オンラインゲーム的世界観とAngel Beats!について〜「神」と「天使」の正体〜

こんにちは、Sunithaです。
いよいよ中盤戦に突入したAngel Beats!関連のTwitterを纏めてみました。

第0話時点のTweets

あら、AngelBeasts!か。流石無駄によく動いてるなー。頑張れPA
reading : true tearsは大好きだけど、かなーんは好きじゃないのよね、私は…。Angel Beasts!では頑張ってください。 "2010年春季放送開始の新作アニメ一覧 - livedoor ニュース" http://bit.ly/dkXyj6
あー、AngelBeatsなのね。AngelBeasts!だと思ってた。
なんかさー、Angel Beats!の音楽がひぐらし7で鷹野さんの決意のシーンで掛かってた音楽に聞こえるんだよねー。もしかして同じ人が作ってる?

Keyというよりは、PAWorksの銘柄買いで見ようとしてます。
はい、私はCANAANとかあんまり好きじゃないです。
この時点では見てから判断する程度の期待度です。

第1話時点のTweets

AngelBeatsを初めて見てる。Key作品定番の記憶喪失か。ちょっと飽きてる。
[Angel Beats!]何か唐突に歌いだした。
[Angel Beats!]食券ゲット!
[Angel Beats!]記憶なんて最初から無いんじゃないの?今さっき生まれたのさ。
[Angel Beats!]麻枝作品は必ず私的なプロテクトが掛かってるので、意味は考えない。
嗚呼、塩ビって何だろうと思ったらAngel Beats!のことなのか。

遂に始まった第1話。
主人公の音無さんは「記憶喪失」ではなく、「最初から記憶を持たずにこの世界に生まれた」のではないか?という疑問をTweet
それと、麻枝作品の細部を突き詰めようとすると、壮大な肩すかしを食らう事を京アニのアニメで学習しているので、細部はどうでもいいと宣言。まあ、Angel Beats!に限らず、私はそうやって観るんですけどね。

第2話時点のTweets

あ、Angel Beats!の録画に失敗してた。みんな死ねば良いのに。(やつあたり)
そろそろ諦めてAngel Beats!#2見るかー。
[Angel Beats!#2]こんなに人がポンポン死ぬとか、ばーちゃる世代(死語)とか言われちゃうぞ!
[Angel Beats!#2]ギャグで人が死ぬとか、本物のギャグだぜ…。
[Angel Beats!#2]意外と面白い…?
[Angel Beats!#2]ひでぇ。脚本の質とかではなく、根本的な思想としてひでぇ…。
[Angel Beats!#2]何かエロ方面に…
[Angel Beats!#2]「次はおめーの番だぜ。」←CM前に死亡フラグ
[Angel Beats!#2]お約束お約束。合掌。無理しやがって…。これだけ言えば十分かな。
[Angel Beats!#2]何かすごくお子様向けお遊戯だね−。
[Angel Beats!#2]急にシリアスに…。
[Angel Beats!#2]ギルドすごく…大きい…です…。
[Angel Beats!#2]ヒゲの人、高校生じゃねーだろ。
[Angel Beats!#2]「この世界では命あるものは生まれない。けど、形だけのものは生み出せる。それを構成する仕組みと作り出す方法さえ知っていれば本来何も必要無いのよ。土塊からだって生み出せる。」 ←「人間」だって例外じゃないな。この世界の「人間」は「形」が世界に記憶(続く)
[Angel Beats!#2](続き)されているワケなのだから。それは神によるレプリカであると同時に、被造物・人間が神のレプリカになれるのだ。「土塊」というキーワードは聖書に於いて神がアダムを作り出した事を想起させられる。
[Angel Beats!#2]こいつら「生」に飽かないのか…。本当にファンタジーだな。
[Angel Beats!#2]どうやら主人公の人はゆりっぺを守る事を「選択」したようですね。ま、よろしいのではないでしょうか。
[Angel Beats!#2]麻枝作品はいつもどん詰まりの限界状況から始まるが、その限界状況はいつも楽園の様相を呈している。ここは天国であり地獄だ。断罪の喇叭が鳴る刹那の狭間だ。

第二話にして早速録画失敗。第3話を観る前に、動画サイトで視聴した第2話のTweet
「『死』をギャグにする」姿勢に強い違和感を感じていたので、かなり投げやりです。
第6話で生徒会長代理・直井文人が口にした「ここが『神を選ぶ世界』だと誰も気付いていないのか?」という台詞に繋がる指摘をしてますね。

[Angel Beats!#2]「この世界では命あるものは生まれない。けど、形だけのものは生み出せる。それを構成する仕組みと作り出す方法さえ知っていれば本来何も必要無いのよ。土塊からだって生み出せる。」 ←「人間」だって例外じゃないな。この世界の「人間」は「形」が世界に記憶(続く)
[Angel Beats!#2](続き)されているワケなのだから。それは神によるレプリカであると同時に、被造物・人間が神のレプリカになれるのだ。「土塊」というキーワードは聖書に於いて神がアダムを作り出した事を想起させられる。

