DARKER THAN BLACK 黒の契約者感想第14話「銀色の夜、こころは水面に触れることなく・・・前編〜」


 今回のDARKER THAN BLACK 黒の契約者は、前回提示されたテーマ、「形があれば心が宿る」を銀<イン>さん、ベルタさん、黄<ホァン>さんが、「月の光」によって、それぞれの形で体現した構成がすごく美しかったのが、見終わって最初に感じた感想でした。

 銀<イン> ――「月の光」「心」を取り戻す
 ベルタ   ――「月の光」「贖罪」を終わらせる事ができた
 黄<ホァン>――「月の光」の下で涙を流す銀を目にして「チーム」から「家族」に変わり始める

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久良沢凱
「おい!聞け!顔や言葉に出せなくたって、あの子・・・心の中じゃ泣いてんだ!
分かるか!人形扱いしていい人間なんざ、この世のどこにもいねえんだ!」


 今回は、久良沢さんのまっすぐな言葉や、黄<ホァン>さんの銀<イン>さんを庇う言葉も凄く素敵でしたし、ラストで、「銀<イン>」の名前を選んだ銀<イン>さんに、「これでいいんだな、銀<イン>。」と、「銀<イン>」の名前で呼んで、銀<イン>さんの人間性を肯定した黒<ヘイ>さんと、それに指で半分だけの笑顔で応える銀<イン>さんのやりとりが、凄く綺麗な余韻になっていました。
 

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DARKER THAN BLACK-黒の契約者- 劇伴

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 ・銀<イン>さん
 前回提示されたテーマ、「形があれば心が宿る」の通りに、銀<イン>さんが「心」を宿しました。

エーリス
「いいかい、キルシー。形をまず押さえておけば、そこに感情だって生まれてくる。」

キコ
「とりあえず外面から固めるのが基本ですから!コスプレでも何でもそうですからね〜。」

 確かに銀<イン>さんがドールである事には変わりありませんし、幼少期のように表情豊かでもありませんが、「悲しい記憶」「悲しい」と涙を流し、自ら「キルシー」ではなく「銀<イン>」としての自分を選択したのは、一般的なドールの定義、「感情を持たず、自分の意思も持たない」とは一線を画しますから、やっぱり「心」を、「感情」を取り戻したんだと思います。それに、最後は「形」だけですが「笑顔」も見せてくれましたが、「形があれば心が宿る」がテーマなので、これは「心」を取り戻したという意味なのです。

 「月」を見る前の銀<イン>さんは、恐らく「リセット」の影響で記憶を無くしていたのでしょう、それがイツァークさんの能力による精神的ショックと、エーリスさんとの再会で記憶を取り戻しますが、そこには「悲しい」といった「感情」が伴っては来なかったのです。

銀<イン>
「悲しい・・・?違う・・・。悲しい・・・悲しくないの・・・。」

「心が・・・動くと思ったから・・・。」

 また、自分の居場所について「帰らない」としか言えず、エーリスさんと行かない理由を言語化できないでいます。

銀<イン>
「帰らない・・・」

 それが、イツァークさんが今際の際に作った「月の光」によって「感情」を伴った「記憶」を取り戻します。
 何故なら、「月の光」は銀<イン>さんにとって「幼い日の記憶」の象徴であり、楽しかった事、悲しかった事、辛かった事、それらの記憶は、いつも「月の光」と共にあったのです。
 エーリスさんと母親のアンニさんの前でピアノを弾いた記憶、エーリスさんと母親の間の関係を察した時の記憶、父親が飛行機事故で死亡した時の記憶・・・

 取り戻した「記憶」、母親を死なせてしまった自分の罪悪感を「悲しい」と感じられなければ、涙は流せません。「感情」の伴わない「記憶」はただ覚えているだけ、「形」だけであり、そこに「心」が宿ったからこそ、涙は流れたのです。

 また、「帰ろう」と言うエーリスさんの口に指を当てて喋るのを止めたのは、「子供扱い」のサインだったのを、エーリスさんに返す事で、もう子供ではない事を、そして全てを知った上で日本に残る事を表しているんですよ。何となく「帰らない」と思うのではなく、父親も母親もいない、「家族」が不在の故郷よりも、「形があれば心が宿る」のテーマ通りに、単なる「チーム」から「仲間」、更に「家族」へと変わりつつある今の生活が好きだからと、はっきり自覚して選んだんですよ。

銀<イン>さん
「黒・・・仲間・・・なの・・・。」
「銀<イン>・・・銀<イン>・・・。」
 最後まで「家族」にはなれなかったエーリスさんがちょっとかわいそう・・・。
 因みに、「感情」を取り戻す前にも銀<イン>が「帰らない」と言ったのは、先回香那美さんが言ったように、どこかに「心」が潜んでいるという事を表しているのだと思います。

