させ、しかも群像劇として成立させている、超一流のエンターテインメント作品だと言えると思います。
 最終回の僅か20数分の中で、「ルルーシュ以外の登場人物達の叫び」という形で表現されていた序盤の情報の圧縮量、更にSound Stageへのネタの仕込みと思われるネタをきちんと敷設してそしてそれでなお全く殺がれるどころか、それを「ルルーシュを含めて、みんなの『願い』は同じ」というメッセージとして成立させてみせたり、ルルーシュが「ゼロ」に討たれるまでの「誰も自分を理解してくれない辛さ」から、「自分を知ってくれている人だけに伝われる悲しさ」への変遷。視聴者は、ルルーシュをずっと観てきたから、「辛い」ということを「辛い」と感じられるように作ってあったりと、最終回だけでも枚挙に暇がありません。

コードギアス 反逆のルルーシュ R2 volume03 [DVD]

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本編感想

 まあ実際、書きたいことは沢山あるんです。

 ナナリーとシュナイゼルが極端に酷い扱いを受けているトコは、「悪逆皇帝ルルーシュ」の印象を世界に刻み付ける為の政治的パフォーマンスではあるのですが、シュナイゼルはキリストを模されていて、彼らが処刑されるのは「(原罪の)贖罪」という形になっていて、「彼が皇帝の魔の手から救われる」というのは、「信仰者なら誰しも思う、叶えられなかった夢」とか、「ルルーシュが代わりに人々を『赦した』形になる」とか…etc
 ナナリーは例えばジャンヌ・ダルクのような聖女に例えられると思いますが(まあ歴史の真相がどうかはおいておいてね。 ドクロ)、「彼女が誤解によって殺されなかった」というのも、やはりシュナイゼルと同様に、「叶えられなかった夢」なのに、ルルーシュはそれを救ってみせたとか…etc

 「殺戮皇女が『ゼロ』に殺される」が「悪逆皇帝が『ゼロ』に殺される」とダブらされていて、ゼロだったルルーシュが嘗て背負った罪を、新しくゼロとなったスザクもまた罪を背負う事になるなど、前シリーズのバッドエンドをトレースしているのに見事にハッピーエンドにしてみせたとか…etc

 総じて言ってしまえば、「ルルーシュがナナリーやシュナイゼル、そして世界の人々を赦す免罪者」となって、「全ての人の罪(憎しみ)を一人で背負う贖罪者」となったという事なのですが、それでは収まりきらない。
 それにスザクもルルーシュと同様に「免罪者と贖罪者」になったとか…etc

 まあ色々と書きたいワケです。(「書いているじゃないか」というような異論は認めないっ)

 でも、私自身の趣向として、「泣いた!」とか「涙が止まらない」とかを連呼するのは好きじゃないし(ごく稀に書くときもあります)、そういう感想を読むのも嫌いですし、それに何といってもすっかり季節はずれでもありますし。

 というわけで、最後に少しだけ。

 確かにルルーシュという、私達が自分を重ねたり、常に最善席の観客にその姿を見せ続けてくれた主役、そんな彼が、たとえ彼自身の意思であったとしても、死んでしまい、しかも世界から憎まれる存在となってしまったのは、確かにバッドエンドです。C.C.がラストで「なあ、ルルーシュ?」と口にしていましたが、恐らくCの世界にすら「生きているルルーシュ」は存在しないでしょう。

 ルルーシュという存在は完全に「死んだ」のです。

 ところで「救いなのは」とか、気休め程度に「ルルーシュを知っている人間はルルーシュの『願い』にきっと気付いている」というような事を言う人もいるかもしれませんが、私はこれはこの上無い「幸せ」であり、最高のハッピーエンドだと思います。
 しつこいようですが、コードギアスというのは「願い」、「アイデンティティ」、「罪(=嘘)」から成り立っています。
 物語の開始時点で、「願い」は「強制(ギアス)」に彩られ、「アイデンティティ」は失われ、「嘘(=罪)」に塗れていました。
 それは一人だけで「世界」に挑戦しようとする、ただただ「孤独」な少年の物語だったのです。

 でも、今回最終回では、ルルーシュの「願い」は成就し、ルルーシュが好きだった人達、C.C.、カレンお嬢さん、コーネリア様、生徒会メンバー(ミレイ&リヴァル)、ゼロ・レクイエムの賛同者(ロイド、セシル、咲夜子さん、ニーナ、アーサー)、黒の騎士団メンバーの全て(玉城はその場では気付いてくれなかったかもしれないけど)が、ルルーシュのその「孤独な戦い」を知ってくれた事は、きっとどんな賛辞よりもハッピーエンドだったと思ってます。

 「どうして誰も 僕を/私を 理解してくれないの!?」

 そういう叫びを抑え込んで生きている小さいお友達も大きいお友達も、みんな、誰かが自分を理解してくれているって、とても得難い幸せだと思いませんか?

 私はそれって幸せだと思うんですよね。

コードギアス 反逆のルルーシュ R2 volume04 [DVD]

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おまけ

 あろうことか、ガンダムOOの放送が始まってからの感想アップ。引っ越したばかりなので、ネット環境さえ整ってないですが、「これを機会にブログなんで面倒いからやめるぜ!」とか、唐突に思わない限りは多分帰ってきます。
 乞うご期待。(えへ)

 ちなみに、まだガンダムOOの第一話すら見ていない体たらくのSunithaです。(ダメ)