尤も、「直井文人は良いとこ突いてるけど、多分真実は違う」というのが、第6話時点での私の見解。

第3話時点のTweets

[Angel Beats!#3]見るよー。
[Angel Beats!#2]全員死んだのに生きてるとか…
[Angel Beats!#3]円周率…。
[Angel Beats!#3]「私達の弱点はアホな事!」 ←今頃気付いたのか…
[Angel Beats!#3]ジブリネタは危険よ!
[Angel Beats!#3]普通に未練があるから「ここ」に来れたのなら、神は意外に良い人じゃん!
[Angel Beats!#3]「まるで悪役ね…」 ←天使の人がまともな台詞喋った!
[Angel Beats!#3]いい加減覚悟決めろよ、主人公の人。
[Angel Beats!#3]普通に沢城さんに歌わせればいいのに。
[Angel Beats!#3]ただのブルートフォースアタックじゃねぇのか。
[Angel Beats!#3]主人公五月蠅い。
[Angel Beats!#3]何か見つけたのね。
[Angel Beats!#3]沢城さんが成仏しちゃった!
[Angel Beats!#3]EDにも出て来るのに沢城さんが第三話で退場しちゃったよ!!
昔、テレビで大霊界とかいう映画やってたけど、Angel Beats!レベルの面白さを満たしさえすれば、余裕で信者増えるよね。つまり、何が言いたいかというと、Angel Beats!って、ギリギリスレスレで宗教だよね。
いつのまにあの世で活躍してやがったんだ…。 RT@yachimon Angel Beats! ええと「天使たちの鼓動」かな? 面白い。お気に入りはTK。はじめはPKと聞き間違えて、ああなるほど、などと勝手に納得してた。ところでTKの本名って、コムロテツ…いや、何でもないです。

だんだん見る気無くしてます。これを打破されるのは、「天使ちゃんマジ天使」という境地に至った時なのですが、この時点ではまだその境地には達してませんね。
主人公がウジウジとウザいだの、SSSは優秀(?)なブレーン・クライストを入れてもやっぱりアホだれけだとか、岩沢さん成仏しちゃって割と絶望しちゃったりしてます。

第4話時点のTweets

[AB#4]見るぜ!
[AB#4]いきなりキラッ☆かよ!
[AB#4]OP頑張ってるな−。そして最初に出て来るのが麻枝さんというのもねー。
[AB#4]演奏シーンは頑張ってないね!(げへ)
[AB#4]前のOPの方が良かったよ!(外道)
[AB#4]悶絶パフォーマンスwww
[AB#4]萌えの通じないヤツめ。
[AB#4]アホばかり増えていく!!
[AB#4]真性のアホだ!!
[AB#4]犬でもちらつかせてやれば集中力は途切れる。
[AB#4]バカだった…
[AB#4]クライストしつこく出て来ているな。
[AB#4]生徒会長出て来たー!!
[AB#4]ゆいにゃんかわいいじゃん。
[AB#4]「あんなの反則じゃない!」←反則上等の連中が何を言う。
[AB#4]松下五段…
[AB#4]ゆりっぺ今回は出番無い上にイロモノキャラになっていくな…
[AB#4]ダメな先輩だったー!!
[AB#4]バカが消えると寂しいなぁ…
急募:塩ビ見てたら「私の貴方たち」というフレーズが浮かんだんだけど、これの元ネタなんだっけ?20:53 from web
CLANNADで麻枝さんは「父親」を描いたという事らしいのだけど、父親のいない所で勝手に主人公が自己解決してしまっていたので、「父親」を描いたのか?といわれたら、多分違うと思う。21:23 from web
[AB#4]ゆいにゃん出て来てからちょっと楽しくなった気がする。21:27 from web

第3話でかなり絶望したので、第4話はTweetsが激減してます。挙げ句の果てに麻枝批判ですよ。或る意味ノリノリですね。
ゆいにゃんver.のOPはアレかと思いましたが、普通にゆいにゃん可愛いと思い始めてますね。
でも、やっぱり「死」を茶化して書くのに違和感を感じてます。これはねーよ。

第5話時点のTweets

Angel Beats!#5]天使ちゃんver.の方でOPは決まりですね!
Angel Beats!#5]とりあえず名前を消してあげれば0点になると思います!
Angel Beats!#5]教室で作戦会議するな。
Angel Beats!#5]天使ちゃんかわいい。
Angel Beats!#5]天使ちゃんマジ天使。
Angel Beats!#5]私も死ねば良い点が取れたはずなのにっ!!
Angel Beats!#5]だから、教室で作戦会議しちゃらめぇ!!
Angel Beats!#5]高松、良い体だぜ、うほっ。
Angel Beats!#5]天使ちゃんかわいい…。
Angel Beats!#5]音無さん天使ちゃんの好感度を着々と上げているな…。
Angel Beats!#5]いいから服を着ろ。
Angel Beats!#5]いつのまにかゆいにゃんがVo.張ってる…。
Angel Beats!#5]ゆいにゃんかわいいじゃん!
Angel Beats!#5]天使ちゃんの麻婆豆腐取っちゃらめぇ!!
Angel Beats!#5]天使ちゃんかわいいです。
Angel Beats!#5]EDにもいずれ天使ちゃんが登場するんですね、分かります。
Angel Beats!#5]元副会長強硬派だな−。寧ろ悪化するとは思ってたよ!マジ鬼畜だね!
Angel Beats!#5]TLのみんなはAngel Beats!を叩きまくってるけど、普通に売れるよね、これ。

SSSによる「天使ちゃんイジメ」事件発生。
「天使ちゃん可愛そう」の境地を経て、「天使ちゃんマジ天使」の境地へ。私の中でこの時まさに、Angel Beats!が始まりました。
あれだけのネガティブ評価が一転、「普通に売れるよね」的な発言まで飛び出すポジティブ評価に。
そしてやっぱり、「天使ちゃんマジ天使」。