・エーリスさん 自分の所為でアンニさんが死んでしまったと、贖罪の為に銀<イン>さんを探していたのがカスティリンさんなのですが、ネガティブに描かれています。

エーリス
「何故帰らないといったのか、分かった気がするよ。悲しい記憶が残っているから、故郷には。」

エーリス
「言いたかった。一言会って言いたかった。キルシー、君が罪を感じる必要は無いって。」

 「悲しい記憶」が残っているのも、エーリスさん自身の事ですし、銀<イン>さんを探すという贖罪をする事で、自分の「罪」を許して欲しかったのですが、本人の意思に反してこれもネガティブ。決して悪い人ではないのに、後日談の久良沢さんとキコさんの会話で、記憶を消されたエーリスさんが出てきた報われ無さは、その辺のネガティブ要素に遠因が有るのかもしれません。

・ベルタさん

 ベルタさんは、銀<イン>さんとは別の形で「形があれば心が宿る」のテーマで救済された存在。

 ベルタさんは自分の為に娘が死んでしまい、その贖罪として「対価」として娘の苦しみを味わう行為を繰り返していたんですが、月蝕を「贖罪」と言ったベルタさんの言葉を聞いていたイツァークさんが最後に作り出した「月の光」で、「『永遠の贖罪の期間』は終わったんだ」と、「贖罪」を背負い続けたベルタさんを救済。
 たとえ見掛けだけの、「形」だけの「月の光」であったとしても、そこにイツァークさんの「心」が宿っていて、ベルタさんが「心」「月の光」を感じられたのなら、それは当人達にとっては確かに「本物」であり、「形があれば心が宿る」のテーマをなぞっているのです。

イツァーク
「月の・・・光さ・・・。ベルタ・・・。
乙女、黒き夜、悲しみを弔い、独り深き帳に沈む・・・。
されど、寄り添う月は銀に満ち、贖いの夜は・・・静かに・・・去り・・・」


ベルタ
「悪か・・・ないよ・・・」

・黒<ヘイ>さん

 躊躇しながらも銀<イン>を殺そうとする黒さんに猫さんと久良沢さんの言葉が突き付けられ、校舎の崩落に巻き込まれ掛けた銀<イン>さんを助けて、「キルシーか銀<イン>か」と、銀<イン>さんの人間性を肯定して、銀<イン>さんの「意思」を尊重した黒<ヘイ>さんが素敵でした。

猫<マオ>
「だったらなんであの時助けた。」

久良沢凱
「お前、あの子に一体何をした!あの子・・・ホント無口で無表情で、まるで人形みたいだったぞ!!」

「おい!聞け!顔や言葉に出せなくたって、あの子・・・心の中じゃ泣いてんだ!
分かるか!人形扱いしていい人間なんざ、この世のどこにもいねえんだ!」


 いつものオチャラケっぷりとは違って、とても優しい気持ちをもった久良沢凱が素敵でした。
 先回のキコさんもテーマの提示をしてましたし、久良沢凱とキコさんは、「人間らしい人間」を代表する存在みたいです。この調子なら、物語のクライマックスでも普通の「人間代表」として登場してくれそうです。

 あと、何だかんだ言って、久良沢凱に傘を差してあげてから去っていった黒<ヘイ>さんは優しいと思いました。

・黄<ホァン>さん

 自分自身は非情であろうとするのに、一方で非情な「契約者」は否定する、矛盾を宿した黄<ホァン>さんもまた、今回のテーマ、「形があれば心が宿る」を体現する存在です。
 黄<ホァン>さんは、銀<イン>さんの人間性を否定して「使い捨て」と扱っているのですが、「チーム」という「形」「心」が宿る事で、「家族」に変化する可能性を担っているのです。

黄<ホァン>
「馬鹿な!?ドールが涙なんぞ・・・」

「いや。やっと使い勝手が馴染んできた所だ。」

 銀<イン>さんの人間性を認知してしまい、銀<イン>さんを庇ってしまったのは、黄<ホァン>さんも変わっていく証しなのです。

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・当ブログの感想
 DARKER THAN BLACK 黒の契約者第2話感想「契約の星は流れた・・・後編」
 DARKER THAN BLACK 黒の契約者第1話感想「契約の星は流れた・・・前編」


・次回予告

 第15話「裏切りの記憶は、こはく色の微笑み・・・(前編)」

 いよいよアンバーさんが本格稼働。アンバーさんが連れてるのはオッドアイの少年(?)。

 「星」が出てくるのといい、魔法少女リリカルなのはStrikerSヴィヴィオとのシンクロニシティを感じてました。そういえば、らき☆すたも、ヒロイック・エイジ「星」が出てくるんですよね。何か関係があるのかも。(ありません)



・おまけ

キコ
「だってみんな期待してたんですよ。」

 確かに温泉シーンあったよ。ほんとに一瞬。めちゃ微妙でしたけどね!