第6話時点のTweets

[Angel Beats!]始まるよ!
[Angel Beats!#6]ゆりっぺ、当てが外れましたね。
[Angel Beats!#6]ゆいにゃん可愛いじゃないか。
[Angel Beats!#6]露出狂の変態がいるぞ…
[Angel Beats!#6]変態しかいねぇ……(汗
[Angel Beats!#6]器用な連中は雲隠れしてるよ…。
[Angel Beats!#6]あー、麻枝作品によくいる「ムカつく優等生」さんですね、分かります。
[Angel Beats!#6]暴力はいけないと思います!
[Angel Beats!#6]主人公が天使ちゃんを連れていった!畜生!畜生!畜生!!
[Angel Beats!#6]「ご休憩」ですね、分かります。(F*CK!)
[Angel Beats!#6]天使ちゃん可愛いです。
[Angel Beats!#6]どうやったら「人間」だって分かるの?
[Angel Beats!#6]なるほど、一方的にひどい話だ。
[Angel Beats!#6]ゆりっぺさん何を都合の良い話をされてるんだ…
[Angel Beats!#6]はい、勧誘成功。(えー)
[Angel Beats!#6]天使ちゃんと消えるなら上等だぜ!!
[Angel Beats!#6]天使ちゃんどんだけ開発力高いんだよ。
[Angel Beats!#6]主人公みたいなのがいるから、道を踏み外す美少女が増えるんですよね。
[Angel Beats!#6]優等生さんったらお茶目ね。
[Angel Beats!#6]「僕は新世界の神になる!」
[Angel Beats!#6]薬物ですね、分かります。
[Angel Beats!#6]催眠術とか、エロゲの主人公じゃないんですから…(呆れ顔)
[Angel Beats!#6]記憶のない人が何言っておられる…。
[Angel Beats!#6]「お前の人生だって本物だった筈だろ!」←そりゃそーだ。
[Angel Beats!#6]名家は陶芸するものなんですか?
[Angel Beats!#6]「陶芸王に、僕はなる!」←ぐふふ
[Angel Beats!#6]主人公さんにはテレパシー能力でもあるんですか?
[Angel Beats!#6]ええええ!ここで終わり!?
[Angel Beats!#6]真面目な話をすると、この世界の「人間」が「神のレプリカ」らしいというのは#2で提示されてたよね。 http://d.hatena.ne.jp/sunitha/20100418/1271606637
Angel Beats!って、エロゲの世界なんじゃないか?唯我論的だよ、こいつは。
[Angel Beats!#6]普通に考えれば、生徒会長代理さんは、父親殺してますよね?
[Angel Beats!#6]天使ちゃんマジ天使。
[Angel Beats!#6]「そうか、なんか笑えてくる。こいつが、可哀想すぎて、不憫すぎて。なんて世界のシステムだ。」←麻枝さんの常套手段だろ。ヒロインを徹底的に孤独にすれば感動するとか思ってんじゃねーぞ!そんなのにダマされるか!天使ちゃんがかわいそうだろバカヤロウ!(涙)
[Angel Beats!]今唐突に理解した。天使ちゃんがこの世界の「神」なんだ。麻枝さんは、「可愛そうな神様」として天使ちゃんを配置した。相変わらず外道な発想しやがる。

これまでの最多Tweetsを記録。天使ちゃんマジ天使。
麻枝作品で「ヒロインへの感情移入」時に登場する「ムカつく優等生」にまんまと引っかかって天使ちゃんへの好感度急上昇。天使ちゃんマジ天使。
そしてやはり麻枝作品のテンプレート「悲惨なヒロイン」に対する、憤りが最高潮。天使ちゃんマジ天使。
この話で「NPC」は「ゲームのキャラクター」っぽいのではなく、「ゲームのキャラクター」そのものなのだと理解。言ってみれば、「オンラインゲーム」なのだ。

主人公・音無:記憶が無く無個性 ゲームの主人公(=プレーヤー):プレイヤーを投影する為に無個性
『人間』:音無の言う事を基本的に無視した言動・行動を連発 他のプレーヤー:主人公の言う事を基本的に聞かない存在
『人間』:「元の世界」で無念を残してドロップアウト(生物的に死亡) プレーヤー:「現実世界」にトラブルを抱えてドロップアウト(社会的に死亡)
NPC:『人間』の行動に対して屡々無感動 ゲームのモブキャラ:脚本が許さない限りプレイヤーは触れない
『天使』:『人間』を優しく『この世界』からドロップアウトさせる存在 (?):『プレーヤー』を優しく『ゲーム』からドロップさせる存在

で、このアナロジー上では、『天使』を「ゲーム内で脱ゲームをさせる存在」と推測する。
でも、その前に地均しとして「Angel Beats!」の「世界」について考えてみまる。
答えは決まっています。或る程度以上成功したアニメ脚本家や、ゲームライターが必ず書きたがる、「虚構性の批判」、簡単に言えば「アニメ/ゲームなんてクソだ!現実に帰れバカ!」という主張。
嘗てエヴァンゲリオンが、嘗てFate/hollow ataraxiaがそうだった。

「……うそ。嘘、嘘、嘘……!
騙されない、私は見捨てない……!
願いを叶え続けなさいアヴェンジャー……!
飽きてしまってもいい、何一つ新しい出来事が起きなくなってもいい、一人で戦い続けろというなら付き合う……!
まだ隙間はあるんでしょう!? ならいい。小さいけれど、まだ見えるものがあるのなら、」(バゼット・フラガ・マクミレッツ)

世界を回し続けろ。
あの黄金の日々を。
オレには決して手に入らなかった、本来与えられるべきだったモノを―――
「―――しつこいなあ。
悪いけど、その願いは叶えられねえわ。無意味な時間はここまでにしようぜ」(アヴェンジャー)

さて、「超越神(=麻枝)」によって、『天使』は「この世界」に於いて、秩序を守る為に、秩序を破壊し、現実に帰りたがらない『人間』の相手を延々とさせられる。一方的に「天使」と呼ばれ、一方的に憎まれ、一方的に攻撃され、一方的に貶められる。
しかし、これは「オンラインゲーム」に比定される世界。主人公達『人間』は「プレーヤー」だ。ならば、この「秩序の守り手」と「秩序の破壊者」の捻れをどう説明するのか?答えは明白だ。聖書に於いて「人間」は「生まれながらに罪を背負った存在」とされた。それと同じ事だ。『この世界』に於いて、『人間』は「『罪』を犯す存在」として設定されている。麻枝流の「原罪」の解釈がここに在る。「悪」である『人間』にとって、秩序を守る存在である世界の管理人、つまり『神』である筈の『天使』は、倒すべきボスキャラなのだ。しかも「超越神」によってそう決められたのだ。*1

ここから、麻枝による痛烈な皮肉が読み取れる。「アニメ/ゲームなんてやってないで、現実に帰れ!」、「お前らは迷惑掛けるんだよ、とっとと大人になれ!」という事になる。しかし、同時に『人間』の個人的・主観的な満足感による「成仏」も許容しており、「アニメ/ゲームは現実で叶えられなかった事が叶えられる。」、「アニメ/ゲームで感じる友情・愛情も本物だ!」とも言っている事になる。
これを、麻枝らしい「優しさ」と見るか、「支離滅裂な戯言」と見るかは、読者の判断に任せる。

まあ、私に言える事は以下の2つだ。

  1. 「麻枝が何を言いたいのか、さっぱり分かんねー。」
  2. 「天使ちゃんマジ天使。」

それでは、中盤戦が終わった頃にまた会いましょう。

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*1:余談だが、自ら「悪魔」の恰好をしているゆいにゃんは、『人間』の存在が何なのかを無意識に的確に理解しているといえるだろう。(多分)

原作を知らない人だけにしか楽しめない「いばらの王-King of Thorn-」の見方

注:私は、原作の「いばらの王」は読みたいとは思ってますが、読まずに映画を見に行って、そして楽しませてもらったので、「原作ファンで映画の出来に文句がある方」や、「原作知らないけど映画の出来に文句がある方」とは、話が合わないと思うので、現時点でそういったものを求められても困るので悪しからず。尤も、映画の内容を忘れた頃に原作を読んでもう一度映画を読んだら違う感想を持つかもしれませんが。



さて、突然ですが、簡単な心理テストをしましょう。

問1

貴方は、耐えきれない程に過酷な現実に遭遇した時にどうしますか?
自分の考えに近い方を選んで下さい。

  1. 立ち向かう
  2. 状況が改善するのを待つ

選んでいただけましたか?

では、心理テストの結果です。

貴方のその「過酷な現実」の原因は貴方自身です。
貴方の大切な人、子供、伴侶、恋人、親友は貴方の所為で苦しんでいます。
貴方は酷い人間です。貴方さえいなければみんなが幸せでいられたのに、貴方さえいなければ。

はい、ご名答、これは心理テストなどではありません。 
お怒りかもしれませんが、もう一度自分の選んだ選択肢を思い出してください。

  1. 立ち向かう
  2. 状況が改善するのを待つ

貴方が選んだ選択肢、貴方は今もそれで、本当に良いのですね?

いばらの王-King of Thorn-感想

 この物語を端的な言葉で表すなら、

「『変わるまい』と内側に籠もろうとする自分を、いつの間にか生まれていた「変わろうとする」自分が打ち破る」物語

この一言に尽きます。
先ず、話を簡単にする為に、後天性細胞硬化症候群A.C.I.S通称メドゥーサや、死亡した筈のアリス・ロスノフスキとアリスの名前を冠する中枢システム、不思議な生物ラルー、シズクの実験中のVGCに合衆国が行ったであろう掃討作戦の存在は忘れて、カスミ・イシキとシズク・イシキの二人だけに着目します。
二人は、「片方が持っていない部分を片方が持っている」という初期状態でした。そしてそれはずっと続きます。時系列順にしてみましょう。

カスミ・イシキ シズク・イシキ
自分を庇って怪我を負ったシズクに対する、そして恐らく両親の死に対する引け目 カスミを守る為に強い姉であろうとした
犠牲になるべきは自分 「だから、シズク――」 願いの無い所に奇蹟は起きない。希望は捨てない。「カスミ、生きて――」
(死亡) トラウマが発現
シズクの「夢」であるオルタナティブとして、コールドスリープカプセルの中で目を醒ます(「いばら姫」は目を醒ました) カスミの「夢」を守る為に自らの「夢」を「いばらの王」として具現化(「いばら姫」は眠りについた)
「死」に直面し、「生きる為」に「現実」に立ち向かい始める いばら姫と同様に「死の呪い(メドゥーサによる外部的な意味と自らの夢の両義)」を受けて、「死なない為」に「夢」に逃げ続ける
シズクの生存と発症を知りシズクを助ける為(そして双子の直感故)にシズクの元へ辿り着こうとする カスミを脱出させた後で、自分は空に逃げて「夢」を現実にしようとする
「悪夢」を打ち破ろうとする(「夢の王子」を否定し、で姫自ら「現実の王子」になる)「私は、私は、絶対シズクを助けて、この悪夢を終わらせる!!」 「夢」を守ろうとする(「夢の王子」を肯定し、「現実の王子」の存在を排斥しようとし、姫自ら「眠れる森」を維持しようとする) 「守ろうとしているのよ。私は貴方の望む私であり続け、貴方は私の望む貴方であり続ける。」
「小学生の時の事故」というトラウマを自ら打ち破る 「崖の上での事故」というトラウマを払拭して貰う(それまでの関係と逆転している)

つまり、カスミ・イシキ(途中からはシズク・イシキのオルタナティブ)とカスミ・イシキは、共に「いばら姫」であり、「いばら姫」の異なる二面性を担っている事が分かります。

「そもそも、いばら姫は目覚めたかったのか?」(マルコ・オーエン)
 
「どういう意味?」(キャサリンターナー
 
「姫は眠ったままの方が幸せだったんじゃないのか?」(マルコ・オーエン)
荊は姫を捕らえてはいるが、見方を変えれば安全を保証してくれている。
歳は取らないし、王子様に会いたいのなら夢の中で王子様に会えばいい。」(マルコ・オーエン)
 
「姫は何を願ってどんな夢を見ていたというの?」(キャサリンターナー
 
「その夢が永遠に続くことを願ったんじゃないか。
夢の中でなら傷付かず、何度でもリセット出来る。それ以上のモノが現実には有るか?
直面している状況が過酷なら尚更だ。
夢は常に現実によって裏切られる。王子も例外じゃない、王子は呪いを解いてはくれるかもしれないが、その先の幸せは保証してくれない。
夢の中の王子は何度でも修正出来るが、現実の王子は別次元の存在だ。」(マルコ・オーエン)
 
「そうね、現実の王子様はね。」(キャサリンターナー

このようにカスミ・イシキとシズク・イシキは双子というガジェットを使って世界観を目に見える形で説明してくれていますが、他の登場人物についても、双子でないというだけで、「トラウマの克服」に「夢から覚める」意味が付与されている点は変わらず、コールドスリープ被験者の主要人物のうち、イタリアの上院議員アレッサンドロ・ペッチノ以外*1は、自らトラウマに立ち向かい、「夢から覚め」ています。
さて、「いばら姫」の二面性がカスミ・イシキとシズク・イシキの二人に投射されていて、「現実に目覚める事を望むいばら姫(=正当のいばら姫)」が目覚めた時点で、「夢見る事を望むいばら姫(=非正当のいばら姫)」は打破され、目覚めさせられることは決定していたといえますが、その事について、マルコ・オーエンがメタ的な言及をしています。

「いばら姫は、結局起こされる運命にあるのさ。」(マルコ・オーエン)
 
「そのような比喩は理解の範疇に無いわ。」(アリス=ローラ・オーエン)
 
「人ってのは、物事を何かの物語に準えた時から、その結末に向かって突き進むものなのさ。」(マルコ・オーエン)
 
「不合理だわ。」(アリス=ローラ・オーエン)
 
「俺もそう思う。」(マルコ・オーエン)

それは即ちシズク・イシキが「いばら姫」という題材を自らの象徴として選択した時点で、「いばら姫」の解釈の両義性と同様、二面性を備えていた事を意味し、実際、シズク・イシキは、カスミ・イシキが目を醒ました時点で、(数々の手は打っておいたとはいえ)カスミ・イシキを死の危機に落としています。それは一方で「夢見る事を望むいばら姫(=非正当のいばら姫)」として、カスミ・イシキを城から、自分から遠ざける意味があり、同時に、「現実に目覚める事を望むいばら姫(=正当のいばら姫)」として、カスミ・イシキを強くする試練を与えたと解釈出来ます。*2

暴走したシズク・イシキ 嘗てのシズク・イシキ
「夢見る事を望むいばら姫(=非正当のいばら姫)」 「現実に目覚める事を望むいばら姫(=正当のいばら姫)」
カスミ・イシキを城から、自分から遠ざけようとしてモンスターを放った カスミ・イシキを強くする試練としてモンスターを放った

そして、シズク・イシキから「現実に目覚める事を望むいばら姫(=正当のいばら姫)」として生み出されたカスミ・イシキは、かつてシズク・イシキが望んだカスミ・イシキを遥かに強く変わっていき、「夢見る事を望むいばら姫(=非正当のいばら姫)」の目を醒まさせます。また、創造者であるシズク・カスミの予想を超えて、カスミ・イシキが強く生きようとする事で、カスミ・イシキは「偽物のカスミ・イシキ」から「本物のカスミ・イシキ」になる事と、トラウマを完全に克服し切った事を意味し、「現実に目覚める事を望むいばら姫(=正当のいばら姫)」であるカスミ・イシキと、「夢見る事を望むいばら姫(=非正当のいばら姫)」であるシズク・イシキは、夢から醒める事になります。

このように、カスミ・イシキとシズク・イシキに着目すると、物語の構造が私の中では美しく整って見えるのですが、みなさんはどうでしたか?

批判について

Twitterで「いばらの王」で検索してみると、多くは以下の二点の感想に集約されます。

  1. 「(原作既読者)原作の改悪」
  2. 「(原作未読者)理解不能

前者はそもそも私自身が原作を知らないのでどうしようもありませんが、後者については、私も思う所はあるので私の思った事を纏めてみましょう。
まず、モチーフが「メドゥーサ(登場人物の多くは「メデューサ」と発音してましたけど)」はギリシャ神話で最も有名なのに、他にギリシャ神話の要素が見当たらず、その後出て来るアリスは「不思議の国/鏡の国のアリス」から来ている筈なのに、ギリシャ神話とアリスシリーズを結びつける要素が見当たらなかったりします。
また、アイヴァン・コラル・ヴェガが口にした「進化を促進する存在」としての「メドゥーサ」の設定が、恐らく新人類である筈の「オルタナティブ」に生かされているのは良いのですが、寿命が無いのとメドゥーサウィルスに感染しない以外で、「どんな点で新人類なのか」が出て来ない。(空想を具現化しうるのはオルタナティブを生んだ宿主でしか描写されてないですし。)
あとは、人間だった頃のアリス自身はこのぐらいの謎の開示で十分だとして、そのアリスと「システムのアリス」の関係や、「システムのアリス」自体については殆ど説明がありませんでした。

つまり、SF要素の伏線があまり回収されていないように思えました。
でも、それって、そんなに重要ですか?
気になるなら原作買えばいいだけの話だし、原作見なくても、カスミ・イシキとシズク・イシキの二人に関しては十分に謎は解けると思うので、視聴に支障は無いと思います。

作品鑑賞なんて「楽しめた者勝ち」です。

オペラ見て眠いと思う人もいますが、同じオペラを見て目が話せないという人もいるように、「楽しめた者勝ち」です。

つまらないと思われた方は、面白いと思えるまで頑張るか、諦めるかした方が良いと思います。

ですが、折角お金を払って見に行くんだから、楽しめた方がいいと思いますよ、私はね。

いばらの王 (1) (Beam comix)

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いばらの王 (6) (ビームコミックス)
いばらの王 (5) (Beam comix)
いばらの王 (4) (Beam comix)
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コミック いばらの王 2巻 (Beam comix)
DARKER THAN BLACK~漆黒の花 2 (ヤングガンガンコミックス)

後書き

こんにちは、かなり久々の記事になります、Sunithaです。
京都シネマで「いばらの王-King of Thorn-」を見てきたので、短いですが感想書いてみました。
十二番目の魔女の祝福がシズクによって伝えられたりする思わせぶりなギミックや、カスミのピンチに必ず駆けつけるマルコ・オーエンさんが格好良すぎたり、最終戦でカスミがマルコさんに「アミーガ」、つまり台頭の友人(戦友)と認められたシーンに燃えたりと、謎解き要素もあアクションも人間模様もたっぷり楽しませて貰いました。

「結局出たトコ勝負だな?アミーガ。」(マルコ・オーエン)
 
「はい。」(カスミ・イシキ)

今の女の子は、王子様がいなければ自分で王子様になっちゃうんだもんなぁ…。すごい、マジすごい…。(結論)

「いばらの王−King of Thorn−」の映画詳細、映画館情報はこちら >>

*1:原作ではもう少し出番も有ったのでしょうがしょうがない

*2:もう一つ、シズク・イシキがカスミ・イシキを態々危機的状況に瀕させる理由として少なくない「憎悪」があったのかもしれませんが、映画ではそんな描写は一度も出ませんでしたし、原作ではそういう描写があるのかもしれませんが、今回はそこには踏み込みませんから知りません。

ハートキャッチプリキュア!が完全無欠の魔法少女の物語である二三の理由〜第1話「私、変わります!変わってみせます!!」感想〜

代わって始まったハートキャッチプリキュア
みんな大好き水樹さんを擁し、私をニチアサに引きずり込んだ張本人である「おジャ魔女どれみ」の香りを強く持ち、初代を思い起こさせる「二人のプリキュア」体制。
「昔」を知らない小さい子供達には目新しく、「昔」を知っている大きいお友達にも心懐かしい雰囲気です。
でも、今までのプリキュアとは違う所も沢山あって、特に主人公の花咲つぼみさんが「変わりたい」と思っている点はプリキュアとしては新しいと思います。*1美墨さん、日向さん、夢原さん、桃園さんは、確かに恋の悩みや夢について悩んではいましたけど、その「変わりたい」という願望と、「プリキュアに変身する」という行為について、「魔法少女」の文脈での変身願望が完全に一致してはいなかったんですね。
まあ、基本的に主人公格の四人が四人とも、「頭より先に体が動く」方達だったので、「あんたの話は聞いてない!」と敵を黙らせてから自分の問題を解決するのが雛形でした。
それに対して、ハートキャッチの主人公である花咲つぼみさんは、悪く言えば頭でうじうじと考えてしまいがちな性格で、「頭より先に体が動く」属性は相方の来海さんに付与されています。

しかしながら、この「体より先に頭が動く」という、とても女の子らしい(プリキュアの先輩の皆さんゴメンなさい)気配りの出来る性格というのは、おジャ魔女どれみで不可欠だった「誰かの悩みを解決する」という魔法少女にとって、魔法よりも重要な能力でしたから、ハートキャッチプリキュアは、見た目だけでなく、中身もおジャ魔女どれみ寄りになっていると言えると思います。
実際、プリキュアの当面の敵となるデザトリアン*2は、従来のような「化物」ではなく、コンプレックスやトラウマといった「生身の人間の心」ですから、「敵を倒す為の方法」とは「敵を理解する」という、この一点に尽きます。
そして、プリキュアは、「プリキュアに変身する事」、つまり「色んな人の『心』に触れる事」で、自分も「なりたい自分」に変わっていくことが出来るのだと思います。*3
というワケで、第一話を見た時点で思った事を纏めてみると、

  1. 花咲つぼみの欠点は「うじうじ考える事」である
  2. 花咲つぼみには変身願望(≒成長願望)がある
  3. デザトリアンはコンプレックスやトラウマといった人の心の負の部分の権化である
  4. デザトリアンを救う為には「相手の心を思いやる力」が必要
  5. 即ちプリキュアの資質とは「相手の心を思いやる力」である
  6. 花咲つぼみの長所は「相手の心を思いやる事」である
  7. 即ち花咲つぼみは「変身願望」と「相手の心を思いやる力」を持っている
  8. 即ち花咲つぼみプリキュア(この世界では魔法少女のこと)の適正がある
  9. プリキュアになる事」は「他人の悩みを直接的に解決できる」、「自分の悩みを間接的に解決できる」
  10. 花咲つぼみの望み、「私は、変わりたい」は叶えられるだろう。

まあ、こんなトコですね。
あと、これは不確定で、第二話以降で変わってくるかもしれませんが、「心」にコンプレックスを持つ花咲つぼみに対して、もう一人の主人公である来海えりかが主に「身体」にコンプレックスがあるように見えるのは興味深いです。

「もも姉は美人で現役高校生モデルで超モテモテ、それに比べて私なんかー!」(来海えりか)

このまま花咲さんが「心」の成長、来海さんが「身体」の成長を軸にして話が展開しても、第二クール中盤からそれがスイッチしていく展開、或いは来海さんも「心」の成長へとスイッチしていくのか、どんな展開であっても一年間楽しめそうです。
あんまり感想は書けないかもしれませんけど、一年間よろしくお願いします。

ハートキャッチプリキュア! キュアドール!キュアブロッサム

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ハートキャッチプリキュア! キュアドール!キュアマリン

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*1:この辺は、寧ろプリキュアの文脈ではなく、おジャ魔女どれみの文脈で語るべきかもしれません。おジャ魔女どれみは、「私は変わりたい・家族を変えたい」と思っている少女達が、成長し、変わっていった物語なのですから。

*2:恐らくdesert(砂漠)とdesire(切望する)に掛けていると思います

*3:但し、花咲さんが自分の欠点だと思い込んでいる「うじうじ考えてしまいがちな性格」が、魔法少女にとっては「相手を思いやる力」に変わってしまうので、単純に「変わる」のではなく、「今の自分を受け入れた上で強くなれれる」という意味合いのものになると思います。

フレッシュプリキュア!最終回によせて

フレッシュプリキュア!は完璧な最終回でしたねー。
フレッシュプリキュア!世界の「プリキュア」が「クローバータウンのローカルアイドル」という性格を持つ以上、「ラビリンスとの戦いの終わり」は即ち「私達、普通の女の子に戻りますっ!」宣言という事を指す、というのは、フレッシュプリキュア!放送開始当時から想定してはいたのですが、「恐らく何かミラクルな事して来年も続投するんじゃない?」とか思っていたので、フレッシュプリキュア!が一年で終わる、というのを知った時はかなりショックでした。
ですが、「私達、普通の女の子に戻りますっ!」宣言をするというのが一番綺麗な終わり方だというのは、最初から分かっていたことでもあったので、プリキュアがラビリンスに乗り込む時に、「プリキュアであることをクローバータウンの住人に知らせるシーン」は感慨深かったです。
桃園さん達は、「クローバータウンの日常」を護る為にプリキュアになりました。自分たちが突然いなくなった「日常」が、最早「日常」ではない事も分かっていました。だからその覚悟を「クローバータウンのみんな」に知らせるのは、とても桃園さん達らしいやりかたです。
そして、私は思いました。「桃園さんは、全てを終わらせて帰ってくるんだ。『2年目』という私達の許ではなく、『クローバータウン』という日常に。」と。
寂しいかって?寂しいに決まっています。

頭が残念だけど頼りになる桃園さん。
全然完璧じゃないけどへこたれない蒼乃さん。
私にとっての日曜日のエンジェルだったブッキー。
鬼のように強いくせにドジッ娘なせっちゃん。
謎の男カオルちゃん
愛すべき宿敵だった西さん、南さん。

あの楽しかった日々を忘れることなんてできない。

でも、桃園さん達がはそういう娘達で、私はそういう桃園さん達が好きで今まで応援して来たんだから、それを否定して桃園さん達の後ろ髪に縋ろうとする行為で終わらせたくは、ないのです。
だから桃園さん達にはお別れをします。

一年間ありがとう、桃園さん。本当に、夢のように楽しい一年でした。

フレッシュプリキュア!【3】 [DVD]

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フレッシュプリキュア!【9】 [DVD]

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新しい生活達

今日はフレッシュプリキュア!が最終回を迎えて、ハートキャッチプリキュア!が始まりましたね。
というワケで、偶にはブログも書いてみる。

最終回によせて〜「流星の双子」は「契約者が夢見た『夢』」である〜

「だって、僕にとって蘇芳は――」(紫苑・パヴリチェンコ)

DARKER THAN BLACK-流星の双子- (1) [DVD]

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はじめに

 今、私は何回目かの「流星の双子」最終回を見終えた所だ。
 「流星の双子」について語るべき話題はいくつかあるだろう。「蘇芳と黒」、「銀と黒」、「蘇芳と紫苑」といった物語の根幹を成す登場人物の関係性について、あるいは未だ謎を残す「マダム・オレイユ」、「アリエルとベレニス」。それとも、物語を彩ったマオ達か。
 しかし、「蘇芳と黒」、「銀と黒」について、私が語ろうとするのは野暮というものだろう。恋があり、愛があった。そこには家族がいた。それ以上語る言葉を、私は持たない。また、「銀と黒」については、OVAで補完がされるだろう。
 「マダム・オレイユ」については、いずれ語るべき時が来るだろうが、今は未だ、その時ではない。
 また、脇役を語るには私は雄弁ではないし大して面白くも書けない。それを読者のみなさんに読めと強いるのは酷だろう。

 ならば、私は「蘇芳と紫苑」について少しだけ書いてみようと思う。

夢見る契約者

 黒はいつか言っていた、「契約者は夢などみない」と。
 そう、「契約者は夢を見ない」のだ。たとえいくら望んでも、「契約者は夢を見れない」のだ。
 そんな「夢を見る事を願った契約者」、紫苑・パヴリチェンコと、彼の姉で「夢見る契約者」、蘇芳・パヴリチェンコの二人の物語として「流星の双子」を見ていきたいと思う。

「あれは、僕の夢じゃない。」(紫苑・パヴリチェンコ)

「だって、僕にとって蘇芳は――」(紫苑・パヴリチェンコ)

 紫苑は蘇芳を生き返らせた。
 紫苑は蘇芳に「水族館の思い出」を見せた
 紫苑は蘇芳に「普通の暮らし」を贈った

 何故なら、紫苑は蘇芳がいないと「夢」が見られないから。それは、蘇芳が紫苑に沢山の写真を見せる行為が暗喩となっていて、紫苑は、蘇芳の写真を通して見た時のみ「人間」を、「普通の生活」を覗き見る事ができた。だから、紫苑は自分の代わりに蘇芳に「普通の暮らし」を贈ったのだ。

 ところで、契約者にとっての「対価」は、「失われた人間性の代償行為」として解釈が可能。
 ならば、紫苑の「対価」と「失われた人間性」とは何か?
 最終回を見終わった今、私は紫苑の「対価」とは「(蘇芳の代わりに)契約者であり続ける事」であり、「失われた人間性」とは「蘇芳・パヴリチェンコ」だと思っている。

 紫苑は最期に蘇芳をいつものように「蘇芳」と呼ばずに「おねえちゃん」と呼んだ。それは何故か?
 それは、紫苑が「普通の暮らし」を送りたいと願っていたからに他ならない。

 それを踏まえると「あれは、僕の夢じゃない。」と言った紫苑の悲しさが見えてきます。紫苑にとって、蘇芳は「夢」だった。普通の少女として普通に暮らす「日常」、大人になって恋をした「旅」、全てが紫苑がいくら望んでも過去にも現在にも未来にもどこにも見あたらない「人間性」という「夢」。

 最終回でそれが描写された瞬間、私達が今まで見てきた「蘇芳・パヴリチェンコ」の物語は、「紫苑・パヴリチェンコ」の夢として再構築され、「流星の双子」として完成した。私はそれがとても美しい構成だと思うのだが、みなさんはどうだろうか。

終わりに

 正直な所、「流星の双子」最終回を見た時点では、感想を書くつもりはありませんでした。
 継続的に感想を書くのは、時間的にも精神的にも結構しんどい上に、大して誰も見ていないみたいだったので、Twitterで実況するぐらいでいいかな、と思って、二ヶ月ほど更新せず、コメント欄もチェックしてなかったのですが、年末に外出先からブログを更新しようと思って見てみたら、一ヶ月ほど前からコメントが溜まっている事に気付いてコメント返ししようと思ったのですが、結末を知っている状態で視聴中のコメントに返すというのは、何か違うと思い、コメントの代わりにこの記事で代えさせていただきます。
 コメントを下さったすちゃさん、T-R-Mさん、ことりちゃんさん、みなさんのお陰で感想を書ききる事が出来ました。ここは謝るのが筋かもしれませんが、お礼を言わせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

未来で待ってて。

 コメント下さった皆さん、全然気付かなくて放置する形になってしまってて、すいません…
 一昨日の時点で気付いていたんだけど、ちょっと風邪引いてたり、旅の荷造りとかしてたんで放置しててすいません。昨日は風邪引いてる所にビールを流し込んだものだから、ホテルに帰った段階で寝てしまいましたし…
 抑も「まー、どうせ誰も読まないよなー」とか思ってて、流星の双子の記事も割と適当に書いてたんですが、ホント、なんか色々すみません。

 明日辺り、コメント返しします。何か色々、すいません、ホント、すいません…

 ついでに告知しちゃうと、少し実験したい事があるので、来年辺り別のブログを作る予定です。Twitterとか使って楽して更新するのが目的です。はてなだと、ちょっと更新サボりがちになってきたので…